町家に暮らすような滞在が叶う!サウナを備えたスパも魅力「カンデオホテルズ京都烏丸六角」【宿泊ルポ】

Posted by: ロザンベール葉

掲載日: Sep 11th, 2021

京都の中心地・烏丸御池のほど近くに、2021年6月6日に誕生した「カンデオホテルズ京都烏丸六角」。京都市登録有形文化財に指定された京町家を継承したレセプション棟、サウナ付きのスパなど最新設備を配した客室棟とが融合した新スタイルのホテルです。「暮らすように京文化に触れる」理想的な旅が叶います。宿泊ルポでご紹介します。

カンデオホテルズ京都

2021年6月6日にオープンした「カンデオホテルズ京都烏丸六角」

カンデオホテルズ京都

JR京都駅から地下鉄で3駅、京都の中心地である烏丸御池駅から徒歩約3分。メインストリートの烏丸通りのほど近くに、2021年6月6日にオープンした「カンデオホテルズ京都烏丸六角」。観光の拠点に最適な立地です。

京都市登録有形文化財である京町家、旧伴家(ばんけ)住宅をそのまま活かしながら、モダンに再生したエントランス、ラウンジ、ライブラリーから成るレセプション棟、その奥に客室とスパを配備した10階建ての客室棟との二棟で構成されています。古き良き文化と最新施設とのコントラストがユニークな空間です。

カンデオホテルズ京都

旧伴家住宅とは、滋賀県近江八幡町出身の伴家が明治29年(1896年)に現在地に居を構え、代々呉服問屋を営んできた京町家です。店舗棟と奥の居住棟の間を玄関棟でつないだ表屋造りで、明治44年には今の姿になっていたと考えられています。細部にわたり趣向が凝らされ意匠的にも優れたものであり、京町家の中でも希少価値の高いものです。

そんな上質な町家空間を体感しながら最新の客室で快適に過ごすことができる、伝統と現代の文化が見事に融合した空間です。特に「カンデオホテルズ」で定評のあるスパで、サウナ体験ができるのも魅力です。

「カンデオホテルズ」ではラグジュアリーホテルよりもリーズナブルな価格で、とはいえ寝るだけが目的のビジネスホテルとも異なる、唯一無二の「4つ星ホテル」という新しいスタイルを提案しています。京都は全国で23施設目になります。

至るところに意匠を凝らした京町家空間

カンデオホテルズ京都

さまざまなデザインの格子が連なる京町家らしい趣のあるエントランス。外からは内部が見えにくい一方、中からは外の様子がわかるよう機能的にできています。

右上は糸屋、呉服屋などでよく見られる「糸屋格子」、1階部分は呉服商によく見られる「子持格子」または「千本格子」でしょうか。格子と一口に言っても、商売の内容により種類が変わるのが興味深いですね。

カンデオホテルズ京都

扉の先には「うなぎの寝床」と呼ばれる、まさしく京町家特有の奥に長い空間が広がっています。こちらは比較的間口の広い町家ですが、よく見られる京町家は間口が狭く奥行きがあります。

近世の京都では、家の間口の広さで固定資産税が決められていたそうです。税金対策のために、間口を狭く奥に長い空間を作るという知恵から建てられるようになったというから面白いですよね。

カンデオホテルズ京都六角

左下を見ると、奈良時代の石が配されています。この石は、廃寺となったお寺の本堂の柱の伽藍礎石(がらんそせき)とのこと。ふと気付けば、和空間ならではの白檀(びゃくだん)の香りがほんのりと漂っています。

カンデオホテルズ京都六角

フロントまで続く、通り土間のエントランスも長いのです。

京町家を活かしたレセプション棟

カンデオホテルズ京都六角

六角(ろっかく)通り側にあるのは「応接の間」です。

カンデオホテルズ京都六角

奥には和室らしく座敷席もあります。坪庭を眺めながらゆったりとくつろげます。

カンデオホテルズ京都六角

そして、この和室の襖には、京都出身の文人画家・池大雅(いけのたいが)による墨絵が描かれているのです!本物です!普段は美術館でしかお目にかかれないような大家の作品を、お寺はもちろんですが、お店やお家がさりげなく所持しているのが京都のすごいところですね。

カンデオホテルズ京都六角

風通しと採光を兼ねて建物の奥に造られた坪庭。灯篭や庭石に趣向が凝らされています。奥行きがあっても光を取り入れるよう工夫されています。

カンデオホテルズ京都六角

この空間の2階には「ライブラリー」があります。立派な梁が活かされた空間は、「厨子(つし)二階」と呼ばれるいわゆる屋根裏部屋です。江戸から明治にかけて建てられた様式です。天井が低いので頭をぶつけないように要注意!通常は24時間利用できますが、2021年9月2日現在、5:00~20:00の短縮営業です。

