飛行機にヘッドライトはない
実は、車のヘッドライトにあたるようなものは、飛行機にはありません。なので、月や星の出ない夜間に海の上を飛んでいる間、パイロットの視界は真っ暗です。
暗闇だけでなく、雲の間を飛んでいる間なども視界が遮られています。その間は、視力をあてにできないので、飛行計器、ナビゲーションセンサー、気象センサー(主にレーダー)を使います。
ちなみに、みなさんご存じのように、飛行機はほどんど自動操縦されています。離陸はすべて手動ですが、視界が悪い着陸は自動の場合もあるそうです。
自動操縦の間、パイロットが何をやっているかというと、管制官とやりとりしながら、きちんと水平に飛べているか、上限速度をオーバーしていないかなど確認しながら、入道雲が出現すればコースを変えるなど、調整作業を行っています。
飛行機に付いているライトの役割
車やバイクのヘッドライトのイメージに一番近いのが、白い光で前方を照らす着陸灯です。しかしこれは飛行中ではなく、離着陸のときに滑走路を照らすためのものです。また外部の人々に飛行機の存在を気付かせるためのものになります。
左側の翼には赤、右側の翼には緑の翼端灯が付いています。左右でライトの色が違うのは、飛行機の左右が分かれば、その光の位置関係から飛行機が近づいてきているのか遠ざかっているところなのかが外からみて区別しやすいから。これは飛行機だけでなく、船も同じルールなんだそうです。
胴体の上下には、赤みがかったオレンジ色を回転させて点滅させる衝突防止灯が付いています。飛行機のエンジンが動いている間、作動しています。夜に見上げると光っているのは、このライトです。
コックピットから見えるもの
飛行中に前方を照らすヘッドライトを付けていないからこそ、視界が開けているときはパイロットが楽しめる光景があります。
それは、フロントガラスの向こう側、一面に見えるオーロラ。雲の下の雷が光って、もくもくとした雲をライトアップする姿。アメーバのように瞬時に空に広がる稲妻。ネオンの上空に輝く空いっぱいの星。
目の間に遮るもののない特等席。危険回避のために真剣にお仕事されているのでしょうが、パイロットの中には、そんなダイナミックな美しい光景を楽しみにしている人もきっといるでしょうね。
(参考)
The Telegraph
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