今ではすっかりおなじみの言葉「B級グルメ」、安くて美味しい庶民的な味のこと。そしてその対比の意味でしばし使われるのが”A級グルメ”、贅沢で高級な料理を指すことが多いそうです。2017年、ユネスコ「食文化創造都市(シティ・オブ・ガストロノミー)」に認定されたマカオ。東西文化が交差するこの美食の街には、一体どんなA級グルメがあるのでしょうか?旅のメインディナーにふさわしい華やかなご馳走をご紹介します。
【マカオ料理】
エキゾチックな香りと味が、古(いにしえ)の時代へと誘う・・・「アフリカンチキン」
別名 ”大航海時代の味” と呼ばれる「アフリカンチキン」。一見アフリカの料理と思われがちですが、この地でしか食べられないマカオ名物。その昔、ポルトガルの船乗りたちが寄港先のアフリカで食した鶏肉料理がベースとなっているそうです。スパイシーなソースをたっぷりかけたものがオーソドックスなスタイル。余ったソースにパンをつけていただいてもGood!
一重にアフリカンチキンと言えども千差万別、お店によって見た目も味も全く異なります。筆者が虜になったのが「IFTエデュケーショナルレストラン」の”進化系アフリカンチキン”。まるでフランス料理のような美しい盛り付け、ミシュランも勧める実力派です 。特製ソースに一晩マリネされたチキンを香ばしくグリル、その下に敷かれるのはアフリカやアラブ発祥の「クスクス」。クセのない味付けなので、ビギナーにもおすすめです。
マカエンセの”おふくろの味”「ミンチィ」
マカエンセとはポルトガル語で、「マカオのポルトガル人子孫」という意味。16世紀の大航海時代マカオに定住するようになったポルトガル人と、現地アジア人との間に生まれた人々のことです。そんな彼らのホッコリする家庭料理を頂きに、タイパにある「Restaurante Litoral Taipa」へやってきました。
「ミンチィ」とは、ひき肉・ニンニク・玉ねぎ・角切りじゃがいもを炒め、醤油やウスターソースなどで味付けしたもの。最後に目玉焼きをのせれば完成、ご飯がすすむガッツリ系メニューです。”醤油”が入ってるいるからでしょうか、初めて食べたのに懐かしい味がします。青と白が美しい「アズレージョタイル」のような器も、さりげなくポルトガル感を演出。
【中国料理】
ウマ過ぎて悶絶・・・ミシュラン三ツ星店の、華麗なる「点心」
点心をつつき中国茶をすする、これぞマカオ的団らんの過ごし方。家族や友人など、大切な人との ”飲茶時間” は、地元民に親しまれる習慣の一つです。せっかくなら、極上の空間で忘れられないひと時を過ごしたいですよね? 訪れたのはグランド・リスボア内にある「The Eight」。プロジェクションマッピング、赤とゴールドを基調とした装飾などで、非日常的な世界観を表現。一気に高揚感が高まります。
いただけるのは40種類以上から選べる、芸術的な点心の数々。数あるマカオの中国レストランの中で、唯一ミシュラン三ツ星を獲得したとありお味は折り紙付きです。ハリネズミの形をしたチャーシューまんや、金魚に扮したぷりっぷりの餃子など、美し過ぎて食べるのがためらわれるほど。一度頬張ればあまりの美味しさに・・・ため息。
味良し・パフォーマンス良し!夢見心地の「北京ダック」
言わずと知れた中国を代表する高級料理。「一度で良いから、北京ダックをたらふく食べ尽くしたい!」なんて夢見る女子も多いのではないでしょうか? ならグランド・ハイアット・マカオ内の「Beijing Kitchen」へと参りましょう。専用窯でじっくり焼き上げられたアヒルを、”丸々一羽” いただけますよ!更に同店名物、 ”北京ダックのカッティングパフォーマンス” にもご注目を。シェフがパーツごとに素早くさばいていく様は実に圧巻です。
サックサクの皮は軽い食感、口の中で即座に溶けていきます。ちょっぴり ”砂糖” をつけて頂くのが乙な食べ方だそう。お肉はどの部位も上品な甘味。脂が乗っているのに、油っこくない・・・なんとも絶妙なバランスです。
【ポルトガル料理】
お酒が進む罪なやつ!「アサリのワイン蒸し ”ブリャオン・パト風”」
美味しいワイン片手に本格ポルトガル料理を頂くなら「Mariazinha」。人気観光スポット「聖ポール天主堂跡」のすぐ近く、マカオ半島の夜を締めくくるのにふさわしいお店です。
料理はいたってシンプル、アサリをにんにくとオリーブオイルで炒めワイン蒸し。最後にレモンを絞って・・・と一見どこにでもありそうですが、味の決め手は「パクチー」。日本ではタイ料理に使われるイメージが強い香草ですが、実は地中海沿岸や中東地域を始め様々な国で親しまれています。ポルトガルでは「コエントロ」と呼ばれ、フレッシュハーブとして馴染み深い食材なんだとか。
ちなみにブリャオン・パト(Raimundo António de Bulhão Pato)は、19世紀のポルトガル作家。グルメで知られた彼が好んで食べていたのがこの「アサリのワイン蒸し」だそう。料理を生み出したシェフでなく、食べた人の名がつけられるって凄くないですか? よっぽど料理の知名度UPに貢献したのでしょう・・・これぞ真のインフルエンサーですね。
「バカリャウ」を食べずに、ポルトガル料理を語るべからず!
「Mariazinha」ご自慢料理、まだまだ続きます。”バカリャウ”とは塩漬けにした鱈(タラ)のこと。ポルトガルでは1,000種類以上のバカリャウ料理があると言われるほど、メジャーな食材。中でもじゃがいも・玉ねぎ・パセリをミックスし形どったコロッケは、ポルトガル料理のド定番。独特の食感と塩気があと引く美味しさです。
メインディッシュにふさわしい「干し鱈のグリル」。見てください、この肉厚な白身!食べごたえ満点です。
マカオで3大料理を全制覇!絶対に食べたい味がある
東西文化を融合した「マカオ料理」を始めとし、「中国料理」「ポルトガル料理」も食べられるマカオ。様々な国の文字通り”おいしいとこ取り”ができるこの街で、食を通してミックスカルチャーを体感。マカオの◯級グルメ・シリーズ第一弾は、ご褒美ディナーにふさわしいA級グルメをご紹介しました。次回はマカオの安旨B級グルメをお届けします、お楽しみに!
[All photos by Ai Kaneko]
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『協力:マカオ政府観光局』 URL:http://en.macaotourism.gov.mo