フランス・アルザス地方の村、エギスハイムはまるで絵本から飛び出してきたかのような村。
「フランスの最も美しい村」にも選ばれた、カラフルな木組みの建物が連なる花いっぱいの風景を訪ねてみましょう。
フランスの最も美しい村、エギスハイム
アルザス地方の村・エギスハイムはフランスの最も美しい村協会が認定する、「最も美しい村」のひとつ。2006年には、「ヨーロッパ花の町コンクール」で金賞を受賞した花いっぱいの村でもあります。
旧石器時代から人が居住していたという古い歴史をもつ村で、4世紀にローマ人が初めてここにワインを植えてからは、アルザスワインの発祥地として発展してきました。そこには、フランスを代表する美しい田舎の風景がぎっしりと詰まっています。
エギスハイム城と聖レオン9世の泉
エギスハイムの中核をなすのが、エギスハイム城と聖レオン9世の泉。ここからの眺めは、小さな村には似つかわしくないほどに貫録たっぷり。まさに「エギスハイムの顔」ともいえるスポットです。
8角形の城壁に囲まれたエギスハイム城は、10世紀に建造されたもの。その敷地内には、19世紀に建てられた聖レオン9世の礼拝堂がたたずんでいます。
聖レオン9世とは、エギスハイムで生まれ、11世紀にフランス出身者として初めてのローマ教皇となった人物。ネオ・ロマネスク様式の立派な礼拝堂の正面に、聖レオン9世の像が掲げられているのをお見逃しなく。
小さな礼拝堂でありながら、フレスコ画やステンドグラスで彩られた内部は荘厳そのもの。静けさのなかに広がる鮮やかな色彩の世界に魅了されます。
同心円を描く村には素敵な風景がいっぱい
エギスハイム城と聖レオン9世の泉を中心に、同心円状に広がるエギスハイムの村には、素敵な風景がいっぱい。路地を歩けば、カラフルな木組みの建物がどこまでも続いています。
なかでも、路地が二股に分かれるポイントは、エギスハイムを代表するフォトスポット。絵本の世界のような光景に、思わずうっとりとしてしまいます。
可愛らしい窓辺の装飾や、趣向を凝らした看板にも注目。細かい部分まで見れば見るほど、その美しさが実感できることでしょう。
エギスハイムでは、さっき歩いた方向と違う方向に向かったつもりが、結局ぐるっと回って元の場所に戻ってきてしまった、なんてことも。でも、こんなに素朴で美しい風景を眺めながらなら、そんな迷い歩きも楽しいものです。
コウノトリも羽を休める村
「ガッ、ガッ、ガッ」という聞きなれない激しい音。なにかと思って見上げれば、建物の上でコウノトリが鳴いています。
礼拝堂の上や民家の上など、エギスハイムでは至るところにコウノトリが巣を作っており、羽を広げて鳴くコウノトリ、空を舞うコウノトリなど、のびのびと暮らすコウノトリの姿が見られます。
アルザスのシンボルであり、「幸せを運ぶ鳥」として愛されているコウノトリ。その姿を目にすれば、何かいいことがあるかもしれません。
発祥の地で楽しむアルザスワイン
アルザスワインの発祥地であるエギスハイムには、現在も40軒ほどのワイナリーがあります。ワイナリーでは、ワインの飲み比べも可。
気に入ったワインを購入したり、あるいは村のレストランでアルザス料理とともにワインを味わったりと、本場ならではのアルザスワインの魅力に触れてみましょう。
すっきりした白ワインが中心のアルザスワインは、あまりワイン慣れしていない人でも飲みやすいワインです。ワイン好きな人はもちろん、そうでない人も、これを機にアルザスワインの魅力に開眼してみては。
素朴な美しい風景があちこちに残るエギスハイムは、フランスの美しい田舎町そのもの。どこか理想郷を思わせる、いるだけで幸せな気持ちになれる場所なのです。
[All Photos by Haruna Akamatsu]