常識をくつがえす!?優しいおいしさ。栃木県人が愛する『レモン牛乳』の物語

Posted by: TOSHI

掲載日: May 20th, 2019

「レモン果汁を加えると、酸で、牛乳が固まる」と教わりませんでしたか?ところが栃木県には『レモン牛乳(通称)』と呼ばれる飲みものがあるのです。戦後まもなく誕生し、県民に愛され続けています。今回はその誕生秘話について、インタビューしました。

「レモン果汁を加えると、酸で、牛乳が固まる」と教わりませんでしたか?ところが栃木県には『レモン牛乳(通称)』と呼ばれる飲みものがあるのです。ある面で、常識をくつがえす組み合わせの味、といえましょう。戦後まもなく誕生し、県民に愛され続けました。今回は、その誕生秘話についてインタビュー。

レモン牛乳は戦後まもなく誕生。甘いものが貴重な時代から今まで、愛され続けるエピソードがぐっとくる

レモンと牛乳

子どもの頃に、こう教わりませんでしたか?「レモン果汁を加えると、酸で、牛乳が固まる」と・・・。

ところが栃木県には、『レモン牛乳(通称)』と呼ばれる飲みものがあるんです。しかも県民に愛され続けているというんですね。

その誕生は、なんと戦後まもなくに遡ります!!

レモン牛乳パック
(C)TOSHI

こちらが通称、『レモン牛乳』。正式名は「関東・栃木レモン」といいます。

繰り返しますが、昭和の、戦後まもなくに誕生した乳飲料です。宇都宮市の関東牛乳が「関東レモン牛乳」の名称で発売していました。甘いものが貴重な時代、子どもにとっては特別な日に給食などに出される贅沢品でもあったようだ、といいます。ぐっときますね。

以来、人気は衰えず、懐かしい栃木の味として長い間親しまれてきました。けれど、平成16年に関東牛乳は廃業し、レモン牛乳は姿を消したのです。

しかし、慣れ親しんだ味が無くなるのは寂しい、と多くの声があがります。翌年、栃木乳業が製造法を受け継ぎ、「関東・栃木レモン」として復活を遂げたのです。蘇ったレモン牛乳は人気が再燃。テレビ番組で紹介されるなど、その知名度は全国版になりつつあり、今や県民だけのレモン牛乳ではなくなった、とのこと。

それにしても、なぜ「レモンと牛乳」という組み合わせに?

レモン牛乳イメージ

レモン牛乳は、栃木県産の生乳に、砂糖やレモン香料などを加えたレモン色の乳飲料です。前述しましたが、レモン果汁を加えると酸で牛乳が固まってしまいます。そのため、実際には果汁は入っていませんが、ミルクのまろやかさに加えてほんのりと甘酸っぱいレモンの香りとともに広がる甘さがあります。

でも、「レモン果汁を加えると、酸で、牛乳が固まる」といわれた時点で、普通は、レモンと牛乳をミックスさせた味の飲みものを作ろうとは思いませんよね。ある面で、常識をくつがえす組み合わせの味といえましょう。

そして、おいしいんですよ!

個人的に、ミルキーかつさわやかで軽やかな、レアチーズケーキのような味がすると思います。でも、食べものじゃなくて、飲みものである所がいいんですよ・・・飲むと、最初にレモン風味の爽快感のある甘みがきて、次にミルクの甘さがくるのがたまりません。のどごしもよくて。とにかく、クセになるような、日常的にほしくなるような味というのでしょうか。

これはインタビューさせていただかなければなりません・・・。

甘いものが貴重な時代に、小さいお子様から年配の方までなんとか気軽に口にすることができないか?と考えた

栃木名物イメージ花

県民の愛する『レモン牛乳』の物語。栃木乳業株式会社の吉村さんがインタビューに応じてくださいました。

――よろしくお願いいたします!『レモン牛乳』、正式名は「関東・栃木レモン」ですね。とてもおいしいですが、なぜ「レモンと牛乳」だったのでしょう?ある面、常識をくつがえす組み合わせの味だと思います。

吉村:甘いものが貴重な時代に小さいお子様から年配の方までなんとか気軽に口にすることができないか?と考えたのがレモン牛乳です。レモンが貴重で、香りと色をつけた黄色く可愛いイメージにしたそうです。

レモン1

――そうだったんですか。消費者への愛を感じます。レモンは貴重だったんですね。栃木県の消費者の皆様のお声、感想はどうでしょうか?

