日本で初めて白い丸型ポストが設置された
(C) Picturesque Japan / Shutterstock.com
ジャッキー・チェン主演の映画『プロジェクトA』の吹き替え版テレビ放送で、日本の地名が出てきて驚いた記憶が少年時代の筆者にあります。
その時に初めて「犬吠埼」という場所があると知りました。執筆にあたってあらためて調べてみると、犬吠埼の地名は日本語吹き替え版の特別な翻訳らしく、原作ではバングラデシュとされているみたいです。
なんであれ、この犬吠埼はずっと耳に残っていました。大人になりテレビ制作の仕事に就き、撮影で使った巨大な人形を犬吠埼(銚子)にある会社まで2トントラックで返却しに行く時に、初めて足を運び感動した思い出もあります。
関東の人であれば、z犬吠埼の場所を大まかにご存じのはず。千葉県と茨城県の県境に利根川が流れていて、その利根川沿いを太平洋に向かってずっと進むと銚子のまちに着きます。海へ突き出す銚子半島があり、その岬の先端に犬吠埼灯台があります。
この犬吠埼灯台の目の前に2013年(平成25年)3月14日、日本で初めて白い丸型ポストが設置されました。地元の新聞・千葉日報の報道を振り返ると、白い丸型ポストの設置には東日本大震災の復興、さらには落ち込んだ観光客を呼び戻す目的があったとのこと。
1960年(昭和35年)に製造され現役を引退していた古いポストを、郵便事業会社銚子支店がプロジェクトのために譲り受けます。当初は赤いまま設置しようとしたようですが、灯台を管理する銚子海上保安部から灯台と色を統一して真っ白にしてはどうかと提案があります。
その案を採用した郵便事業会社の職員が白く塗り直し、灯台の前に置いて、ホワイトデーの3月14日に除幕式を行ったのです。
赤色以外のポストも日本にはある
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「ポスト=赤色」というイメージがありますが、勝手に白色に塗ってしまってもいいのでしょうか。
調べてみると、明治時代中ごろまでの日本のポストは、木製だったり黒色の角柱型だったりと、もともと今とは異なる形と色で存在していたようです。
1908年(明治41年)10月に鉄製の赤色ポストが正式に制定されてからは、赤色がメジャーになります。しかし、法律や規則で「ポスト=赤色」と決められているわけではなさそうです。
ポストについては、
<総務省令で定める基準に適合する郵便差出箱>(郵便法より引用)
と書かれています。総務省令「郵便法施行規則」を読むとポストの条件として、
- 構造が壊れにくい
- 取り出し口に鍵がかけられる
- 郵便物を安全に保護できる
- 見やすい場所に「郵便」の文字、もしくはポストを示す文字を表示する
- 利用できる日時と郵便物を取り集めする事業者名と収集時刻を表示する
などが書かれていますが、色に関する指定はありません。
イギリスの郵便制度を導入した日本がイギリスのポストの色に影響を受けて赤色にした、あるいは黒色は目立たなくて目立たせる必要があったなどの理由から、慣例的に赤色にしているだけで、絶対ではないようです。
実際に、黄色・ピンク・抹茶色など白色以外のポストも日本で見ると思えば、やはり問題ないのかもしれません。
参観者数が日本一を誇る人気の灯台
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ちなみにこの犬吠埼灯台、ほかにも日本一がいくつかあります。例えば内部を一般公開している全国16カ所の参観灯台のうち、参観者数が日本一多い、人気の灯台との称号を持ちます。
さらに地理と地軸の関係から、離島と標高の高い山の山頂を除いて、日本で一番早く元旦の日の出を拝めます。元旦前後は、北海道の納沙布岬よりも犬吠埼のほうが日の出が早くなるのです。
さらに回転しながら点灯するあの閃光レンズも1等レンズと最大の大きさを誇ります。いわば日本を代表する灯台でもあるのです。
犬吠埼温泉郷も周囲にあります。日帰り入浴も以下の施設で可能です。
- 絶景の宿 犬吠埼ホテル
- 犬吠埼観光ホテル
- ホテルニュー大新
- ホテル&スパ月美
- ぎょうけい館
新型コロナウイルス感染症の影響で、なかなか思い切った遠出ができない関東暮らしの人たちは、週末にでも犬吠埼を訪れてみてはいかがでしょうか?
ほとんど出す機会がなくなった手紙を何枚か用意して、大切な人へ向けて犬吠埼のポストに投函して気持ちを伝えるなどのイベントも用意しておくと、小旅行を楽しめるかもしれません。
[参考]
※ 白いポストお目見え 犬吠埼ホワイトデーに合わせ 銚子 – 千葉日報
※ 郵便ポストの移り変わり 〜日本最初のポストから現在のポストまで〜 – 郵政博物館
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