海外旅行の前には、万が一にそなえて海外旅行傷害保険を検討する人も多いのではないでしょうか? 治療費だけでなく、盗難などの被害に遭った場合も保険金の対象になるものが多いので、加入しておくと確かに安心ではあります。
さて、治療費だけに焦点をあてた場合なのですが、海外渡航中の治療にも国民健康保険または社会保険が適用されるのをご存知でしょうか?
知ってる? 「海外療養費」の制度
平成13年1月よりスタートした「海外療養費」の制度。病気にかかったり、ケガなどをして海外の病院で治療を受けた場合、一定の条件を満たしていれば、帰国後にて国民健康保険の窓口へ申請すると、支払った医療費の一部が戻ってくるというものです。
さて、どんな場合が支給の対象となり、いくらくらい戻ってくるのでしょうか?
どんな治療が支給の対象になる?
日本国内で保険適用になっている医療行為であれば、支給の対象になります。ですから、海外旅行傷害保険では基本的にカバーされない歯科治療にも、海外療養費の制度は適用されるのです。ただし、日本でも健康保険が使えない美容整形などの自由診療には適用されません。
医療費の払い戻しはどれぐらい?
さて、国民健康保険を使った海外の治療では、どれぐらい支給されるのか気になるところ。
海外療養費の額は、日本国内で同様の病気やケガをして国民健康保険で治療を受けた場合を基準にして決定します。国民健康保険ガイドによると「海外療養費の額は、日本国内での同様の病気やケガをして国民健康保険で治療を受けた場合を基準にして決定します(標準額)」とのこと。必要な書類や手続き等が気になる方は、東京都渋谷区が発表している「国民健康保険における海外療養費制度」のお知らせが参考になると思います。
支給対象でも、治療を受ける際は自己負担
「これからはプライベートな保険ではなく、国保に頼ることにしよう」と思った方もいることでしょう。ただ、通訳の手配をしてくれたり、キャッシュレスで治療が受けられる場合も多い海外旅行傷害保険とは違い、「海外療養費」の制度では、まずは全額自己負担。また、診療内容明細書の翻訳や領収書の翻訳といった資料もすべて自分でそろえる必要があるため、手続きが面倒だという話も聞きます。
とはいえ、海外旅行保険に加入せずに海外に出かけて、もしも高額な治療費を払うことになった場合。「海外療養費」の制度を知っていれば、お金も心の負担も少しは軽くなると思いませんか?
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