世界の美食家が唸る名実共に世界一!最高級のニューアメリカンを体験してきた【ニューヨーク】

Posted by: Kasumi Abe

掲載日: Mar 1st, 2020

世界最高級のものが何でもそろうニューヨーク。マンハッタンにあるコンテンポラリー・アメリカ料理のEleven Madison Parkは「World’s 50 Best Restaurants」で世界トップとなり、ミシュランガイドのニューヨーク版でも毎年三つ星の常連など、世界の「ホンモノ」を追い求めるフーディーを唸らせ続けている名店です。その世界一のレストランを初体験してきました。

© Kasumi Abe

世界中の美食家の社交場的な存在

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アールデコ様式の広々とし内観にゴージャスな生花が映える。店内は2017年夏に大リノベーションしたばかり。

歴史と伝統を思わせるアールデコ様式のゴージャスな30階建てMetropolitan Life Northビル(1950年築)。この入り口にある重厚な回転ドアを押して中に入ると、2階部分まではあろうかと思われる、見上げるほどに高い天井のある贅沢な空間が目の前いっぱいに広がります。

メートル・ディの女性が笑顔で「ウエルカム!」と迎え入れてくれ、奥のテーブルまで案内してくれました。

水曜日の午後9時半すぎだというのに、店内は満席です。ここは「ホンモノ」だけを知っている世界中の美食家の社交場的な存在である最高級レストラン、Eleven Madison Parkです。

料理界の奇才、ダニエル・ハムが率いる

この店を率いるのは、料理界のアカデミー賞と言われるJames Beard Foundation Awardで「アウトスタンディング・シェフ」にも選ばれた奇才、ダニエル・ハム氏。ハム氏とここで働くすべてのプロフェッショナルなスタッフの功績により、2017年には世界のトップレストランを決める毎年恒例のWorld’s 50 Best Restaurantsで、世界1位の名誉を獲得。またミシュランガイドのニューヨーク版でも、最高の三つ星を毎年取り続けています。

これらの実績からも、Eleven Madison Parkがいかにほかの店とは一線を画す特別な存在で、世界の美食家を虜にし唸らせているか、想像がつくでしょう。料理への期待が高まります。

季節ごとに変わる、テースティングメニュー

© Kasumi Abe
たっぷりの黒トリュフが散りばめられた自家製豆腐。その場で作ってくれます。

ここで提供されるのはコンテンポラリー・アメリカ料理です。季節や新鮮な食材の調達具合に応じて内容が変わる、8-10品のテースティングメニュー(1人335ドル。バーは5品コースで1人175ドル。税別、ドリンク別、チップ込み)を楽しめます。(ウェブサイトによる完全予約制で、フード料金は予約時に支払う)

まずサーバーがテーブルに持って来たのは木箱。聞けば、ハム氏が地元アーティスト、Arlene Shechetさんにインスパイアされ、同店でも置くことになったFull Steam Aheadと呼ばれるコンセプチュアルな作品とのこと。食事中はこの中に携帯電話を保存でき、帰るころに再び持って来てくれます。何かと忙しない現代社会ですが、このお店にいる時だけは外界から遮断されて心ゆくまで料理に舌鼓を打ってほしいという店の配慮から、導入されたものなんだそうです。(携帯電話を預けるかどうかは顧客が選べますが、私たちは料理の写真を撮りたかったので預けませんでした)

さぁ次は、いよいよ料理。最初の3品は自分の好みをチョイスできます。この日(1月末)のメニューの中から筆者が選んだのは、新鮮なキャビアと甘くないセイボリー・チーズケーキ(チョウザメ燻製入り、写真上、テーブルサイドで盛り付けてくれます)、フォアグラのコールラビと生姜添え、ロブスターとマテ貝(ウニソース添え)、その場で作ってくれる新鮮な自家製豆腐(写真上、黒トリュフをふんだんにかけてくれます)、そして仔牛の柔らか〜い頬肉など。デザートも含め、目にも舌にも楽しい全9品がサーブされました。

とにかくどれもが芸術品とも言える素晴らしい味と香りと盛り付けで、ペアリングのワインとの相性も完璧でした。(ドリンクはオプショナル。ワインペアリングは2種類 – 1人175ドルと315ドル – から選べます)

© Kasumi Abe
食事後、こんな可愛い形式で、自分だけの「本日のメニュー」がもらえます。

デザートまでの食事が完了すると、スタッフがこの日各自で選んだコースのメニュー表(上写真)と、朝ごはん用の同店手作りのグラノーラ(同店オリジナルの専用保存ケース入り)、そして「いつまでも心ゆくまで、お過ごしください」と言わんばかりに、同店オリジナルボトルのアップルブランデーのLaird’sを丸々1本を持って来てくれました! ワインペアリングをした後だったので1杯だけいただきましたが、心からのサービスに感激しきり。

通常のお店はおもてなしと言えども、顧客が大切な話をしている所に割って入るサーバーがいるところも珍しくない中、Eleven Madison Parkは味、食材の品質、ホスピタリティー(おもてなしと心配り)、エンターテイニング、すべてが二重丸でした。世界最高峰のものが何でも集まるニューヨークで、このような一流の食体験はきっと一生の思い出になることでしょう。

翌朝、手作りグラノーラがまた何て美味しかったことか! それをいただきながら、前夜の「夢」に改めて浸ったのでした。

Eleven Madison Park(イレブン・マディソン・パーク)
住所:11 Madison Ave, New York, NY 10010, U.S.A.
電話: (212) 889-0905
営業時間は季節によって変わりやすいので、ウェブサイトで確認のこと。
HP: https://www.elevenmadisonpark.com/info/

[All photos by Kasumi Abe]
All images and text are copyrighted.

PROFILE

Kasumi Abe

a.kasumi ライター・編集者

雑誌、ウェブ、ラジオを通して、グルメから社会問題まで、幅広くアメリカ&NY情報を発信中。著書に『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』がある。日本の出版社勤務を経て、NYに移住したのは2002年のこと。アメリカ(出版社時代)でも街ネタ取材でNY中を駆け回った後、14年に独立。物書きとしては、今では信じられないがメジャーミュージシャンのインタビュー含む音楽評論が原点。

雑誌、ウェブ、ラジオを通して、グルメから社会問題まで、幅広くアメリカ&NY情報を発信中。著書に『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』がある。日本の出版社勤務を経て、NYに移住したのは2002年のこと。アメリカ(出版社時代)でも街ネタ取材でNY中を駆け回った後、14年に独立。物書きとしては、今では信じられないがメジャーミュージシャンのインタビュー含む音楽評論が原点。

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