あなたはどちらにお住まいですか。住んでいる町は気に入っていますか。
株式会社東洋経済新報社は、全国の市区を対象に「住みよさランキング」を毎年公表しています。814市区(全国791市と東京23区)を対象にした「住みよさランキング」は 1993年以来毎年公表されており、2018年は25回目。都市データパック編集部が、「安心度」「利便度」「快適度」「富裕度」「住居水準充実度」の5つの視点から選び16の統計指標を用いて偏差値を算出してランキング化したものです。
あなたの住む都市は、ランクインしているでしょうか。
[安心度]トップ3
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第1位 合志市(熊本)(前年12位)
第2位 野々市市(石川)(前年11位)
第3位 豊見城市(沖縄)(前年43位)
安心度とは、病院・一般診療所病床数、介護老人福祉施設・介護老人保健施設定員数、出生数(15〜49歳女性人口当たり)、年少人口(0から14歳人口)増減率を基準にランキング。「出生数」 や今回から指標に採用した「年少人口増減率」が高い、鹿児島県や沖縄県など九州・沖縄の市が上位になりました。
第1位は熊本県合志市が選出されています。前年度の第12位からジャンプアップですね。どういう点が人気なのでしょうか。
・合志市では子育て教育に力をつけており、他所からの移住が増加。
・電車で市内方面に行く際は、自転車を乗せて電車に乗ることが可能。
・子育て医療は中学3年生まで無料。小中学校は隣接し、通いやすい。
・地域の目が行き届いている。広域放送は時間を問わず必要に応じ放送され、火事の発生と鎮火などおおよその住所とともに放送される。
地域と住民が密着している様子が伺えます。都会にありがちな、隣の人とは一度も会ったことがないということがないようですね。駅周辺に病院が多い、道の駅や地域野菜の特売所などがあり新鮮な野菜が手に入るなど満足度が高いことが伺えます。ただし、移動手段には車が必要なようです。
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[快適度]トップ3
宮城県松島湾
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第1位 東松島市(宮城)(前年1位)
第2位 福津市(福岡)(前年3位)
第3位 印西市(千葉)(前年12位)
快適度とは、汚水処理人口普及率、都市公園面積、転入・転出人口比率、新設住宅着工戸数を基準にランキング。
第1位は宮城県東松島市が選出されています。東松島市は震災復興関連で「新設住宅着工戸数(14~16年度)」が7位、また「都市公園面積」が11位であることから第1位になりました。東日本大震災で大きな被害を受けた東松島市は、「災害に強く安全を守るまち」「安心して笑顔で暮らせるまち」「産業を育て働く場をつくるまち」の基本理念を掲げ、平成23年度から復興まちづくりを進めています。震災の悲しみを胸に抱きつつ、町は再生し、全体計画期間10年の結果が出てきています。
https://www.city.higashimatsushima.miyagi.jp
東松島市 復興まちづくり計画
https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/88117.pdf
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[利便度]トップ3
東京都武蔵野市
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第1位 武蔵野市(東京)(前年11位)
第2位 野々市市(石川)(前年1位)
第3位 泉佐野市(大阪)(前年7位)
利便度とは、小売業年間商品販売額、大型小売店店舗面積、飲食料品小売事業所数を基準にランキング。
第1位は、東京都武蔵野市が選ばれました。上位には、東京・名古屋・大阪近郊の大都市がランクイン。吉祥寺は、「住みたい町」で常に上位にランキングする人気の町。
●井の頭公園など緑が豊富。
●デパートや駅ビルなど商業施設が多く、個性的で小さなお店もある。
●トレンドのショップと、昔からのレトロな名店が共存している。
●JR中央線、総武線、東西線、京王井の頭線の4種類の路線が利用可能、渋谷や新宿まで30分ほどのアクセスの利便性。
筆者も武蔵野市の隣の市に住んでおりましたが、新宿、渋谷、日本橋、丸の内などほぼ30分以内で行けるアクセスの良さが通勤や外出には便利でした。また中央線の住みやすさは、離れがたい魅力があります。
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[富裕度]トップ3
井の頭公園
第1位 武蔵野市(東京)
第2位 浦安市(千葉)
第3位 みよし市(愛知)
富裕度とは、財政力指数、地方税収入額、課税対象所得額を基準にランキング。ただし、千代田区、中央区、港区など東京23区は、「課税対象所得」のみで偏差値化しているため、ランキング外とします。
第1位は、東京都武蔵野市が選ばれました。利便度、富裕度ともトップです。すごいですね。富裕層の住民が多く、東京23区を除いては、高級住宅地として全国的に知られる芦屋市に次ぐとか。東京で一番潤っている自治体であり、福祉、交通、学習、文化など多方面にわたり行政サービスが充実しています。
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[住居水準充実度]トップ3
第1位 氷見市(富山)
第2位 珠洲市(石川)
第3位 尾花沢市(山形)
住居水準充実度とは、住宅延べ床面積、持ち家世帯比率を基準にランキング。住居水準充実度住宅関連の指標のデータ更新がないため、前年と同じ順位となっています。
第1位は、富山県氷見市でした。富山県は持ち家比率で国内第1位。二世代、三世代同居が多く、人口移動率(転居率)も極めて低い地域。住居水準充実度は北陸、東北、中部地方が上位。核家族の首都圏と異なり、家族が同居し、代々持ち家を引き継いでいることが窺われます。
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「住みよさランキング」総合 トップ3
千葉県印西市
2018年の「住みよさランキング」総合1位は印西市(千葉)で、2012年から7年連続のトップ。2位は長久手市 (愛知)で昨年の3位からアップ、3位は名取市(宮城)で昨年の11位からジャンプアップしました。
印西市の中心は、ベッドタウン「千葉ニュータウン」。イオン、ジョイフル本田、コストコ、ドンキホーテ、スタバ、ユニクロ、ビッグホップなど商業施設が充実。地元で何でも揃えられるので、便利。駅周辺には、銀行の事務センターや大手企業、データセンター、大学なども進出。首都圏まで電車のアクセスは良いものの、交通費は高いのが悩みの種のようです。
総合第1位 印西市(千葉)(7年連続1位)
総合第2位 長久手市 (愛知)(前年3位)
総合第3位 名取市(宮城)(前年11位)
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引越しや移住の参考に
一長一短があっても、ほとんどの人は自分の住む町が気に入っているもの。ランクインしていなくても、知名度が低くても、「うちの町が良いわ」と愛着を感じているものです。
でも、引越しや移住を考えているあなたには、「住みよさランキング」が参考になりそうですよ。
[東洋経済新聞社 第25回全都市「住みよさランキング」(2018年)の結果 ]
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