ホテルは祇園祭の舞台である鉾(ほこ)町に位置しており、祭の時期には目の前に浄妙山(じょうみょうやま)が建ちます。通りを眺められる「ライブラリー」は祭の特等席です。

書棚には祇園祭をはじめ、町家や京都の日本庭園など京文化に関する書籍が並び、宿泊者は自由に読むことができます。

カンデオホテルズ京都六角

豆から挽いて自動で淹れてくれるコーヒー、紅茶、緑茶(無料)をいただくこともできます。本棚に置かれているカップから好みのもので味わえますよ。コーヒーの「ブレンド」をいただきましたが、香り高くしっかりとビターです。紙コップで客室に持って行くこともできるので、近所でお菓子を買い、客室でもゆっくりいただきました。

ビーズクッションにすっぽりと包まれて、隠れ家的な雰囲気の中で本を読んでいると、思わず時が経つのを忘れ、読んでいた京都の庭園の世界に入り込んでしまいました。窓から柔らかな光が差し込み、ゆったりとくつろげます。

カンデオホテルズ京都六角

奥の母屋側の2階はバーになっています。1階でこだわりのワインや京都産のクラフトビール、おつまみを購入し、2階でセルフサービスで楽しめます。

カンデオホテルズ京都六角

通り側の町家の瓦屋根を眺められるソファ席。

カンデオホテルズ京都六角
(C)カンデオホテルズ京都烏丸六角

しっとりとしたカウンター席もあります。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

畳に座ってくつろぐのもいいものです。この空間でリラックスして過ごせば、町家を体感し暮らしているような気分に浸れます。

上質なインテリアに囲まれて快適に過ごせる客室

カンデオホテルズ京都烏丸六角

では町家を後にし、宿泊スペースへ向かいます。趣のある町家と、地上10階建て、106室の客室とスパのある最新施設の客室棟が、このようにつながっているのです。ほかでは見られない空間です。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

まずは客室(エグゼクティブキング 23平米)へ。ダークブラウンの木目を基調とした落ち着けるスペースです。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

ベッドは、数多くのラグジュアリーホテルが採用しているシモンズ製。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

こちらのソファ、とても座り心地が良かったです。ほどよく固めで腰が安定します。テレビやPCを見るのに快適です。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

ルームウェアはガウンかと思いきや、浴衣なのです。こんなシックな浴衣も素敵ですね。スパへはこちらを着用して行くことができます。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

アメニティグッズは木の箱に入っています。こんなちょっとした心遣いがうれしいですね。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

タイルがおしゃれな洗面台。室内にモダンさを添えるアクセントになっています。この洗面台のある玄関スペースと室内とはロールカーテンで仕切ることができます。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

廊下にも格子が配されていますが、こちらには窓がついておらず外気が直接入ってきます。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

プライベートスパ付きの客室が2部屋完備されています。人の目や密を気にせずゆったりと楽しむのに最適です。

サウナ付きの最新スパで心身をととのえる

カンデオホテルズ京都烏丸六角

まずは男湯です。サウナーに大人気だという「カンデオホテルズ」のサウナ。これを目当てにリピートする方が多いそうです。全国のサウナ施設をランキングにしたサウナ界のミシュラン「SAUNACHELIN(サウナシュラン)2020」では、「カンデオホテルズ」が特別賞を受賞したそうです。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

サウナの後には奥にある水風呂へ。そして手前には外気を感じられる外湯があり、外気浴を楽しめます。水風呂は男湯のみに設置。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

湯船の横には「ととのい椅子」まで配されています。サウナ好きにはたまりませんね!

カンデオホテルズ京都烏丸六角

こちらは内湯。大理石で造られた新しく清潔感のある浴室です。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

女湯です。脱衣所は男湯も同様です。シンプル&ナチュラルな空間。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

こちらで特に人気なのがアメニティ。イタリア製オーガニックのオリジナルです。ボディウォッシュ、シャンプー、コンディショナー、洗顔、化粧水、そして脱衣所には乳液もあります。

全て使ってみましたが、ハーブのような薬草のような、薬効が期待できそうな香りが印象的です。それぞれに香りが異なります。「購入できないんですか?」と尋ねられることが多いというのも納得の使い心地の良さです。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

女湯にはミストサウナが設置されています。タイル張りがおしゃれです。筆者はサウナの経験は数えるほどで、慣れない熱さに少し体験しただけで出てしまいましたが、寒い季節には身体が温まり、自律神経を調整するにも良さそうだなと感じました。

熱かったので、出た後に思わず水に近い冷たいシャワーを浴びました。それは快感だったので、きっとこれに慣れて繰り返せばサウナーに仲間入りできるのでしょうね。気軽にサウナ体験ができるので、サウナ初心者にもおすすめです!

