和菓子と洋菓子とのマリアージュ
京都の北部に向かうと、比叡山が徐々に大きく見えてきます。その麓に位置する“洛北”には修学院離宮をはじめ、紅葉で知られる曼殊院、圓光寺、詩仙堂など、風情あふれる史跡が点在しています。
(C) 一乗寺中谷
その入口ともいえる場所に、現在三代目店主夫妻が営む老舗の和菓子処「一乗寺中谷」がたたずんでいます。料亭で板前を経験した後、家業を継ぐために和菓子の世界に入った店主が、パティシエールであった若女将と出会い、伝統的な和菓子を今に伝えながら、二人三脚でオリジナルな和洋折衷スイーツを生み出しています。
紅葉めぐりのランチやカフェに
店内は、ほっとくつろげる懐かしい雰囲気です。カフェスペースでは、店頭で販売するスイーツはもちろん、軽いランチもいただけます。
ランチメニューは“京雑煮のいろどりごはん”(1,050円・税別)のみ。京都ならではの白みそのお雑煮、赤飯、ごま豆腐、ひじき、昆布の佃煮と、肉・魚はなく、まるで精進料理のようでヘルシー。素朴な味わいにホッとします。食後にスイーツをいただくなら、これくらいのボリュームでちょうど良さそうです。
いろどりごはん、洋菓子とドリンク(1,700円・税別)
ドリンクは抹茶、コーヒー、紅茶から選べます。
サプライズが楽しい名物スイーツ
まずは秋の味覚“栗蒸しモンブラン”(コーヒーとセットで850円・税別)です。こちらも人気の一品。最中の皮をかぶっているのが、このお店らしい。甘くてコクのあるマロンクリームがたまりません!コーヒーとよく合います。やはり秋にはこれを味わわなくては!
そして断面をのぞいてみると、とってもカラフル!ところどころにあしらわれた、意外なサプライズが楽しいのです!生クリームの下には、酸味のあるカシスクリーム、そして抹茶スポンジが続く層仕立てです。その下には板チョコ、最後に栗蒸し羊かんがしのばせてあり、さりげなく和のエッセンスが添えられています。
こちらに来たからには、名物“絹ごし緑茶てぃらみす”(抹茶とセットで950円・税別)も味わいたい!旅の友とスイーツをシェアしてもいいですね。あわせてドリンクも抹茶をいただきます。
上にはすっきりとした甘さの生クリーム、ムースには豆乳とフロマージュブラン、抹茶クリームには白あんと、上手に和と洋の素材をミックスしています。まさしく絹ごし豆腐のようになめらかで繊細な舌触りです。緑茶をしみ込ませたスポンジとの3層になっています。
たっぷりと使われている、京都の名店[柳桜園]の上質な抹茶が味の決め手です。甘く煮た丹波産の黒豆とうぐいす豆をトッピング。お抹茶といただけば、京都に来た喜びを存分に感じられるはずです。
こちらは箱入りがオンラインショップでも販売されていますが、なんと9カ月待ち!店頭販売のものは賞味期限が当日限りですが、可能であればお土産に買って帰りたいものです。
伝統的な和菓子と遊び心あふれる和洋スイーツ
お店に入ってすぐ右は和菓子コーナー。三代にわたり作り続ける名物“でっち羊かん”をはじめ、餅菓子やおまんじゅうなどの伝統的な和菓子が並びます。季節の和菓子も豊富にそろいます。店内でもいただけますよ。
もう一方のショーケースには、キラキラと華やかな和洋合わせたスイーツがズラリ。季節のフルーツを生かしたタルトやトライフルなど、こちらならではのオリジナルな数々が並び、どれにしようか迷ってしまいます。
フルーツとムースに大福を合わせた“チョコバナナとベリーのムース大福”、蒸し焼きにしたガトーショコラなど、斬新で遊びごころあふれるスイーツは全て試してみたくなります!こちらも店内でいただけます。
ほかにも、表面を生クリームでコーティングしたわらびもち“ざるわらび”(+コーヒーか紅茶950円、+抹茶1,050円・税別)、“わらびもちパフェ”(900円・税別)、羊かんをあしらった“中谷パフェ”(1,050円・税別)、ぜんざい、本わらびもちなど、店内でしか味わえない甘味もぜひ堪能してみたいものです。
秋限定の“栗の極”をお土産に
お土産に期間限定の“栗の極”(995円・税別)を購入しました。茶と辛子色のパッケージが秋らしくてシックです。日持ちが1カ月なのもお土産に最適。
国産の上質な栗のみを使用して炊き上げてあります。見た目は芋羊かんのようですが、味は“きんとん”のような感じです。栗のほくほくとした味わいと食感、ほんのり甘めで素朴な風味が秋をしみじみと感じさせてくれます。お茶にはもちろん、コーヒーやエスプレッソにも合いますよ。
田園風景の残る、ほのぼのとした洛北の散策途中に立ち寄るのにふさわしいお店です。オリジナルの和洋スイーツを味わい、お土産を求めに訪れてみてはいかがですか。
住所:京都府京都市左京区一乗寺花ノ木町5
電話:075-781-5504
営業時間:9:00~19:00(茶屋 L.O.18:00)
定休日:水曜日
URL:https://www.ichijouji-nakatani.com/
[(C)以外、All photos by ロザンベール葉]
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