先日、日本のナマハゲなどの来訪神が選ばれ話題となったユネスコ無形文化遺産。フランスからは、南仏の町グラースで長年続く、芳香植物の栽培技術と調香の技術が選ばれました。
古くから香水を身に着ける習慣が定着しているフランス。かのフランス王妃マリーアントワネットも香水を愛用し、植物性のナチュラルで繊細な香りを好んでいたのだとか。
フランスでは体臭をごまかす目的で香水を使っていた人が多かったところ、入浴の習慣があった彼女にとって、香水は香りを楽しむためのもの。当時ファッションリーダーだった彼女のこの発想が、香水の流行を変えたと言われ、現在もなおファッションとして親しまれています。そんなフランスで、自分だけのオリジナル香水を作る体験ができるアトリエがあるんです。
南仏にある香水の町、グラース
カンヌの北、南仏にある小さな町グラースは、多くの香水ブランドの工場やお店が軒を連ね、フランス国内でも香水の町として知られています。その町の中心地から少し離れた場所にある、ガリマール(Galimard)は、なんと1747年から続く老舗の香水専門店。
この由緒ある香水専門店で、自分の好きな香りを選んで香水を作るという体験ができるんです。調香したフレグランスはその場で瓶詰めをしてくれるので、お持ち帰りOK。基本的には香りと向き合う作業なので、言葉の心配もそれほど感じずに楽しめるのではないかと思います。
まずは、自分の好きな香りを想像してみましょう
店舗の奥に広がる香水の調香アトリエ。これから調香するデスクの前には、エッセンシャルオイルの小さなボトルがずらりと並んでいます。3段の棚に並べられたエッセンシャルオイルはこれから調香していく上で大切な意味があるんですが、それはあとのお楽しみ。
まずは作業の前、一番最初に担当の方から聞かれるのは「どんな香りが好きですか?」という質問。とっさにどんな香りを想像するでしょう。花の香り、葉っぱの匂い、フルーツの香り、海の空気、森の雰囲気など、まずは漠然としたイメージを伝えます。
いよいよ調香スタート。自分の香りの感覚を研ぎ澄ます時間。
最初に答えた香りのイメージに従って、調香師の方がベースとなる香りのオプションを5本程選んでくれます。順番に香りを嗅いでいき、自分のイメージに合う一本を選びましょう。
調香していく過程で基本となるのは、ベースノート、ミドルノート、トップノートの3種類の香りを選ぶこと。目の前の3段の棚は、その順番に並べられていました。ベースの香りが選び終わったら、担当の方がそのオイルを抽出して他の瓶へ移してくれます。
次にミドルノート用の2段目の棚から、先程と同じように5本程のオプションを提案してくれるので、その中から好きな香りを選び、最後に一番上の段のトップノートも同じように選んでいきます。ひと瓶ごとに香りの印象をメモしながらお気に入りを決める、自分の感覚と向き合う時間です。
完成。自分の好きな香りを合わせていくと、どんな香りが生まれるでしょう。
香りを選ぶ作業が終わったら、後はプロの方が調合してくれます。最後のミッション、それは今作ったオリジナル香水の命名です。自分でつけた名前はラベルにしてくれて専用ボトルに貼られ、これで完成。作ったフレグランスはその場で渡してくれますが、香りが馴染むまで1週間くらい開栓を待ってくださいとのことでした。選んだ直後に嗅いだ香りと少し変化が感じられるはずです。
ちなみに、作業中は担当の方はつきっきりという訳でもなく、香りを嗅ぎ分けている時は基本的にどこかへ行ってしまうので、自由に香りを選ぶ作業と向き合えます。香りの組み合わせによって新しい香りと出会える、フランスならではの文化体験。旅のいい思い出になるはずですよ。
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minacono ライター
日本とカナダで観光業界に勤務。旅行会社、現地ツアーオペレーター、航空会社、観光局、いろんな分野で旅と関わってきました。現在はフランス在住。美味しい食べ物とお酒がうまく出会った時すぐ感動する。犬好き。でも猫みたいな性格に憧れる。
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