4月は新しい季節の始まり。入社、入学と新しい人生の一ページに期待を膨らませている人も多いのではないでしょうか。ところで、海外では日本と同じように、卒業後の翌月に入社し社会人になるという、新卒採用システムというものはあるのでしょうか。
今回は、筆者が住むフランスで経験した就活の体験から日仏の就活事情違いについてお話します。
新卒採用は存在しない
フランスにはまず新卒採用は存在しません。日本では、大学卒業後、仕事のことが何もわからないまま入社し、仕事を学ぶところから始まりますね。日本の企業は新入社員を育てるという余裕があるように思います。フランスでは、すぐに企業の即戦力にならなければならず、社員を育てるという概念はありません。新卒採用がないので、日本の大学生のように在学中に就職活動を始めるということはないのです。
学生中にインターンを多くこなすこと
新卒採用も存在しない、すぐに企業の即戦力にならなければならないので、フランスで卒業後仕事を見つけることは、不可能ではないの?と思ってしまいますよね。フランスで卒業後、希望の職に就くには、学生中になるべく多くのインターンをして、就労経験を積むことが大切だと言われています。インターンは日本の新卒採用のように、1から仕事を丁寧に教えてもらえるところも多く、仕事を学べる機会。そして企業にとってもインターン生を安価または無償で雇うことができ、税金対策にもなるという利点も。そして大学または院卒業後、働きぶりが認められてそのままインターン先で働く人もいます。
卒業後当面は無職が当たり前
インターン先でそのまま働けなければ、卒業後は無職となります。ただ、無職であることは珍しいことではなく、かなり多くの学生が卒業後すぐに仕事に就くことができません。簡単なアルバイトをしながら、ひたすら履歴書を送ったりします。なかなか仕事を見つけることができない場合は、再び大学院で他の専攻で学び直すという人も中にはいます。
採用情報では仕事を見つけるのは難しい
企業のホームページやリクルートサイトなどで、求人情報が出ていて、それに応募するのは万国共通。しかし、それで仕事が見つかるかというと、なかなか厳しいのが現実。フランスは一時期10パーセントの失業率がありました。求人情報を出すと、多ければ何百通という応募があるのだそうです。ですので、仕事を見つけるには、求人広告を出していない企業に履歴書を送ることをしなければならないのです。人事課がそこで履歴書を保管しておいて、空きが出た場合に企業から連絡がきて、仕事を見つけたという人も少なくはありません。
またフランスでは、紹介によって仕事を見つけるという人も多いのです。そんな筆者もまた大学院卒業後、フランスで初めて見つけた仕事は、知人の紹介によるもの。知人が勤めている会社が、日本語を話せる人を探しているというので、仕事にありつけた次第です。
専攻分野とは違う職種にはつけない
フランスでは、例えば文学部卒業の人が、銀行などの金融機関で働くというのは、まずありえないこと。大学の専攻を選ぶときに、将来どのような分野で働きたいのかということを明確に持っていないと、卒業後大変なことになります。
厳しい学歴社会
フランスは日本とは種類が違うものの、学歴社会であります。一度、就職してしまえば、その後希望通りの会社に転職するというのは比較的簡単ですが、最初仕事を見つけるのには、学歴が関係してきます。フランスの大学は日本のようにピラミッド型の学歴システムではなく、グランゼコールと呼ばれるエリート学校とそれ以外の大学、というふうに大げさですが天と地のようなレベル分けです。グランゼコールの出身者は、ネットワークも強いというのもありますが、卒業後、比較的簡単に希望の仕事に就くことができます。
筆者はフランスで大学院を卒業して、就職活動をしてみて、その厳しさに驚いてしまいました。日本の就職活動も厳しいと聞きますが、それでも新卒採用で、企業が従業員を育てるという環境があるというのは素晴らしいことだと改めて思いました。
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Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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