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タイ人が開運したいときスーパーで買うこの食料セット、何だか知ってますか?

歴史学者の三石晃生教授と「知らなくても困らないけれど、知っていると世界が楽しくなるかもしれない」をコンセプトにあちこちを調査。第三回目の舞台は、タイのバンコクです。タイの宗教にまつわる面白ネタや文化ギャップについて現地からご紹介します。

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そんなわけでタンブンセットを買って開けてみた

村越:それでは開きます。(ドキドキ)

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村越:ジュース、粉末コーヒー、インスタント麺、あと駄菓子屋で売ってるような、溶かして作るオレンジジュース(スポドリか?)、あと大量の塩。あ、大量の塩といえば前回の取材で行った太宗寺の塩かけ地蔵思い出しますね。

三石:なんていうか、もっとありがたいかんじの中身かと思ってたら、田舎から出て来た一人暮らしの大学生にお母さんがお土産で渡す系だね。

村越:こんな不健康なもの、お母さん送ってこないですよ。多分。


三石:実際、僧侶の「メタボ問題」がタイでは深刻になっているらしい。肥満、高コレステロール、高血圧、糖尿病と成人病のオンパレード。

村越:夜、ランニングとかなんか運動すればいいのに。

三石:歩くのも瞑想修行だから上座部仏教では僧侶は走るのが禁止されているんだ。しかも僧侶の食事は1日に朝と昼の2食だけ。この昼ご飯のあとは飲み物しか摂取してはいけない。

村越:あー、だからこの駄菓子屋っぽい粉末ジュースがあるんですね。せめて「それカロリー高いんで、ちょっと」とかって断ればいいのに。

三石:僧侶はもらう食べ物を選べないのだ。ダイエットしたいので野菜多めで、という注文はつけられないの。

村越:でもイメージですけど、昔のお坊さんって太ってるイメージあんまりないんですけど。「深刻になってきている」ということは最近そうなってきたんですよね。なぜですか?

三石:地方の僧侶は比較的大丈夫らしいんだけど、都心のバンコクが深刻だといわれている。以前は家庭料理を差し上げていたんだけれど、バンコクのような都会化したライフスタイルになると忙しくなるでしょ。自分の食事も料理する気力がなくて、屋台とかで外食で済ませちゃう。当然、僧侶へも外食モノになる。

村越:本人はブン(徳)を積んだ気持ちになっていても、それが相手のタメになっていないこともあるわけですね。お坊さんも現代の食生活の被害者になりつつあるんですね。

三石:ブッダも托鉢でまさかこうなるなんて予想してなかったよね。

村越:ところでさっきの話に戻るんですが、タンブンセットコーナーのスペースが大きいぐらい、凄い仏教国だということしか今のところわからないのですが。仏教国じゃないんですか?

三石:正解なんだけど、完全な正解じゃないというか。街のあちこちに至るところに一本の柱の上になにか祠(ほこら)みたいのがのってるのを見なかった?

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村越:そこら辺にありましたよね。あれも仏教の祠ですよね。



三石:ううん。あれはサーン・プラプームといって土地の神様を祀った祠なんだ。タイの人々はアニミズムによる精霊信仰を持っていて、森だとか林だとか、土地や、あとは巨木に精霊(ピーとかチャオという)が宿っていると考えているんだ。



村越:なんか日本の神道の神様っぽい。



三石:神道の神々は高等?で厳かなかんじだけれど、ピーの方はそれよりも遥かに庶民的な感じかな。ピーって幽霊のことも指すし。






村越:でも至るところのサーン・プラプームにはお供え物や花が飾ってあって信心深いですね。



三石:しっかりとお祀りをすればその神から守って貰えるのだけど、お祀りしないと天罰が下ったり、悪いピーから守って貰えなかったり。タイの人は、自分の家以外のところで寝るときには、そこの家やホテルの祠に手を合わせて「一晩お世話になります。よろしくお願いします」と祈ったりするんだ。



村越:じゃあ、精霊信仰、アニミズムがタイの宗教なわけですね。

三石:ところが!次はBTSでチットロム駅へ行こう!ラーチャプラソン通りの伊勢丹の前に行こうか。

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村越:金色の仏像をみんな拝んでますね。

三石:あんな仏像ないがな!よく見て!頭が象。あれはヒンドゥー教のガネーシャという神様。学問の神様として信仰されていて、テスト前にはみんなガネーシャに祈りを捧げるんだ。



村越:そいえば、ガネーシャはなんで頭が像なんですか?象のハーフの神様?



三石:色んな説があるんだけどね。シヴァ神の奥さんのパールヴァティーという超美人だけど、怒ると史上最凶に怖い女神がいてね。この神様の子供のガネーシャが、お母さんがお風呂入ってるときに誰も中に入れないように見張り番してたのよ。そこにシヴァ神がやってきて中に入ろうとするのをガネーシャは「ダメです。沐浴中なんで立ち入り禁止です」とシヴァ神を止めたの。そうしたらシヴァ神は激怒。ガネーシャの首をはねてポーンと遠くに投げ捨てちゃった。



村越:ひどっ!

三石:奥さん、お風呂から上がったら大激怒ですよ。シヴァ神はガネーシャの首をさがしに西の方に旅にでるんだけど見つからず、しょうがないので通りがかりの象の首を切り落としてガネーシャの体にくっつけたの。

村越:っていうか象、かわいそう。僕、これでも象使いの資格持ってるんですよ。

三石:え、そんなのどこで取れるの!?

村越:ラオスです。話戻しますけど、シヴァ神ってヒンドゥー教の神様ですよね。

三石:隣の神像も見てみて。頭が3つの。それはトリムルティといって、ブラフマー神・ヴィシュヌ神・シヴァ神を三位一体にしたもの。こちらでは恋愛の神として信仰を集めているんだ。昨日一緒に飲んだタイの人が言うには、木曜日の夜9時過ぎに赤いバラ9本とお線香9本をトリムルティにお供えすると、さらに効力アップなんだって。

村越:なんかいろんなご利益に特化してたり、なんでもありなかんじですね。

三石:そう。それがタイ。タイの宗教は非常に多様なのだ。国教は確かに仏教。それはスコータイ王朝時代の14世紀のリタイ王が衰えゆく王権を仏教思想で立て直そうとしたことから始まっているんだ。もともとあったタンブンの思想がここまで強くなったのもリタイ王以降といわれている。

村越:今もタイの国教は上座部仏教ですよね。

三石:国教は仏教。でも王室関係の重要な行事や祭祀は、実はヒンドゥー教の司祭であるバラモンが祭祀を執り行ってるんだ。王室と政府の紋章はガルダという翼を広げている神鳥なんだけど。

村越:あ、その鳥、バーツ紙幣に描いてある!

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三石:ガルダは天界最強の武闘派のインドラ神とタイマンで戦ったあとにインドラ神から「友達になってくれ」と申し込まれたりしているというエピソードをもつヴィシュヌ神の子分です。契約でヴィシュヌ神の乗り物になることになりました。

村越:なにそのハイヤーの契約みたいな。あ、もしかしてあそこの肩車してる像はまさか!

タイ人が開運したいときスーパーで買うこの食料セット、何だか知ってますか?

三石:こうした様々な宗教が混交しているのを「シンクレティズム」っていいます。タイを仏教国という一面的な捉え方で見ないだけでだけで、もっとタイで目にする色んなものが楽しくなると思うんだ。

村越:え、じゃあもしかすると。三石先生、これ見てもらってもいいですか?空港で撮ったやつなんですけど、関係あるかな。あきらかに仏教ぽくないんですけど。

三石:あー、これか!

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