
(写真:富岡ビジターセンターパンフレットより)
富岡の海×蘇る富岡城

唐津城主・寺沢広高が関ケ原の戦いの後、1602年頃から築いた「富岡城(とみおかじょう)」は、1637年の島原・天草一揆では幕府軍の拠点として一揆勢の攻撃で落城寸前まで追い込まれました。一揆の後、海外列強に備えた基地となった後、天草は天領となり1664年に戸田忠昌が入城しますが、城の維持管理が島民の負担になっていると感じ、三の丸に藩庁を残し本丸・二の丸を廃城。明治初期まで天草行政の中心となりました。

現在、二の丸・本丸・石垣・櫓など整備され、蘇る富岡城。

絶景の湾の海と吹く風に飛んでく疲れ!
ハート型の袋池×伝説

自販機と椅子のある小部屋でひと休み。そこから見えるハート型の「袋池」には伝説も・・・。

「ある米屋の一人娘に両親が良い婿を迎えるためずるい商売でお金持ちになって、婿を迎えることになったある日、池で米を洗っていた娘が池に落ち大蛇となり底へと消えていった。両親はこれは報いだと祠を建てた。娘が水面の葉を掃いているから1年中きれい」という切ない伝説。
「富岡ビジターセンター」×天草西海岸の富

2005年、本丸跡に完成した「熊本県富岡ビジターセンター」では、足元の大きな天草地図がお出迎え。富岡のリアス式海岸・砂嘴(さし)・砂州など地形、天草の自然、海の生き物、貝殻標本、天草陶石、キリシタンの歴史など展示紹介だけでなく、3Dシアターも。3Dで西海岸の海の魚が飛び出して、自分も海にいる気分。分かりやすい大展示と楽しい体験ができる館内は、見ごたえある自由研究の館です。

海の豊かさを感じる貝殻アートが所々に。

ひときわ黄金に輝く寄贈作品がありました。イセエビ、ワタリガニ、魚の骨格などの材料収集に2年、製作に約2カ月という力作「臥龍(がりゅう)」。息を殺してしまうほどリアルで圧巻・・・。

「富岡城」は、富岡の地形が龍が横たわった姿に似ていることから別名「臥龍城」と呼ばれていたそうです。

船・車・バスの交通情報など、充実な掲示板。
天草の恩人×歴史の恩人

初代代官の鈴木重成公は、行政を整備、寺社の復興、荒地を開拓するなど尽力した人物です。当時の天草の重い年貢を半減するよう幕府に願いますが叶わず66歳の生涯を閉じました。しかし、養子の重辰(しげとき)代官の時に半減され悲願は達成。実兄鈴木正三(しょうさん)は神社仏閣の復旧に勤め、島民は鈴木神社を奉納、鈴木三公(鈴木重成、鈴木正三、鈴木重辰)の像を建って偲びました。
二の丸には「天草の恩人」重成・正三の像と、長崎海軍伝習所の訓練中に来航した勝海舟、天草の美しさに感動した漢詩人・頼山陽(らいさんよう)も「日本の恩人」として像が立ち、歴史人と城という心打つ風景。
碧い袋湾×見つめる未来

戦いと復興の歴史ある富岡城。2016年の熊本地震から、前を向き進んでいる熊本県民を、きっと4人の恩人も見守ってくれていると感じて、目の前の凪いだ袋湾は碧く輝いていました。恩人たちの背を眺め、心に染みる穏やかな絶景を秋の旅におすすめしたいです。
熊本県富岡ビジターセンター
住所:苓北町富岡字本丸2245-15
Tel:0969-35-0170
営業時間:9:00~17:00(最終入館16:45)
休館日:水曜日(休日の場合は翌日)
料金:無料
交通:バス停「富岡港」下車徒歩20分(車/富岡港から5分、熊本市から2時間40分、天草空港から30分)
天草宝島観光協会HP:
https://www.t-island.jp/
[all photos by kurisencho]

kurisencho ライター
熊本県天草の凪いだ海と潮の香りの中で育ちました。東京に住むことで、新しいもの、昔からあるものの良さを再発見し、今まで見てきた世界が広がりました。デジタル化の中で生きるアナログの力を確信し、儚いけど美しい、人と風景の一瞬をとらえたいと思い写真を撮っています。
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