「湖上の宝石」とも呼ばれる、北ドイツきっての名城・シュヴェリーン城。フランスのシャンボール城を思わせる華麗なる外観は、他のドイツの城とはひと味違った独特の美しさをたたえています。
湖に浮かぶ優美なその姿を見れば、一瞬にしてメルヘンの世界へと引き込まれるはず。
北のフィレンツェ、シュヴェリーン
北ドイツ・メクレンブルク=フォアポンメルン州の古都シュヴェリーン。人口10万人弱のドイツで最も小さな州都ですが、その存在感は決して小さくありません。
「北のフィレンツェ」、「7つの湖の街」、「大聖堂の街」、「居城都市」といった数々の異名をとるシュヴェリーンは、湖水地方ならではの美しい自然に抱かれ、豊かな歴史と文化を育んできました。
こぢんまりとした街ながら、中世の大聖堂や大聖堂を中心に広がる旧市街、17世紀のオランダ・フランドル絵画コレクションで知られる州立博物館など、見どころは多彩です。
湖上の宝石、シュヴェリーン城
シュヴェリーンを語るうえで欠かせないのが、北ドイツきっての名城といわれるシュヴェリーン城。シュヴェリーン湖に浮かぶ島の上にたたずむ姿は優雅そのもので、その美しさから「湖上の宝石」ともたたえられています。
シュヴェリーン城の歴史は、973年にスラブ人が城を建てたことにさかのぼります。もともとは戦略的な位置を利用した防衛目的の城でしたが、その後の増改築によって、華麗な宮殿へと生まれ変わりました。
現在見られるような姿になったのは、メックレンブルク・シュヴェリーン大公が大改修を行った1843~1857年にかけてのこと。フランス・ロワール地方のシャンボール城をモデルにしたといわれているだけあって、一般的なドイツの城とは趣の異なる華やかな外観が印象的です。
城と庭園が織り成す夢のような風景
シュヴェリーン城をさらに特別なものにしているのが、バロック様式の庭園。季節によって色とりどりの花々が咲き乱れ、優美な彫刻が点在する庭は、シュヴェリーン城の姿をいっそうロマンティックに引き立てています。
城を中心にして、水と緑がシンメトリーに広がる光景は絵画のような美しさ。
653もの豪華な部屋の数々
外観のみならず、当時最も優れた職人たちが手掛けたバロック様式の内装にも圧倒されます。城内には、653もの部屋があり、それぞれが象嵌細工や彫刻、金箔、化粧漆喰などで豪華に装飾されているのです。
現在城内は博物館となっていて、なかでも「謁見の間」やマイセン陶器などの貴重なコレクションが展示された陶磁器ギャラリーは必見です。
シュヴェリーン城へのアクセス
ドイツ第2の都市ハンブルクの中央駅からシュヴェリーン中央駅まで、特急で約50分、快速で約1時間25分。シュヴェリーン中央駅からシュヴェリーン城までは徒歩およそ20分。街なかにあるシュヴェリーン城は、アクセスも便利です。
水と緑に抱かれ、優雅にたたずむシュヴェリーン城。水面に映るその姿は、まさに芸術です。
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