「スピリチュアルな世界が苦手な方は、ご遠慮ください」
今回は、スピが嫌いな人が読んだら気分が悪くなりそうなルポをお届けします。スピや占いが大好きですが、妄信的ではない筆者が、ロンドンで霊媒の練習会とリーディングに行ってきました。
スピリチュアリスト・チャーチとは?
イギリスでは19世紀に発足したというスピリチュアルな団体で、特に英語圏に多いようです。
10年前のデータですが、BBCによると、イギリス国内に350のスピリチュアリスト・チャーチやセンターがあるとされています。
日曜に礼拝があり、祈り、賛美歌といった一般的な教会にもある活動に加え、スピリチュアル哲学などについて霊媒師が話をします。
その他、霊媒の練習会や、霊媒師によるリーディングサービスなどを有料で行っています。
イギリスにおけるスピや星占い
スピリチュアルや占いの先進国と言われるイギリス。イギリス人にとってこれらは身近なものなのでしょうか?
何人かの知人に訊いたという小規模調査ですが、スピリチュアリスト・チャーチはよく知らない、ということでした。
以前、日本では有名な(と筆者の感じている)イギリスの西洋占星術師を知っているか、イギリス人に質問したところ、聞いたことがないと言われたときは驚きました。国民的な有名人だろうと想像していたからです。
どうも、ふつうのイギリス人は、思ったほどスピ系や星占いの話にのってこない印象があります。日本人と同程度です。
個人的な見解では、スピな世界ではイギリスは先進国かもしれないですが、スピが日本よりも浸透しているわけではないという印象です。
霊媒の練習会
ロンドンのとあるスピリチュアリスト・チャーチのホームページに、毎週同じ曜日に初心者向けの霊媒能力開発サークルが活動しているとありました。1時間半ほどで1回£6。いま、ポンドの動きが激しいですが、900円しないくらいの気軽な参加費で、予約不要です。
訪れてみると、日本でいう公民館のような建物です。中に入ると、薄紫をベースとしていて、普通の教会のような雰囲気です。
既に参加者が輪になって椅子に腰かけていました。全部で15人ほどで、男性は3人、あとは女性です。年齢は20代が多いようですが、50代と思しき人もいます。イギリス人が多いようでした。
席に着いて、時間になると、講師が新入りの私を皆に紹介しました。すぐにヒーリング系の音楽がかかり、隣の人々と手をつないで目を閉じます。
講師の案内で瞑想を進め、各自ガイド(守護霊)に問いかけをします。その後、瞑想を終了させると、順番に何が見えたのか、ガイドから何を言われたのかを発表します。
他の人々は、紫の光が見えたとか、何も語り掛けてこなかったとか、違う国の子供が見えた、とか、自信をもって答えていました。筆者は、瞑想ができたのか、できていないのかさえよくわからず、さらに見えたようなものをみんなに発表するという、未体験の気恥ずかしさが辛かったです。
ペアを組んだ人々
その後は、講師がペアを指定し、2人でお互いのガイドにアクセスするという練習の時間です。
生徒が奇数だったため、筆者は3人で練習することになりました。ラテン系とアジア系の非ネイティブの2人と組むことになり、語学的にはちょっと安心です。
練習では、相手の手を握って、ガイドに降りてきてもらうようお願いします。
まず、ラテン系がアジア系を読むことに。意識を集中して取り込みます。顔を上げると、「最近眠れていないはず」「あなたのおばあさんが、あなたはやがて立派な家を持つことになると言っている」「あなたは右腿の付け根が痛いはず。病院に行った方がいい」など言います。アジア系は、健康面でのリーディング結果に、確かにそうだと頷いています。初心者なのに、ここまでできるのかとびっくりです。
その後ラテン系が筆者を読むことに。まず、「ダック好き?最近ダック食べた?」と質問。数日前に北京ダックをオーダーしたら、フライドチキンと思しきものが出てきた怒りがまだ残っていたようです。それを当てられて、おかしくなって笑いを噛み殺していると、「スピリチュアルな世界を知りたいという欲求がすごく見える」「あなたのおばあさんが、最近のあなたはバランスが取れていないと言っている。落ち込むな、前を見なさいと言っている」と言われました。とりあえず、どれも当たっているように思いました。
彼女は、自分はミディアム(霊媒師)の能力があると知っていて、何年も練習をしているところなのだそうです。
アジア系はまだ、うまくリーディングができず、ラテン系に違う!と指摘されていました。彼女は、特に才能はないのだけれど、練習で身につけられると聞き、努力中とのこと。
筆者もとりあえず実践してみましたが、何も見えず。ラテン系に、「そもそもあなたは、ミディアムなのかサイキックなのか?どっち?」と聞かれ、どちらでもないと思いつつわからないと答えると、がっかりされたうえ、何しにきたんだと2人に軽く詰問されました。
初心者向けって書いてあったし、軽い気持ちで来たんだけどと答えたら、「みんな真剣に練習をしているだよ。ユーチューブ見たりして家でも練習しないとだめ」と言われました。
まさかの展開でした。「なんであなたはリーディングができるのに、初心者向けの回に来ているの?」と反撃したら、ただ練習の場が欲しいから来ているとのことでした。気性は激しいけれど、世話焼きのいい人でした。
プロのリーディング
さて、スピリチュアリスト・チャーチでは、プロによるリーディングをやっています。これが、30分£18という気軽な値段です。教会の雰囲気から、勧誘や監禁など、危険なこともなさそうだと思ったので、翌日のリーディングを申し込みました。
個室に入ると、手を握ることもなく、「あなたのおばあさんと思われる人が来ています。あなたとつながれて興奮している」とさっそくセッションがスタート。
ここでも、メインメッセージは、「落ち込むな」「ポジティブでいること」でした。まあ、これなら筆者のそのときの雰囲気から言えないこともないのですが、前日と同じことを言われて少々驚きました。「あなたのおばあさんがエネルギーをわけると言っている」とのことでした。
セッションではまず、見えた人物の特徴を細かく伝えられます。そのうえで、あなたのおばあさんよね?と確認されるのですが、そのときは、いまいちぴんと来ず、首をかしげていました。
あとで調べてみたらわかるはず、と自信満々に言われ、そのときメモした、「部屋に鳥かごがある、手先が器用で手芸を仕事にしている」などを母に確認したら、「おばあちゃんは、鳥を飼っていたし、刺繍の仕事をしていた」とのこと。体型など当てはまらないこともありましたが、不思議な気分になりました。
またミディアムのプロは、太極拳のようなしぐさをしながら、「私はこれをなんていうのか分からないけれど、こんなイメージが伝わってくるわ」と言ったり、「脛が痛くて歩きづらい男性が見える」と言ったりしました。筆者の母は太極拳を習っていて、父は脛ではないですが冬場は足が痛みます。
彼女たちが本物かどうかは断言できませんが、偶然では片づけられない部分がありました。何より、セッション後にポジティブな気持ちになったという変化があったので行ってよかったのは確かです。
参考
[The Spiritualist]
[BBC]
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