開湯1300年、芭蕉にも愛された歴史ある湯
JR金沢駅から特急で約25分の加賀温泉駅。駅から宿まではバスで25分ほど(無料送迎バス付・要予約)。山中温泉は加賀温泉郷の山側の一角を占める、豊かな自然あふれる渓谷の温泉地です。今から1300年ほど前に奈良時代の高僧・行基(ぎょうき)が発見したと伝えられ、その後多くの人が病と疲れを癒やしに訪れたそうです。松尾芭蕉にも愛され、有馬、草津と並ぶ「扶桑の三名湯」と讃えたとか。「山中や 菊は手折らじ 湯の匂ひ」の句が残されています。
山中温泉の中で最も山奥にある旅館
山中温泉の中心地から山に向かって車で約10分、歩くと約45分。一番山深い場所に温泉旅館「湯畑の宿 花つばき」があります。
全48室ある大きな旅館です。チェックインの後は、広々としたロビーでウェルカムドリンクをサービスしてくれます。ぐるりと緑に囲まれて目が癒やされます。
部屋に向かう時に、ロビーの横にある棚から好みの浴衣を一着持っていきます。
客室は純和風です。12.5畳とゆとりあるスペースがいいですね。湯上りにものんびりゆったり寛げますよ。露天風呂付の客室もあるようです。
窓の向こうは自然にあふれています。空が広くて気持ちいい!この風光明媚な場所は“神仙峡”と呼ばれているそうです。
渓流沿いの露天風呂で気分は極楽!
こちらの最大の魅力は2019年9月にリニューアルしたという自噴かけ流し、湯畑の混浴露天風呂。荷ほどきを済ませたら、早速行ってみましょう。
65段あるという長い階段をどんどん降りていきます。
これが結構長いのです。非日常空間への誘いに胸が高鳴ります。
入口に湯衣が用意されています。男女ともに要着用です。女性用は上下セパレーツで、短いチュニックのような上部とショートパンツなので洋服感覚で露出度は少なめです。午後の撮影時には誰もおらず、夕飯を終えてから行ってみると、ほかの客は男性一人。筆者はパートナーと一緒で、来ていた男性と多少世間話ができるくらい気にならなかったですよ。週末には家族連れが多いようです。
女性用の脱衣所の先には、女性のための露天風呂が2つあります。混浴が苦手な方はこちらでも楽しめます。
ですが、もうひとつの扉の先にはダイナミックな湯畑の露天風呂の世界が広がっているのです!ここまで来たからには、こちらに入らないわけにはいきません!15もの湯舟が連なる景色は壮観です。
こちらは深さ1メートルある“立湯”です。立って入るなんてプールのようです。
一番渓流に近い同じような湯舟が3つ、温度ごとに分かれていました。こちらは一番高温です。
この3つの中では中央にあった湯舟がちょうど良い湯加減でした。心身がゆったりとほぐれていきます。
間近にこんな野趣あふれる景色を望めます。勢いよく流れる渓流の音を聞きながら、自然美に囲まれてゆったり。これぞ極楽・・・。
階段を上がった所に、深さ1.2mの“ぬる湯”もあります。ゆっくり浸かるには少しぬるめがいいかもしれません。
まさに段々畑のような湯畑です。
ライトアップされた夜の景色も趣たっぷり!
夜には階段も表情が異なります。秘湯へと向かう道のような雰囲気です。
夜にはライトアップされ、日中とはまた違った趣があります。非日常感たっぷりです。
暗くて周りの木々があまり見えないせいか、渓流の音がよく聞こえる気がします。ぜひ昼と夜、違った雰囲気を堪能してみて下さい!
湯に浸かりながら春には新緑、夏は山からの涼風、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の景色を楽しめます。野鳥のさえずりも聞こえますよ。
(C)湯畑の宿 花つばき
ほかにも貸切の露天風呂(男女別・予約制)があります。筆者が行った10月上旬は閉まっていましたが、現在はオープンしています。残念ながら見られませんでしたが、絶景を望めるようなので、男女別をお好みの方にはこちらが良さそうです。
館内には、男女別の大風呂も設置されています。サウナ付きです。野趣あふれる渓流沿いの露天風呂、絶景を望める貸切露天風呂、露天風呂付きの客室、サウナ付きの内湯。このバラエティの豊かさは、ほかではなかなか見られないのではないでしょうか。
夕飯に寄った街中の居酒屋で、女将さんにこの宿に滞在していることを話すと、リニューアルした湯畑の露天風呂で知られていて、時々立ち寄りで行かれるとのこと。地元の人にも親しまれているようです(※2020年10月現在、コロナ禍のため「立ち寄り湯」は当面の間休業)。
風光明媚な山奥の渓流沿いの露天風呂で、温泉三昧のひとときを過ごせます。喧騒を離れ、鳥のさえずりや川のせせらぎに包まれていると、日常を忘れてリフレッシュできますよ。
住所:石川県加賀市山中温泉栢野町ハ36
電話:0761-78-5500(受付9:00~18:00)
チェックイン15:00~、チェックアウト11:00
http://hanatsubaki-kaga.co.jp
[(C)以外、photos by ロザンベール葉]
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