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カップル旅行の必需品「コンドーム」の日本史って知ってる!?

Posted by: 坂本正敬
掲載日: Mar 31st, 2020. 更新日: Apr 15th, 2020

カップルで旅行に出かけるとなれば、きっと必要になってくる避妊具。代表例がコンドームですが、この道具には一体、どういった歴史があるのでしょうか。今回はさまざまな資料を基に、コンドームの日本史(と世界史)を調べてみました。

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コンドームは古代からある!?


コンドームの日本史に入る前に、当然コンドームの世界史について考えなければいけません。その世界史については、Dr. Aine Collier著『The Humble Little Condom: a history(邦題:コンドームの歴史)』が詳しいです。

コンドームの定義をどうするかによって誕生の瞬間が変わるようですが、見方によっては紀元前の古代エジプト王朝の時代までさかのぼれるのだとか。紀元前1350年~1200年ごろには、動物の腸やぼうこうに油をつけたペニス用のさやが貴族向けに存在したのですね。

しかし、あくまでも当時のさやは、庶民には浸透していませんでした。しかも、性行為中に使っていたと考えられる記録はあるものの、必ずしも避妊具としての役割を果たしていたとは言いきれないそう。古代エジプトに続いた古代ギリシャでも、庶民の間ではペニスを守るための下着の一種として用いられていました。

避妊の手段についても、当時から他にたくさん考え出されていました。その意味では、この時期のペニスのさやは、今で言う避妊具+感染症予防の意味を持たせたコンドームでは、まだなかったみたいですね。

16世紀に感染症予防を目的としたコンドームが生まれる


覇権が古代ギリシャから古代ローマ帝国に移ると、肉とミルクの確保のために戦場に兵士たちが同行させたヤギのぼうこうや小腸で、盛んにペニスのさやをつくったという歴史が残っています。時には戦勝した相手の人間の筋肉(あるいは皮膚)を使って、つくっていたと言います。後者については、驚くべき血なまぐさい歴史ですね。

古代ローマ帝国が滅びて、封建社会(古代の奴隷社会と近代の資本主義社会の間)に移ると、ペニスを覆うさやは各地に広まっていきます。その過程で、徐々に避妊具としての役割が強くなっていったみたい。

しかし、避妊具+感染症予防の目的を持った現代的な発想のコンドームが生まれるまでには、16世紀の半ばまで待つ必要があります。時期としては、日本で武田信玄と上杉謙信が川中島の戦いを繰り広げているころですね。

『sagami original』の商品名で知られる相模ゴム工業のホームページには、コンドームの歴史というページがあります。その中には、

<1564年 イタリアの解剖学者ファロピウスが性病予防の目的でリネン鞘(sheath)を使用しました>(相模ゴム工業のホームページより引用)

と書かれています。このファロピウス(またはファロピオ)が、感染症予防の考えを、ペニスのさやに持ち込みました。

先ほどの『The Humble Little Condom: a history(邦題;コンドームの歴史)』によると、このちょっと前の時期(15世紀の終わり)には、クリストファー・コロンブスが新大陸を発見し、世界中に梅毒をまん延させたころです。

梅毒は16世紀を通じて、ヨーロッパと世界に広まり続けました。そのための対処法として、イタリア人学者がブリエ・ファロピウス(ファロピオ)が、リネンの布をペニスの亀頭に合わせて縫い合わせた衛生用品をつくります。

ゴムのコンドームは19世紀に生まれる


ファロピオの研究(衛生用品の知識)はヨーロッパ各地に広まり、医学や政治、宗教関連の研究対象になりました。ただ、この製品は縫い合わせる作業に手間がかかり、その分だけ価格も高くなる上に、装着感がそれほど好ましくなかったため、1800年代に入ると自然と下火になっていったと言います。

20世紀に至るまで、ペニスのさやとして変わらず愛された素材は、動物の腸、あるいは盲腸でした。しかし、アメリカ人のチャールズ・グッドイヤーが、生ゴムに硫黄を混ぜて加熱し、目的に応じた弾力を持つゴムの加工法(加硫法)を、1839年(明治28年)に発見します。その加硫法を用いたゴムのコンドームが登場し、歴史がさらに大きく前進します。

