第4回は和菓子とお茶の楽しみ方。旅先でお茶と和菓子でもてなされるといった場面も少なくないと思います。そうしたときに自信を持って振る舞いたいですよね。
和室での基本的な立ち居振る舞いを含めて、今回も意外に盲点になっていそうな部分について、クイズ形式でまとめてみました。ぜひチェックしてみてください。タイトルのクイズの答えは、4番目にご紹介していますよ。
1:座布団って右側から座る? 左側から座る?
まずは座布団について。旅館などで座布団を利用するとき、正しく使えているかどうか、意外に見られているかも。旅行だけでなく、日本に住んでいる以上は知っておいて損はない知識です。
まずタブーとして、座布団に立ってはいけません。踏みつけて、生地を傷める恐れがあるからですね。
座り方ですが、基本的に座布団の左側から、座布団の上にひざから入ります。もちろん降りるときも左側から。左から入れない場合は、後ろから入るのだとか。
流派によって右側から座るケースもあるそうですが、とにかく立ったままで座布団に入っては駄目だというルールが重要。畳の上からひざを使って座布団ににじり寄って座るイメージですね。
2:和室で踏んではいけない場所。畳の縁と、もう1つはどこ?
畳の縁は踏んではいけないと、どこかで耳にした覚えがありませんか? 武家の住まいでは、畳の縁に家紋が使われていたため、踏みつけてはいけなかったのだとか。
ただ和室には畳の縁だけではなく、他にも踏んではいけない場所があります・・・。どこか分かりますか? 正解は敷居。引き戸や障子、ふすまがはまっている足元の横木ですね。
引き戸を上下に挟んで、足元側が敷居、天井側がかもい(鴨居)と言います。かもいには字の通り、防火の神様として水鳥が居て、家を守ってくれているのだとか。敷居を踏むとその水鳥が逃げてしまうため、敷居を踏んではいけないとされているようですね。
3:和菓子とお茶、どちらから食べる?
次は和菓子とお茶、どちらから食べるべきなのでしょうか? 正式なお茶会などでは和菓子が先に出て、その後に抹茶が出てきます。そういったケースでは順番通りに口に運んでいけばいいのですが、ちょっとしたもてなしとして和菓子とお茶が一緒に出された場合は、どちらから手を付ければいいのでしょう?
お茶が煎茶(せんちゃ)の場合は、煎茶が先で和菓子が後。煎茶の香りや味を楽しみつつ飲み終えてから、和菓子をいただきます。お茶が抹茶の場合は、茶道の作法と同じく、和菓子を食べ終えてから、抹茶を後にいただくといいみたいですね。
ちなみに抹茶の場合、茶わんの絵柄が自分に向いて出されます。その絵柄を自分から遠ざけるために、45度で2回程度回して絵柄をずらして飲みます。抹茶で器を回す理由は、絵柄を外す意味があったのですね。
4:ふた付きの煎茶、ふたはどこに置く?
丁寧なおもてなしの場合、煎茶にはふたが付いてくると言います。このふたはどのように外し、どこに置くと正解なのでしょうか?
まず開け方についてですが、左手で茶わんの縁の近くを押さえ、右手の親指と人差し指でふたを手前だけつまみ上げます。
ふたの向こう側を茶わんの縁に付けたまま、手前だけを開いて湯気を逃がす感じですね。
次は縁の上を転がすようにふたを右に90度回し、ふたの内側のしずくを落としてから、茶わんの上であおむけにします。最後は左手を添えて、茶わんの右側に裏返したまま置きます。
以上のステップを踏めば、確かに水滴が机の上にこぼれません。先のイラストではふたをふせて茶托にかけて置いているものがマナー違反になります。何度か家で練習したいですね。
和菓子とお茶でもてなされた際の注意点を紹介しましたが、いかがでしたか? 旅行だけでなく、普段の生活でも意識したいですね。
[取材協力:椎屋美根子。クールジャパン講師会・会長。海外でのVIP接遇を経て、プロトコール(国際儀礼)を身につける。2011年、人材育成事業「Office Heartful Manner」を起業し、国内外において講習、研修などを行う。主な著書『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)など]
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