硫黄の香る温泉が近くにあると知り、居ても立っても居られなくなった7月のこと、滞在していたタオルミーナから電車で1時間、船で2時間かけ、日帰りで温泉にいってきました。
シチリア島の右上30km、ティレニア海に浮かぶ7つの火山島からなるエオリエ諸島があります。青く美しい海に囲まれた光景を、映画「イル・ポスティーノ」でみかけた方もいるかもしれません。2000年に自然遺産としてユネスコに登録されました。
硫黄の香り立ち込めるヴルカーノ島へ
噴火したらそのときだ、という覚悟を胸に島に到着しました。エオリエ諸島にはザ・リゾートな雰囲気の島もあるのに、ここは、行ったことのないけれどメキシコの田舎、といったような乾いた辺境の土地。
温泉に近づくにつれ、硫黄臭が立ち込めます。日本と違うのは、そこに少し尿素のような臭いが加わっていること。
(c)Shio Narumi
灼熱の島の泥沼温泉
料金を払い(€3ほど)、はやる気持ちでサンダルを脱ぎ、温泉へ向かう数メートルの間に足裏がやけど! 砂が熱々です。
温泉はお湯も沼の底もぬるくてほっとしました。色からしても、ひなたの水溜まりに入っている感じです。泡がぼこぼこしています。硫黄が含まれた蒸気、塩水そして粘土質の土が湧き出ているからだそうです。
肌がすべすべになるということで海底の泥をぬりたくります。せっかくの硫黄だし、泥パック効果を思うと長く浸かっていたいけれど、顔に浴びる日差しが容赦なく、日焼けが気になります。それでも夏しか営業していないそうです。
(c)Shio Narumi
海底温泉へ
すぐ近くにある海底温泉へ。冷たい水と熱いお湯が混じり合っているのが、場所によってその配分が違うので温度が一定でない感じ。潜ってみると、湯の花がぶわーっと出ているのが見えます。
あたたかな海で泳ぐってこんなに気持ち良いものとは! プカプカと浮かんでいると、幸せなことしか頭に浮かばないのです。
泥沼温泉に入ると、水着についた硫黄の匂いなかなかとれないと聞いていたけれど、水着を着るたびにこの温泉のことを思い出し、幸せな気分になりました。
[イタリア政府観光局]
[シチリアクラブ]
[Photos by shutterstock.com]