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「ミシュラン」の星が最多の都市は日本にあった

そもそも「ミシュラン」とは世界の飲食店を評価する2大格付け機関の1つです。1つはアメリカのニューヨークで1979年に誕生した『ザガット・サーベイ』で、もう1つが「ミシュラン」。
「ミシュラン」と聞くと、フランスのタイヤメーカーを思い浮かべると思います。まさに、そのタイヤメーカーが車に乗って出掛けてもらいたいホテル(旅館)・レストランを紹介するガイドブックです。
「ミシュラン」といえば「3つ星」など星の数で格付けをするイメージも強くありますが、実はあの星はスタートの時から存在するのではないそう。1900年にスタートした後の1926年から採用した制度で、当初は1つ星からスタートし、1931年には2つ星、1933年には3つ星が設定されます。
今ではその星も、20以上の国と地域で出版される赤い表紙の「赤ミシュラン」で、さまざまな場所に与えらえています。
もともとフランスのタイヤメーカーがつくった格付けです。国別で見るとフランスの飲食店がやはり多くの星を獲得しているのですが、都市別で見ると、また結果は違ってきます。
なんと日本の都市がそのトップに君臨するのです。しかもトップ5は日本の都市が3つも占めています。どこの都市が上位に来るか予想できますか?
200個以上の星を持つ日本の都市とは

海外のウェブサイト『FINEDINING LOVERS』は、2020年度版の各国(各地)の『ミシュラン・ガイド』を基に、星の数が多い都市を集計しています。
その中で最も星の多い都市は、日本勢で東京・大阪・京都、本家のフランスでパリ、アメリカのニューヨークがトップ5を占めています。いずれもそうそうたる世界の大都市。
パリ・ニューヨーク・東京・京都・大阪、これらの都市を1位から5位の順に並べるとどうなると思いますか?

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第5位はニューヨーク。世界のトレンドをつくる大都市で、世界中から腕利きの料理人が集まっています。2020年度版の結果では星の数が76個に達しています。

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第4位は大阪。和食の世界では「西高東低」のイメージを持つ人が多いように、関西の和食文化のレベルは極めて高いです。
中でも大阪は「食い倒れのまち」として、市民が食に対し出費を惜しまない文化があるともいわれています。そんな土台があるからこそ、98個の星を大阪の飲食店が獲得できているのですね。
『FINEDINING LOVERS』の文中には出典が明かされていませんが、星の数を考えると2020年版の『ミシュラン・ガイド大阪』を参考にしていると思われます。

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第3位は同じ関西の京都です。食文化のレベルの高さを日本中の人が認める場所でもありますよね。星の数は106個。大阪と合わせれば京阪で200個近い飲食店(一部旅館を含む)の星があるとわかります。
ただ京都・大阪には掲載を断ったお店の存在も知られています。その意味でいえば、もうちょっと星の数は積み上がりそう。ちなみに『FINEDINING LOVERS』に出典は書かれていませんが、星の数から判断して2020年版『ミシュラン・ガイド京都』の数が集計されています。

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第2位は本家のパリです。となれば同時に第1位は東京。パリは119個、一方の東京は倍近い226個です。
3つ星だけを取り上げると東京は11個、パリは10個と大差がないのですが、2つ星の数が48対17、3つ星の数が167対92と、すそ野の広さで東京が圧勝しているとわかります。
すそ野が広ければ、自然にいただきも高くなります。そのうち3つ星店の数でも、東京が世界で群を抜いて多くなる日が来るかもしれません。
ちなみに『ミシュラン・ガイド』の2021年版で東京は211個の星を獲得し、そのうち3つ星は12個でした。

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以上、「ミシュラン」の星を獲得する飲食店の多さを都市別で見ると、東京が世界一という話でした。東京に暮らしている人は、せっかく世界で最も優れた「食の都市」にいるのですから、少なくとも年に1度くらいは星を持つお店に大切な人と出かけてみたいですね。
[参考]
※ Which City Has The Most Michelin Starred Restaurants in the World? – FINEDINING LOVERS
※ MICHELIN GUIDE JAPAN
※ 日本フードアナリスト協会『フードアナリスト検定教本4級』(学研教育出版)
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Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。
https://hokuroku.media/
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