カンデオホテルズ京都烏丸六角

奥には、男湯のような水風呂はありませんが、一人用のお風呂があるのです。常に水が泉のように沸き、ローマの噴水を思わせる水音が心地よいのです。湯船もなんとなくヨーロピアンな感じがしませんか?

ザブン!と入ってみると、自分の体積量の水があふれ出し、なんだか申し訳ない気持ちになりながらも至福・・・。水の音が耳に心地よく響きます。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

外気を感じながら、少しぬるめのお湯でゆった~りと心身をほぐせます。やはり大きな湯船で身体を伸ばせるのは気持ちがいいですね!日々積み重なった疲れがほどけていくようです。京都観光で歩き疲れた身体も癒やしてくれることでしょう。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

洗い場には仕切りがあるのもうれしいポイント。内湯は男湯と同様です。

夜の町家は光が織りなす異なる風情に

カンデオホテルズ京都烏丸六角

夕飯に出かけようとしたところ、夜の町家の風情が異なることに気付きました。エントランスには、洗練されたガラスのランプがいくつも下がっています。古い町家にラグジュアリー感を添え、これはとても美しい演出です。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

そして、外観も格子越しに光が漏れ、影絵のようななんともいえない陰影を生み出しています。思わず谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』を読み返したくなります。和の文化が醸し出す微妙な美しさ、趣きを失いたくないものです。

旬の素材を生かした京都のおばんざいが満載の朝御膳

カンデオホテルズ京都烏丸六角

朝食は母屋の2階にある「バー」空間でいただきます。ドリンクは牛乳、オレンジジュース、リンゴジュース、緑茶、水などから自由に選べます。ホットドリンクは緑茶、コーヒー、紅茶がそろいます。お吸い物もこちらでよそいます。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

窓際の席に、こんな素敵な折詰が用意されていました。

カンデオホテルズ京都烏丸六角

2段重ねのお弁当箱を開くと、右に多種多彩なおばんざい、左にご飯とおかずがぎっしりと詰まっています。連泊の場合は、全3種類が日替わりで登場します。1日60食の限定です。

京都では外せないだしの味わいが口の中に広がる「出し巻き」、京都ならではの「湯葉の炊いたん」。「炊く」とは「煮る」と同じ意味です。秋を感じさせる「焼き秋刀魚」や「さつまいも団子」。薄くスライスしたローストビーフとお肉があるのもうれしいですね。野菜がたっぷりと盛り込まれた多品目を一度にいただける、ヘルシーでバランス抜群の朝食です。

■旬の食べ合わせを愉しむ京のおばんざい朝御膳
ローストビーフ/出汁巻き/野菜のごった煮/ひじき煮/かぼちゃの煮付け/アスパラの炊いたん/ほうれん草の白和え/お煮しめ/さつまいも団子/焼き秋刀魚/きんぴらごぼう/あかにし貝/湯葉の炊いたん/紫蘇ちりめん山椒ごはん/しば漬け/お吸い物

カンデオホテルズ京都烏丸六角

通り側の町家の瓦屋根を眺めながらほっこり。京情緒に浸れます。食後のコーヒーはこちらでも、「ライブラリー」でコーヒーを淹れて客室でゆっくりと味わうこともできます。

伝統的な京町家空間で文化を感じながら、コーヒーやワインを片手にくつろいだ後は、サウナ付きのスパでゆったりと心身を整える。リラックスした後には、洗練された客室で良質な眠りに誘われます。そして出かける前には、京都ならではのおばんざいが詰まったヘルシーな朝食。

いくつもの心地よさを兼ね備えた贅沢なホテルで気持ちをリセットし、上質な京都滞在を叶えてみませんか。

カンデオホテルズ京都烏丸六角
住所:京都市中京区六角通烏丸西入骨屋町149
ライブラリー:24時間利用可能
※2021年9月2日現在、5:00~20:00の短縮営業
バー:13:00~23:00
※2021年9月2日現在、13:00~20:00の短縮営業
スパ:15:00~翌2:00/6:00~11:00
URL:https://www.candeohotels.com/ja/kyoto-rokkaku/
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、酒類提供の自粛中で営業時間変更の場合があります。最新情報はHPか施設にご確認下さい。

[All photos by Yo Rosinberg]
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PROFILE

ロザンベール葉

ロザンベール葉

主に横浜・東京で育ち、縁あって京都に在住。美術書出版社勤務を経て、フリーランスライター歴20年余り。フランス人のパートナーと共に、フランスとイタリアを中心に気ままな旅をする。海はどこも好きだけど、「地中海」という響きに憧れる。マイペースが好き。

主に横浜・東京で育ち、縁あって京都に在住。美術書出版社勤務を経て、フリーランスライター歴20年余り。フランス人のパートナーと共に、フランスとイタリアを中心に気ままな旅をする。海はどこも好きだけど、「地中海」という響きに憧れる。マイペースが好き。

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