一足先に、夏色の絶景へ連れて行って【第9回】|たったひとつを叶える旅<54>

Posted by: 青山 沙羅

掲載日: May 29th, 2019

旅の目的は「たったひとつ」が潔いと思いませんか。今回の「たったひとつ」は、子供時代の気持ちに戻っていく夏色の絶景。山形県の神さまの宿る池「丸池様」、岩手県の地元住民すら知らなかった秘境、秋田県鳥海山の湧き水「元滝伏流水」、青森県の太古の森 白神山地など。

元滝伏流水/秋田県にかほ市

旅の目的は「たったひとつ」で良い

旅の目的は「たったひとつ」が潔いと思いませんか。
あれもこれもと盛りだくさんは、大人には野暮というもの。情報が氾濫している現代だからこそ、余計なものは削ぎ落として、自分の「たったひとつ」を選び取るのが粋。旅の荷物はシンプルに、期待だけを詰めて。

私たちがまだ訪れたことのない、未知の場所や絶景。
笑顔で迎えてくれる、あたたかい地元のひと。
生産地ならではの、新鮮で美味しいもの。

珠玉のように散らばる日本各地の魅力を発信する「ONESTORY(ワンストーリー)」。「ONE=1ヵ所」を求めて日本を旅するメディアから、私たちの「たったひとつ」が見つかりそうです。

ワクワクする夏がやってくる

日差しが日ごとに強くなってきて、夏の訪れを感じます。大人になってしまうと、「夏は暑くて、汗をかくからいや」「夏の満員電車は最悪」などとネガティブなことを考えがち。

子供の頃は、ジリジリする太陽、真っ青な海、濃い緑の森、モクモクの入道雲、水の冷たさ、冷えたスイカなど、夏ならではの風物詩にあんなに焦がれていたのに。気持ちの片隅に隠れていた夏への憧れを、呼び起こしてみましょう。きっと気持ちがワクワクして、夏色の旅に出たくなりますよ。

山形県飽海(あくみ)郡 驚くほどの透明度 神さまの宿る池

丸池様/山形県飽海(あくみ)郡

鳥海山(ちょうかいざん)の伏流水(湧水)だけで出来ている、古くから地域住民に信仰されてきた池。池そのものが神様なので、敬意をこめて「丸池様」と呼ばれています。天気が良い日は光の加減でエメラルドグリーンになり、底まで見えるほど透明度が高く冷たい水は、水鏡に景色を写します。丸池様のあたりは厳かで神聖な気配が漂っており、神秘さに心を打たれるでしょう。

この池は、県内唯一といわれる湧水のみを、水源としています。直径約20m、水深3m50cm。
水はあくまで冷たく澄んでおり、水中の倒木さえもなかなか朽ち果てず、まるで龍のごとく池底にひそんでいます。
「丸池様」なる信仰の対象となっており、けっして魚など捕ってはなりません。
この「丸池様」の社叢(神社の森)は全くの原始林なので、町の天然記念物にも指定され、保護につとめております。

1996年9月 遊佐環境百年委員会 やまがた庄内観光サイト
https://mokkedano.net/spot/30180

■もっと知りたくなったら
ONESTORY(ワンストーリー)
池そのものが御神体。長きにわたりひっそりと信仰されてきた神の池。[丸池様/山形県飽海(あくみ)郡]

丸池様
住所 : 山形県飽海(あくみ)郡遊佐町吹浦(ふくら)字七曲堰東56 
アクセス : JR東日本羽越本線吹浦駅から車で5分/日本海東北自動車道酒田みなとICから車で約25分

岩手県東山町 地元住民すら知らなかった秘境

猊鼻渓(げいびけい)/岩手県東山町

岩手の母なる川、北上川の支流である砂鉄川沿いに、高さ50mを超える石灰岩の岸壁が、およそ2km続く渓谷。明治時代までは、地元住民でさえ知らなかった秘境と言われます。春は藤の花、夏は深緑、秋は紅葉、冬は淡雪と、四季折々の魅力を見せる水の郷。舟下りのクライマックスで船頭が唄う「げいび追分」も是非聴いてみたいものです。

■もっと知りたくなったら
ONESTORY(ワンストーリー)
季節の色彩を映す水面を舟が滑り、苔むす岩肌に船頭の歌が響く。[猊鼻渓(げいびけい)/岩手県東山町]

猊鼻渓
住所:岩手県一関市東山町長坂 
アクセス:東北自動車道一関ICから車で約30分/JR東日本大船渡線猊鼻渓駅から徒歩約5分

秋田県にかほ市 苔むした岩肌をつたう鳥海山の湧き水

元滝伏流水/秋田県にかほ市

滝ファンが「絶対に訪れたい場所」として絶大な人気がある、秋田県「元滝伏流水」。鳥海山に染み込んだ水が一日5万トンも湧き出している、平成の名水百選にも選ばれた滝。苔むす緑の岩肌に流れ落ちる湧水は、緑と白のコントラストが涼やかで清涼感がいっぱい。青々とした木々に囲まれた神秘的な空間は夏もひんやりと涼しく、まさに天然のクーラー。

■もっと知りたくなったら
ONESTORY(ワンストーリー)
湧水ならではの繊細な表情で魅了する、幽玄で流麗な清流がここに。[元滝伏流水/秋田県にかほ市]

元滝伏流水
住所:秋田県にかほ市象潟町本郷 
アクセス:JR東日本羽越本線象潟駅から車で約20分

青森県中津軽郡 人の手が及ばない太古の森 白神山地

白神山地/青森県中津軽郡

1993年自然遺産に登録された白神山地は、東アジアで最大の原生的なブナ林が約13万ha広がる山域。広大なブナ林の生態系が形成されたのは、最後の氷河期後の約8,000年前と言われます。手つかずの自然の中にはクマゲラ(キツツキの種類)などの鳥類、ニホンカモシカ、ツキノワグマなど貴重な動植物が生息。核心地域は登山道も整備されず、できるだけ人が入らないように保護されています。

■もっと知りたくなったら
ONESTORY(ワンストーリー)
世界最大級のブナの原生林が示す、森を守る大切さと尊さ。[白神山地/青森県中津軽郡]

白神山地
住所:青森県中津軽郡西目屋村大字田代字神田61-1(白神山地ビジターセンター) 
アクセス:東北自動車道大鰐弘前(おおわにひろさき)ICから車で約60分/青森空港から車で約1時間20分/JR東日本弘南鉄道弘前駅から車で約40分、弘南バス弘前バスターミナルから白神ライン直通バス乗車、田代(西目屋村役場前)下車、約55分 ※全て拠点となる白神山地ビジターセンター

今回のたったひとつは、子供時代の気持ちに戻っていく夏色の絶景。私たちが旅へ向かわずにいられないのは、日常で求められない「たったひとつ」に出逢うためなのです。

PROFILE

青山 沙羅

sara-aoyama ライター

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。恋い焦がれた末、幾年月を経て、ついには上陸。旅の重要ポイントは、その土地の安くて美味しいものを食すこと。特技は、早寝早起き早メシ。人生のモットーは、『やられたら、やり返せ』。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。

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