『借りぐらしのアリエッティ』スタジオジブリ公式発表のモデル地
『借りぐらしのアリエッティ』は、2010年公開、企画・脚本 宮崎駿氏、米林宏昌監督のスタジオジブリ作品。セシル・コルベルの心に響く音楽も印象的でした。原作はメアリー・ノートン、海外の文学作品ですが、舞台を日本に置き換え、独特の美しい世界観が生まれました。
緑輝く美しい風景が印象的な『借りぐらしのアリエッティ』。病弱な少年・翔が、お母さんの育った古い屋敷で1週間だけ過ごした、そのときの出来事。翔が出会った小人の少女、それがアリエッティ・・・。まさに、この季節にもう一度観たい作品です。
この作品で「大いに参考にした場所」とスタジオジブリから公式発表されているのが、青森県盛美園、小金井市はけの小路、武蔵野公園と野川です。
今回は、この小金井市はけの小路、野川近辺を現地ルポ。実際の作品シーンと重なるスポットを探してみたいと思います!
オープニングシーンの車で通る橋
こちらは、野川にかかる天神橋。映画の中で、少年・翔が車で移動中通る橋です。映画では、橋は赤く塗られていました。このときは工事中の青いネットがかけられていたため、ちょっと雰囲気が違いますが、向かって右手の階段や河原の様子は映画のシーンそのもの。モデルとされたのは本当だったんだ!とちょっと感動してしまいます(現在は青いネットは取り外されています)。
クライマックスのお別れシーン
次はクライマックス、翔とアリエッティのお別れシーンです。さっきオープニングシーンだったのにもうクライマックス!?という感じですが、そうなんです、すみません。
翔にお別れを告げるために戻ってきて、竹垣に立つアリエッティ。この竹垣のモデルがあるそうなんです。
それがここ、「はけの小路」。“はけ”とは“崖”のこと。小金井には高低差15〜20mの段丘崖(国分寺崖線、ハケ)が東西に走り、風情ある坂や階段が今も数多く残るそう。
この「はけの小路」近辺も、思わず迷い込みたくなる坂や階段があちこちにあります。近代洋画壇の重鎮・中村研一による作品などを収蔵する「はけの森美術館」や、森にたたずむ素敵な一軒家の「はけの森カフェ」などもあり、散策にはぴったりです。
この「はけの小路」沿いの竹垣。現在はアリエッティのシーンのように青々とした竹ではないし、竹垣の奥の風景も全く違います。とはいえ、たしかにぴょこんと小人が出てきたら・・・と想像したくなるような、いい雰囲気の静かな小路なんです。
やかんに乗って出発するシーン
翔にお別れを告げたアリエッティは、家族や仲間のスピラーと一緒に、やかんの船に乗って出発します。そのシーンの両岸に石が連なる水路が、「はけの小路」の水路と重なります。
この日は水路の水量が少なかったのですが、もう少し水量が多ければ、さらに雰囲気が近づいたかと思います。
船出した先の川のシーン
さて、アリエッティたちを乗せたやかんは、水路を抜け川へと合流します。そのときの水路の入り口が、鉄格子も含め天神橋下の水路入口と酷似しているんです。
作品を観て覚えている人はわかると思います。たしかに、そっくり。でもアリエッティたちが抜けた鉄格子は1本折れていて、だからこそ隙間から抜けられたという設定でした。聞くところによると、ちゃんと鉄格子が壊れている水路入り口もあるそうなので移動してみます。
こちらは、天神橋から3分ほど歩いた、霊園通りの青い橋の下です。バス停「前原町」もすぐ近く。ここの鉄格子が・・・
そう、壊れているんです!でも、1本ではなく数本壊れていて、これまたちょっと映画のシーンとぴったりとはいきませんでした。残念。
新緑の季節を堪能できる散策スポット
朝日に照らされて希望に輝くアリエッティの表情。そのときゆく川の風景は、本当に野川の流れそのものでした。
生茂る草やのどかな流れ、かかる橋もすべてがアリエッティな野川。
遊歩道が気持ちいい野川は、新緑の季節の散策スポットとしてぴったり。川沿いには素敵なガーデニングで目を楽しませてくれる家々が多くあり、静かに、でもありがたく感じながら散歩を満喫しました。
アリエッティの世界観を感じながら、小金井散歩。生命力あふれる季節と、アリエッティの生きる力が重なって感じられるひとときなのでした。
企画・脚本 宮崎 駿
原作 メアリー・ノートン
脚本 丹羽圭子
監督 米林宏昌
プロデューサー 鈴木敏夫
制作 星野康二
音楽・主題歌 セシル・コルベル
声の出演
志田未来 ⋅ 神木隆之介 ⋅ 大竹しのぶ ⋅ 竹下景子 ⋅ 藤原竜也 ⋅ 三浦友和 ⋅ 樹木希林
上映時間 約94分
配給 東宝
公開日 2010.7.17(土)
公式サイト
https://www.ghibli.jp/karigurashi/
© 2010 Studio Ghibli・NDHDMTW
※作品静止画はスタジオジブリ公式サイトより使用させていただきました。ありがとうございます。
https://www.ghibli.jp/works/karigurashi/
[Photos by TABIZINE編集部]