1850年代に普通に手に入るくらい量産化されると、ゴムはコンドームの隠語として使われているくらい、素材として圧倒的な勝利を収めました。

1909年には国産コンドームが誕生する


それらの製品は、もちろん明治維新とともに、日本にも入ってきます。内藤記念くすり博物館によれば、1874年(明治7年)出版の『東京新繁盛記』に、オランダ語で「ルーデサック」という言葉が見つかるといいます。その訳語として「防瘡(ぼうそう)袋」という記述も見られるそう。

ただ、江戸時代の鎖国の日本にも、海外から一部、外国製のコンドームが輸入されていました。浮世絵には、その様子が描かれています。しかし、庶民に普及するほどの物量は存在していなかったみたいですね。

1909年(明治42年)には、国産コンドーム第1号が誕生します。大正時代には輸入も盛んになり、国内での生産も本格的に始まりました。当時の商品名は『ハート美人』、『敷島サック』、軍用では『突撃一番』、『鉄兜』などが存在したみたいです。

昭和の後半にはエイズウイルス(HIV)の感染対策として注目されると、いよいよコンドームの需要はピークに達します。その後の大きな動きとしては、ポリウレタン製のコンドームが登場し、においや薄さの問題が解消されました。

コンドームの名前はいつごろに生まれた?


大まかに世界史と日本史を振り返ってきましたが、「コンドーム」という呼び名はいつから存在しているのでしょうか。結論から言えば、真相が歴史の中で埋もれてしまっていて、諸説が存在している状態です。

例えば、

<英国のチャールズ二世のお抱え医の名前『ドクターコンドーム』に因んで>(相模ゴム工業の公式ホームページより引用)

という説が、一般的には有力とされています。コンドーム(コンダム)さんという医師がいて、その人がヒツジの腸でペニスを覆うさやをつくったため、医師の名前がそのまま通称になったのですね。しかし、この話は『The Humble Little Condom: a history(邦題;コンドームの歴史)』で否定されています。

そもそもコンドーム(コンダン)さんの実在そのものが疑わしいそうで、「コンドーム(コンダム)」という姓は、どのようにつづりを工夫しても、イギリスに存在しない名前なのだとか。

しかも劇作家ウィリアム・シェイクスピアが1599年に書いたとされる『ヘンリー5世』には、quondamという言葉が使われているも言います。同じく1602年に書かれたとされる『トロイラスとクレシダ』にも、quondamという言葉が出てきて、今で言うコンドームを連想させるそう。

先ほどのコンドーム(コンダム)さんが王室医師だとして、チャールズ2世に仕えていたとしても、チャールズ2世の生きた時代は1630~1685年。それ以前にすでにシェイクスピアの作品に言葉が使われている点を考えると、コンドームさんが由来だという説には、ちょっと疑問が生じるみたいですね。

冷静な仮説としては、中世(4世紀末~15世紀半ば)のラテン語に由来があるとも言われています。「保護する」だとか「容器」という意味のcondusという言葉が、語源となっているとも考えられるみたいですね。


以上、コンドームの日本史(世界史)について大まかにまとめましたが、いかがでしたか。コンドームの日本史で言えば、最後に8世紀の日本について触れないわけにはいきません。

世界的な潮流とは関係がありませんが、8世紀ごろの日本には、「こきがみ」という折り紙のようなコンドームが存在していたと『The Humble Little Condom: a history(邦題;コンドームの歴史)』に書かれています。

何らかの動物をまねた紙のさやをペニスに装着し、その動物に変身したつもりで、性行為に及ぶという遊びがあったそう。

他の情報源が見当たらず、避妊や性感染症の予防といった観点ともかけ離れた情報ですが、実在した装身具なのであれば、日本にもなかなかの歴史があるのですね。

[参考]
※ アーニェ・コリア、藤田真利子訳『コンドームの歴史』(河出書房新社)
コンドームの歴史 – 相模ゴム工業株式会社
世界のコンドーム市場と日本のコンドーム産業の 調査と戦略の考察 – 北陸先端科学技術大学院大学
タイヤの歴史 – 日本グッドイヤー

[All photos by Shutterstock.com]

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。大手出版社のコラムや雑誌記事、日本政府観光局の米国向けサイトなどの執筆を手掛ける。All Aboutの黒部・立山、富山の観光ガイド。通訳案内士の勉強中。


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