祇園のシンボル、八坂神社。京都を訪れた観光客は必ずと言っていいほど立ち寄る人気スポットです。でも、門の前で写真を撮って本殿にお参りするだけではもったいない!
八坂神社の敷地内には、美の神、縁結びの神、さらには伊勢の神まで、さまざまな神様たちが待っています。八坂神社をもっと楽しむために、見逃せないスポットをご紹介しましょう。
祇園のシンボル・八坂神社
京都の花街・祇園。京都を初めて訪れる人が必ず行く場所と言っても過言ではありません。そんな祇園のシンボルが「祇園さん」と親しまれる八坂神社。日本三大祭のひとつである祇園祭の中心地としても知られています。
もともとは「感神院」または「祇園社」と呼ばれていましたが、1868年に八坂神社と称されるようになりました。約3000にものぼる全国の八坂神社の総本社で、厄除けや疫病退散にご利益があるとされる格式の高い神社です。
ところが、その知名度のわりに、祇園・八坂神社でさまざまな神様にお参りできることは案外知られていません。多くの観光客は、四条通に面した朱色の西楼門前で写真を撮って、本殿に参拝する程度。しかし、八坂神社にはさらなる楽しみ方があるのです。
縁結びのパワースポット「大国主社」
八坂神社は京都最大の恋愛パワースポットともささやかれています。それは、「素戔嗚尊(すさのをのみこと)」と「櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)」という仲の良い夫婦の神様が祀られているため。さらには、その娘婿である「大国主命(おおくにぬしのみこと)」も、出会いを司る縁結びの神様として知られています。
そんな大国主命を祀る「大国主社(おおくにぬししゃ)」が、八坂神社の敷地内にあります。目印は、「因幡の白兎」像。自らが助けた白兎の計らいで、美しい妻をめとることになった大国主命にまつわる神話の一場面が描かれています。
社殿のそばには良縁を願う人々が書き残した絵馬がずらり。素敵な出会いを求めるあなたは、大国さまの力を借りてみては。
美のパワースポット「美御前社」
特に女性なら見逃せないのが、「美のパワースポット」とされる「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」。
「宗像三女神(むなかたさんじょしん)」と呼ばれる3人の女神が祀られた神社で、なかでも美人とされる「市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)」は、美貌や芸能、財福の神として女性たちの信仰を集めています。京都美人の代表である、祇園の舞妓さんもここに通っているのだとか。
社殿の前には、身も心も美しくなれるという美容水が湧き出ています。2、3滴肌につけて、さらなる魅力アップを祈願しましょう。
京都・祇園で伊勢参り「大神宮社」
「お伊勢さん」といえば、「日本人の心のふるさと」と称される、三重県の伊勢神宮。実は、ここ八坂神社からも伊勢神宮と同じ神様にお参りすることができるのです。
八坂神社の敷地内には、八坂神社の祭神である素戔嗚尊の姉神、「天照大神(あまてらすおおかみ)」を祀る内宮と、衣食住をはじめとする産業の守護神である「豊受大神(とようけのおおかみ)」を祀る下宮からなる「大神宮社」があります。
もともとの伊勢参りは、命を授かったことを神様に感謝するためのもので、私的なお願いごとをするためのものではありませんでしたが、伊勢の神様の前で望みや決意を表明し、努力を怠らなければ願いが成就するといわれています。
古来より「せめて一生に一度は」と、憧れの的であった伊勢参り。本家の伊勢神宮とは規模が違うものの、大神宮社の小さな社殿から漂う静謐な空気には、人智を超えた特別な力を感じずにはいられません。
朱色の華やかな本殿だけでなく、その周辺にある小さな神社も見逃せない祇園・八坂神社。その存在感とパワーは、京都を象徴する花街にふさわしい、格別のものなのです。
[八坂神社]
[All Photos by Haruna Akamatsu]