©Hoshino Resorts Inc.
ありそうでなかった“アトリエ温泉旅館”
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古くから別荘地として発展した歴史を持ち、多くの文人にも愛されてきた箱根仙石原。ミュージアムも多く集まるこの地域に“アトリエ温泉旅館”として2018年にオープンしたのが「界 仙石原」です。佇むのは標高約700メートルの仙石原高原。客室は16室とほどよい規模感ゆえ、落ち着いてステイを楽しめるのもうれしいところ。
滞在したのは本館の「仙石原アトリエの間 露天風呂付き和洋室」。広さは約70平方メートルとゆったり。壁一面の窓からは山々が連なる仙石原の雄大な風景を望むことができます。
琉球畳の上にソファーを配したリビングスペース。界 仙石原では、“アーティスト イン レジデンス”という、国内外のアーティストがひとつの地域に滞在して創作活動する取り組みが開業前に行われ、各客室にはそのアーティストの作品が展示されています。筆者が宿泊した客室には、リズムと勢いあるタッチが特徴の画家、田中紗樹さんの絵画がディスプレイ。
さらに小田原の「イパダガラス工房」のガラス作家、濱舘寛氏と村木未緒氏のデザインによるランプシェードも設置。心の片隅にあるアートな感性を目覚めさせてくれそうな設えです。
テラスにはチェアとミニテーブルも用意。自然のパノラマをひとり占めできるひとときは、この上ない贅沢!
客室はすべて露天風呂付き。風光明媚な景色を眺めながらのプライベートな湯浴みは至福そのものです。大涌谷から引いた湯はやや白濁したPH2.0の酸性の硫酸塩・塩化物温泉。短時間の入浴でも肌は滑らかになり、身体をしっかりと温めます。
「界」では全国の施設で地域色を客室で味わえるアイテムとして「ご当地おこもりグッズ」を提供しており、「界 仙石原」では温泉パレットを用意。(5,500円・税込)なんと、露天風呂の中で絵を描くことができてしまうのです。温泉に浸かりながら風景を写生したり、イラストを描いたり。とっておきの体験であること間違いなし。
洗面台はモノトーンを基調としたシックな雰囲気。「界」オリジナルのアメニティを包む風呂敷は仙石原のすすき草原をイメージしているのだそう。
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客室の露天風呂のほかに、大浴場も完備されています。内風呂には“あつ湯”と“ぬる湯”の2種類の湯船が用意。酸性の“あつ湯”で温まった後に、“ぬる湯”に入ることで肌が落ち着き、温浴効果がより期待できるようです。
感性を刺激するエッセンスがひしめきます
アートを鑑賞するものではなく、体現するものと捉える「界 仙石原」。そのコンセプトを象徴するのが、画材や絵筆が配された「アトリエライブラリー」。アーティストが使用した画材道具や、仙石原の自然を描いたアート作品など、感性を刺激するさまざまな工夫が満載です。
さらに約2,000本の色鉛筆を使ってスケッチブックに絵を描くことも可能。聞けば、描画は中学生以来というゲストも多いとのこと。忘れかけていた絵を描く楽しみを思い出す絶好の機会となるはず!
型染作家の小倉充子氏によるオリジナル手ぬぐいに、絵付け・色付けをする体験も開催されています(1日2回開催/要予約)。箱根の宿場町やご当地料理など6種類のデザインから選び、布用クレヨンで色をのせたり、自由に絵を描いたり。世界にたったひとつだけの手ぬぐいは、旅の特別な思い出になること間違いなしでしょう。
器や提供スタイルに趣向を凝らした、珠玉の料理に舌鼓
夕食は格子で仕切られた半個室の空間にていただきます。プライベート感はもちろん、密対策もバッチリです。
“アトリエ温泉旅館”の会席料理のテーマは、器と食のアート。舌だけでなく視覚も楽しませてくれるものばかり。まず驚かされるのが、サーモンと季節のフルーツを瞬間燻製にした先付け。蓋を開けた瞬間に大涌谷の噴煙をイメージした燻煙が広がるというサプライズ感あふれる一品です。
八寸やお造りが盛られた宝楽盛りは、大涌谷の噴煙の広がりを表現した器や、絵筆箱に見立てた器など、随所で遊び心と美しさが表現されています。さながら食べるアートのよう。
メインとなるのは、山海(さんかい)石焼。これは仙石原が火山活動によって形成された土地であり、山間部でありながら海にも近いことから着想を得たのだそう。約200度に熱した石を溶岩に見立て、山と海の食材を2つの石で焼いて味わうというものです。
生のままでも食せるという新鮮な鮑と海老は表面をさっと焼くだけでOK。身は弾力があり、ぷりっぷり。特製の醤油ダレとも相性抜群でした。
竹の子と鰆の西京焼きを炊き込んだ「旬菜土鍋ごはん」。木の芽の爽やかな香りがアクセントになった格別の味わい。春の訪れを感じさせてくれる名作です。
夕食後には、客室で楽しめる「飲み比べセット」(2,000円・税サ込)をいただくことに。神奈川県開成町にある老舗酒蔵「瀬戸酒造店」が生産する地酒3種を楽しめるという内容です。部屋付き露天風呂に入って、心おきなくひとり酒。これぞ大人の贅沢!
朝食は小田原名物のかまぼこなど、山の幸と海の幸がふんだんに盛り込まれ、地域色豊か。セルフスタイルで焼く“自然薯ステーキ”など郷土の調理法も楽しめるのも魅力です。
自然の懐に抱かれながら、アートに刺激され、そして温泉とグルメに癒やされる。「界 仙石原」では心に潤いをもたらしてくれる、とっておきの時間が待っています。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原817-359
電話:0570-073-011(界予約センター)
客室数:16室・チェックイン15時 チェックアウト12時
アクセス:【電車】箱根登山鉄道強羅駅より車で約15分【車】東名高速道路 御殿場ICより約20分
料金:1泊2食付き 37,000円〜(2名1室利用時1名あたり、サービス料込・税別、夕朝食付)
URL:https://kai-ryokan.jp/sengokuhara/
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