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箱根駅伝とは?
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箱根駅伝の歴史は古く、始まりは1920年。そのきっかけとなったのは、マラソンの父として知られる金栗四三らの「世界に通用するランナーを育成したい」との思いです。現在も先達の思いを脈々と受け継ぎ、毎年新しいドラマが誕生しています。
出発地点は東京・読売新聞社前。そこから箱根・芦ノ湖を折り返し地点に、往復217.1Kmもの道のりをたすきをつないで走ります。出場するのは、関東学生陸上競技連盟に加盟している大学のチーム。前年の大会でシード権を獲得した上位10校と、10月の予選会を通過した10校、そして関東学生連合チームの合計21チームが集い、それぞれの思いをかけて東京―箱根の10区間を駆け抜けます。
1区:大手町~鶴見 (走行距離 21.3km)
大手町の読売新聞社前がスタート地点。1区はその後の勝負の流れを大きく左右する重要なポイントで、スピードに自信のあるランナーが配置されるのが特徴です。勝負どころは「八ツ山橋」や「六郷橋」あたり。集団の中からいつどんなタイミングで飛び出すのか。慎重に、そして大胆に。そんな水面下の駆け引きにハラハラさせられます。
2区:鶴見~戸塚(走行距離 23.1km)
各校のエースが登場するこの区間は、「花の2区」とも呼ばれています。見どころは、高低差が大きい「権太坂」や、ラスト3kmの上り下りの繰り返しが待ち受ける「戸塚の壁」と呼ばれる地点です。走行距離が長く、体力勝負な難所ですが、同時に勝負におけるセンスも求められ、記録的な「ゴボウ抜き」をやってのけるランナーも登場します。
3区:戸塚~平塚(走行距離 21.4km)
序盤、約9kmの緩やかな下り坂に始まり、11kmを過ぎると正面に富士山を臨む相模湾の海岸線に出ます。風光明媚な景色を楽しみながら箱根駅伝が観戦できるポイントでもありますが、ときに強い海風が向かい風となり、選手の足を阻みます。天候や風の向きを考えながら戦略を練る必要があり、スタミナとペース配分が勝負に大きな影響を与えます。
4区:平塚~小田原(走行距離 20.9km)
折り返し地点となる5区を目前に、どのような位置に付けるのかが勝負どころの4区。遅れをとっていても戦術次第で新たなレース展開の可能性もあり、目が離せません。富士山を間近にランナーを応援できる「酒匂橋」が人気の観戦ポイントです。
5区:小田原~箱根(走行距離 20.8km)
「山登り」と呼ばれる最大の難所であり、標高約874mまでを一気に駆け上ります。5区の20.8kmのうち、16.2kmの最高地点まで、ひたすら上り道が続き、ランナーの体力を削ぎます。19kmを過ぎたところの「箱根神社大鳥居」からは下り道が始まり、どのように走り方を切り替えるのかも興味深いところです。往路のゴールは「芦ノ湖」。箱根観光を楽しみながらランナーの到着を待つなら、「箱根湯元駅」や「箱根駅伝ミュージアム」がオススメです。
6区:箱根~小田原(走行距離 20.8km)
最初の4kmを上った後は、下り道をひた走ります。下りは上りより一見楽そうにも見えますが、足に負担がかかりやすく、飛ばしすぎると後々大きなリスクにつながることも。足への負担と体力を考慮したペース配分がカギとなります。急傾斜をヘアピンカーブで曲がる「大平台」ではランナーのテクニックが見どころ。
7区:小田原~平塚(走行距離 21.3km)
午前中の早い時間帯を走ることになるため、太陽がのぼり気温が上がると、気温変化に影響を受けてしまうランナーも。また、正面から日差しを浴びて走るため、体力を奪われやすく、思わぬ失速を招くこともあり、自分のペースで走るのが難しいコースです。美しい松並木に囲まれた大磯の「東海道松並木」が人気の観戦スポットです。
8区:平塚~戸塚(走行距離 21.4km)
「湘南新道」に入ってからの、アップダウンを含む9kmにわたる長い上り坂に苦しめられるランナーが多く、気温の上昇で脱水症状に見舞われることも。中でも「遊行寺」の登り坂は難所中の難所。自分と戦いながらひた走るランナーに、沿道から送る声援にも力が入ります。
9区:戸塚~鶴見(走行距離 23.1km)
ラストの10区のレースを控え、大逆転をかけた熾烈な戦いの舞台にもなるのがこの9区です。「権太坂」では優勝の予想を覆すようなドラマチックな展開が見られることもあり、観戦する側もハラハラさせられます。
10区:鶴見~大手町(走行距離 23.0km)
「日本橋」を通って「大手前」のゴールに向かいます。チーム全体の思いを背負って走る最終ランナー。ラストスパートがかかる中でさまざまな思いが駆け巡り、プレッシャーや期待から思わぬアクシデントが起こることも。ゴールを迎える最後の最後まで目が離せません。