
11月の下旬のこと。外を眺めたら、白いものが沢山ちらついています。これは雪?そこまで寒くもないし、そんな時期でもないのに!?そんなことを思っていたら、知人から、「それは雪虫。冬の訪れを告げる虫なんです」と教えてもらいました。ご存知でしたか?
雪虫の正体

(c)和みの風
今まで雪虫を知らなかったとは不覚でした。特に北海道から東北にかけて多くみられるようですが、広範囲に生息しているようです。
雪虫は、アブラムシ科の昆虫で、正式名称をトドノネオオワタムシといいます。綿のような白いものは、白腺物質と言われる蝋のようなものだそう。晩秋に産卵し、住みかとする木を変える際に移動します。
雪虫でも、トドノオオワタムシでもぴんと来ない方、いろいろな呼び名があるようなのでご紹介します。
水戸・・・オユキコジョロ
東京・・・オオワタ、シーラッコ
伊豆・・・シロバンバ
伊勢・・・オナツコジョロ
京都・・・白子屋お駒はん
大和など・・・白粉婆(シロコババ)
筆者は神奈川県民ですが、東京や伊豆での呼び方を一度も聞いたことありませんでした。結構風流な名前がついていますよね。
なぜ冬の訪れを告げられるのか?

(c)和みの風
北海道では雪虫が現れると、雪が降ると言われているそうです。見かけると、1~2週間くらいで雪が降ることが多いんですって。
神奈川では、見かけても雪は降らないでしょうが、確かに冬らしい気候になってからの登場でした。変温動物なので、生き延びるために季節には敏感のようです。詳しいことはまだわかっていないそうですが、雪虫は、温度のほか、日の長さや餌となる樹液の成分の変化からも察知していると考えられています。
また飛ぶ力が弱いので、風が弱い高気圧のときに飛び立つと、その後冬型の気圧配置がやってくるので、冬になるタイミングでの登場になるとも考えられています。

(c)Shio Narumi
じっくり雪虫をみた人は、白い羽がついたクリオネみたいだと評していました。風に流されるので、余計に雪が舞うように見えるのですね。
昔は子どもが追っかけて遊んでいたそうです。雪虫は冬の季語と知り、人々が大分前から雪虫を冬の訪れのサインとして捉えてきたのだとやや感激もしますが、なにせ初めて認識した虫です。
前回見かけてから1週間ほど経ち、見つけても飛んでいるのは1匹だけ。それも寿命がたったの1週間と聞いて納得です。この間見たものたちは、もう天寿を全うしたのでしょう。粉雪が手の上で溶けてしまうように、雪虫もあっという間に消えてしまうのですね・・・。
参考
[地層科学研究所]
[ウェザーニュース]
[宮城県神社庁]
[tenki.jp]
[雪虫|コトバンク]
[シーラッコ|コトバンク]

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Shio Narumi ライター
イタリアはフィレンツェとタオルミーナの料理留学、イギリスはウエストン・スーパー・メアとケンブリッジの花留学を経て、現在はロンドンと神奈川を行ったり来たり。飛行時間の大幅短縮が実現するよう、心から科学の進歩を願う水瓶座。
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