吉村:年配の方には小さい頃に運動会や給食など特別な日に飲んでいたそうで、昔を思い出し、どことなくなつかしい味がやめられないそうです。

甘さとレモンの味が、みんなに親しまれ特別な日が待ちきれなかった。当時と変わらない甘さ

レモン箱入り

――戦後まもない、甘いものが貴重な時代、子どもにとっては特別な日の給食などに出される贅沢品でもあったとか。今飲んでも、これだけおいしいものを、当時に飲んだ方々はどんな気持ちだっただろう、と思います。具体的なエピソードがあれば教えてくださいませんか?

吉村:昔は、なかなか味わうことのできなかったレモン味ですから、甘さとレモンの味が、みんなに親しまれ特別な日が待ちきれなかったそうです。

――待ちきれなかった。そんなに愛されていたんですね。そして今も。製造中止の憂き目もありました。惜しむ声が相次いだそうで・・・。

吉村:特に年配の方から、惜しむ声が多かったそうです。

――それこそ、家族3世代で飲んでいらっしゃる方もいるでしょうし、学校で、皆で飲んだ方だとか、思い出を共有できる味があるって素晴らしいことですよね。

吉村:お子さまや、お孫さんと飲むときは、子どもの頃の話をされたようで、お子さまたちも、話を聞くのも楽しみの一つだという方もいます。

牛乳に入ったレモン

――これは、戦後まもなく誕生した当時から、ほぼ同じ味なのでしょうか。関東牛乳様からノウハウを受け継ぐ時、何か言われたことはありますか。

吉村:今は甘さ控えめの食べ物や飲み物が多い中、昔のまままったく変えずにいます。中には甘すぎると思う方もいますが、なつかしく飲む方々を大切にこれからも味を変えることはいたしません。

――旅行先で飲んだ時から忘れられません。他県人が買う方法はありますか。

吉村:昔は栃木県内だけだったのですが、今では、都内のスーパーなどでも見かけることができます。会社にフリーダイヤルでお電話いただければ、近くの買える所を案内できます。県内のPA、道の駅などでも飲めますので旅行の際はぜひ、飲んでみて下さい。ソフトクリームを置いてある所もあるそうです。

――本当にどうもありがとうございました。皆様の今後のますますのご活躍に期待しております!最後に、ぜひTABIZINEの読者にメッセージを。

吉村:まだ知らない方、飲んでいない方は、戦後間もない頃からずっと愛されている味をぜひ、一度お飲みください。はまる人ははまる飲みものです。

栃木乳業株式会社公式サイト レモン牛乳物語
https://www.tochigimilk.co.jp/remon-story.html

[All Photos by shutterstock.com]

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PROFILE

TOSHI

toshi ライター

取材なら、どこに行っても、誰に会っても感動できるのが特技のライター、作家。「人は思い通りにならないけれど、自分が思いつきもしない、素敵な答えを言ってくれる」と、最近思います。クルーズ旅行を日本に広める活動の一端を担いたい。

著書「美しい人々 人間の美しさを追う」など。作家名は竹井夙(たけいとし)。

取材なら、どこに行っても、誰に会っても感動できるのが特技のライター、作家。「人は思い通りにならないけれど、自分が思いつきもしない、素敵な答えを言ってくれる」と、最近思います。クルーズ旅行を日本に広める活動の一端を担いたい。

著書「美しい人々 人間の美しさを追う」など。作家名は竹井夙(たけいとし)。

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