優雅な時間を約束してくれる、プレミアムな観光列車
「サフィール踊り子」は2020年3月にデビューした、東京駅・新宿駅〜伊豆急下田駅を結ぶ観光特急列車。プレミアムグリーンの1号車、グリーン個室の2〜3号車、カフェテリアの4号車、グリーン車の5〜8号車という構成です。基本的には1日片道1本の運行。さらに休日などに運転する臨時列車も設定されています(運転日は最新の時刻表をご確認ください)。
ちなみに「サフィール(Saphir)」とはフランス語でサファイヤを意味する言葉。伊豆の海と空が奏でる美しさをサファイヤに重ね、“上質・高級で優雅な旅を楽しめるように”という想いから名付けられたのだそう。
下りでは小田原を過ぎる頃から車窓に海がお出まし。全ての車両に天窓が備わっているので、清涼感ある景色をダイナミックに感じられるのも魅力です。キラキラと輝く青い海とどこまでも続く空が至福のひとときを演出してくれるはず。
上品なサファイヤ色で包まれる凛とした外観
新メニューお披露目会はJR品川駅で開催。堂々たる姿で入線する「サフィール踊り子」にカメラを向けていると、心の片隅にある鉄ちゃん魂が沸いてくるのを実感(笑)。それにしても青と黒、白のシックなコントラストが印象的です。
全車両がグリーン席
車両を少々ご紹介。1号車「プレミアムグリーン」は、1列+1列というプライベート感あふれる造りに。肘掛にあるボタンでリクライニングを操作することができます。東京駅から伊豆急下田駅までは片道1万1,430円(大人1人/運賃・特急料金の合計)。
2〜3号車のグリーン個室は最大定員4名用と6名用の2タイプを用意。海をイメージした雑貨が設えられていて、乗車した瞬間からリゾート気分を盛り上げてくれそうな雰囲気に満ちています。
こちらの4名用個室を4名で利用した場合は1人あたり9,110円。小さなお子さんがいるファミリー層に特に人気があるのだそう。
5〜8号車のグリーン車は2列+1列。東京駅から伊豆急下田駅へは片道9,110円。従来の踊り子号の同区間料金は6,060円なので、グリーン車ならばプラス3,030円でサフィール踊り子に乗ることができるというわけです。“ちょっとプチ贅沢気分で旅をしたい”という人にちょうどいいお値段ではないでしょうか。
旅情もひときわ高まる食堂車
そして4号車は軽食が楽しめる「カフェテリア」。今では食堂車はほとんど姿を消してしまっただけに、鉄道ファンならずともワクワクしてしまうことでしょう。
スタッフが手際よく料理する様子が眺められるオープンキッチンを併設。もはや電車の中にいるとは思えないほど、本格的な設備です。
ミシュランシェフ監修、魅惑の料理の数々
4月1日から新メニューとしてパスタ2種とカレー1種が登場。監修したのは、ミシュラン一つ星のイタリアンレストラン「Ristorante HONDA(リストランテホンダ)」の本多哲也シェフ。メニューを考案するにあたり、実際に乗車してイメージを描いたのだそう。
鮮やかな緑色が春らしい「サザエとリングイネのジェノベーゼ」(1,350円・税込)は、レストランらしさあふれるリッチ感を重視したという一品。バジルの爽やかな風味、サザエの磯の香りと旨味が格別のハーモニーを奏でています。
「HONDAプレミアム渡り蟹カレー」(1,850円・税込)は、マンゴーやバナナのフルーティーな甘みと渡り蟹とコクが見事に調和。
「僕は小田原出身。子どもの頃、近所の港で時々渡り蟹も釣っていて、その思い出をメニューに活かしました」と本多シェフ。
伊豆の山や畑などを表現したという「伊豆産フレッシュトマトのスパゲティ」(1,100円・税込)は新鮮なプチトマトをたっぷりトッピング。華やかな赤と緑の色彩に思わず食欲がそそられます。
トマトソースは驚くほど旨味が濃厚で心地よい酸味。絶妙なアルデンテに茹でられたパスタともうれしいぐらいマリアージュしています。香り高いフレッシュバジルがアクセントに。
なお、新型コロナウイルス感染防止対策として、カフェテリアの利用人数制限を実施中。また料理はプレミアムグリーン、グリーン車利用の場合はカフェテリアでの提供、グリーン個室の場合は各個室へのデリバリーとなります。フードメニューは専用モバイルオーダーサービス「サフィール Pay」からの事前予約が必要なので、切符を手配したらアプリについても確認しておきたいところです。
風光明媚な車窓や魅惑の料理の数々。優雅な時間を約束してくれるプレミアムな観光列車で、とっておきの鉄道旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
[サフィール踊り子]
[Photos by Nao]