【実はこれが日本一】山手線の10倍の長さ!「幅の広い川」は埼玉県にあった

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Oct 25th, 2021

意外な日本一を取り上げるTABIZINEの連載。今回は川について紹介します。日本一長い川といえば信濃川、日本一流域面積が広い川といえば利根川ですが、日本一幅の広い川は、どこだかわかりますか?

東京都北区赤羽と埼玉県川口市を流れる荒川
荒川

 

11両編成の山手線より10倍以上長い川幅

新潟県新潟市を流れる信濃川
信濃川 (C) Distinctive Shots / Shutterstock.com

冒頭でも書いたとおり、日本一長い川は長野県と新潟県にまたがる信濃川です。長さは367km。東京から奈良の直線距離と同じくらいですね。流域面積の広さ日本一は利根川です。『広辞苑』(岩波書店)によれば、

<群馬・栃木・埼玉・東京・茨城・千葉の1と5県にまたがり、1万6840平方キロメートル>(『広辞苑』より引用)

の流域面積があるということです。1万6,840平方キロメートルとは、『小学館の図鑑NEO+もっとくらべる図鑑』を調べると、四国全体の1万8,300平方キロメートルに迫るくらいだとわかります。ものすごいスケール感ですよね。

ただ、この辺は社会科の授業でも暗記した情報ともいえます。では、同じ川の話でも、川幅の広さが最も広い川といわれたら、どこにあると思いますか? 静岡県民であれば、

「富士川だろう」

と胸を張るはずです。富士川とは日本三急流のひとつで、名前のとおり富士山の近くを流れ駿河湾へと流れる全長128kmの大河です。河口の広さは1,950mで日本一の河口幅となっています。

基本的に川は河口の川幅が最も広くなりますから、富士川こそが日本一川幅の広い川と考えられそうです。しかし実際は違っていて、答えは荒川です。しかも河口ではなく、埼玉県の鴻巣市と吉見町の間を流れる、河口から見て62kmの中流域に日本一の川幅が存在しています。

埼玉県川口市を流れる荒川
埼玉県川口市を通る荒川

しかし、30万分の1のスケールの地図を見る限り、大して広い川幅に見えません。実際の川幅は2,537mもあるそうで、日本一の川幅として国土交通省も認めています。

2,537mといえば、日本一長いホームとして知られる京都駅の0番・30番乗り場(558m)の4倍ほどの長さです。東京の人にわかる例でいえば、山手線の11両編成の長さが220m。その10倍以上の長さです。

地図上では狭そうに見える荒川の川幅が、どうして日本一広いとされているのでしょうか? 国土交通省の川の定義にその理由が関係しているので、国土交通省の公式ホームページを見てみましょう。

<国土交通省は河川敷を含めた堤防の間を「川幅」と定めており>(国土交通省の公式ホームページより引用)

と書かれています。普段の川の流れだけでなく河川敷や堤防も含めて川幅なので、その幅で勝負した時に荒川の中流域が日本一に輝くのです。

増水時のスケール感は怖いくらい

台風で増水した荒川
増水時の荒川

「そんなのずるい」と静岡県民は思うかもしれません。しかし埼玉県の荒川を増水時に見ると、それこそ恐ろしい眺めになります

日本の河川ではなかなか見られない、世界の大河のようなスケール感が生まれるので、地元の人すら思わず橋まで見物に集まるくらい大雨の後は様相が一変します。中には記念撮影している家族まで見られます。

普段は川幅も狭い荒川の中流域ですが、増水時の荒川もまた荒川です。日本一の称号はだてではありません。

ちなみに河川敷には日本一のポピー畑があり、太さ8cmもある川幅うどんや川幅ケーキなども、まちおこしの一環で売られているみたいです。

川幅日本一の標も立っていますので、新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか遠出できない関東の人は、日本一の川幅を体験しにちょっと出かけてみると気晴らしになるかもしれません。

埼玉県鴻巣市荒川河川敷のポピー畑
河川敷のポピー畑

[参考]

すごいぞ!埼玉 – 埼玉県

【日本一】鴻巣‐吉見間を流れる荒川の川幅(2,537m) – 鴻巣市

荒川流域にはB級グルメがいっぱい – 国土交通省関東地方整備局荒川上流河川事務所

日本一がたくさん!埼玉県鴻巣市の川幅、ポピー畑、水管橋にドライブ – careco

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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