写真がない時代、人相確認はどうしてた?パスポートの歴史トリビア8つ

Posted by: あやみ

掲載日: Jun 17th, 2019

海外に行くときに必ず持っていかなければいけないパスポート。そんな重要な身分証明書であるパスポートですが、いつから必要になったんでしょうか。パスポートの歴史トリビアに迫ります。

海外に行くときに必ず持っていかなければいけないパスポート。忘れてしまうと、飛行機に搭乗することさえできません。また渡航先でパスポートを紛失してしまうと大変! 日本大使館や総領事館に行って、一時帰国のための渡航書を発行してもらわなければいけません。

そんな重要な身分証明書であるパスポートですが、いつから必要になったんでしょうか。パスポートの歴史トリビアに迫ります。

日本で初めてパスポートが発行されたのはいつ?

パスポートが日本で初めて発行されたのは、江戸時代です。慶応2年(1866年)4月7日(旧暦)に条約締結済みの国へ身分(士農工商)に関係なく、修学と商業の目的に限って渡航を許されるようになりました。ですが、当時、パスポートを持って行ける国は、アメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ロシア、ポルトガル、スイス、プロシア(ドイツ帝国建設の主動力,中核となった王国)に限られていたそうです。

日本で初めてパスポートを手にした人物は誰?

日本で初めてパスポートを手にした人物は、幕末から明治時代の手品師、曲芸師である隅田川浪五郎氏です。慶応2年(1866年)10月17日(旧暦)に、第1号パスポートが隅田川氏に発行されました。隅田川氏は慶応2年にアメリカ人の興行師、バタフライ・トリックに雇われて、浜碇定吉ら18名と共に渡米したそうです。

隅田川氏は翌年パリ万国博覧会で公演し、ヨーロッパ各地を巡演。明治2年(1869年)ごろ帰国したとのこと。

パスポートには人相についての項目もあった

今でこそ写真が入っているのが当たり前なパスポートですが、江戸時代には写真がありませんでした。しかし、重要な身分証明証となるパスポートですから、本人確認は必須なわけです。そのため、パスポートには年齢、面、身長、眼、鼻、口のかたちなど身体的特徴や人相についての項目がありました。刺青(彫り物)の記載まであったそうです。もちろん全て墨を使って手書きで書かれています。

現存する最古の日本のパスポートとは?

現存する最古の日本のパスポートは、第3号パスポートを発行された横浜在住の亀吉氏のパスポートです。亀吉氏は前述の一座の一員でもあります。このパスポートの裏面の末尾には「The Foreign Office Yedo(またはJedo) Japan」と記載されていて、なんだかクールです。現在、亀吉氏のパスポートは外務省の外交史料館に保管されています。

「旅券」という名称が確定したのはいつ?

実は明治維新前後しばらくは、パスポートにあたる名称は確定していませんでした。 明治11年(1878年)2月20日(旧暦)に、政府は「海外旅券規則」を制定。ようやく近代旅券法を確立し「旅券」という名称が確定しました。

また、日本のパスポートに写真が貼付されるようになったのは1917年(大正6)からです。過去10年で4回も改正した旅券形態でしたが、このとき賞状型へと変わりました。

パスポートが手帳型に変わった理由とは?

賞状型だった明治時代のパスポートが、なぜ現在の手帳型に変わったのでしょうか。その理由は1920年(大正9年)にパリで開催された国際会議でパスポートを手帳型に統一すると決定したからなんです。日本もその決定に従い、パスポートを手帳型にしました。

パスポートにICチップが埋め込まれるようになった理由って?

パスポートにICチップが埋め込まれるようになったのは、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロが原因です。偽変造対策をより強化するため、それまでの機械読取旅券(MRP)にかわってIC旅券を導入すべきだという気運が高まったんです。

2004年11月、最初にIC旅券を導入したのはベルギー。日本は2006年3月に導入し、世界で10番目の導入となりました。

ICチップにはどんな情報が入っているの?

ICチップには、旅券面に記載される情報や名義人の顔写真、指紋、虹彩などの生体認証情報の記載、当該国が発行したことを証明する電子署名も入っています。現在の日本のパスポートには、生体認証情報として顔写真のみ記載されているとのこと。シェンゲン加盟国の一部ではICチップに指紋情報が入っている国もあるそうです。

※シェンゲン加盟国
ヨーロッパの加盟国間で、出入国検査なしで国境を越えることを許可する協定のこと。

日本で初めてパスポートが発行されてから150年あまり。パスポートは進化し続けていますね。100年後の未来ではどのようなパスポートが使われているのでしょうか。少し怖いですが、人体に埋め込まれたICチップがそのままパスポートとして機能するようになるかも? とSF映画さながらの想像をしてしまいました(笑)。

参考
[外務省HP]

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

あやみ

Ayami ライター

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

フリーライター。劇団員、OL、WEB編集ライターを経て、フリーランスになる。辛い食べ物、東南アジアが大好き。旅するように生きるのが人生の目標。

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