
19世紀後半、ナポレオン三世のパリ都市改造計画の一貫として、貴族たちの社交場の建設計画が持ち上がりました。オペラ座の設計コンクールで選ばれたのは、建築家のシャルル・ガルニエ。豪華絢爛な「オペラ・ガルニエ」は1875年に完成しました。
正面玄関


まず、オペラ座に足を踏み入れてハッとするのは、正面玄関の美しさ。大理石が潤沢に使用され、シャンデリアの光が揺らめきます。ここには、外の世界と一線を画するような、本当の意味で豪華絢爛な雰囲気があります。階段を一歩ずつ登っていくと、煌びやかな世界に足を踏み入れていくような感覚を覚えます。
まるで耽美な世界に吸い込まれるかのよう。以前、この階段を登る時、誰もが主役だと感じられるように造られたと聞いたことがあります。確かに、一日だけでも映画の主人公になったような気分にさせられる魔法のような何かがあるように感じられます。
観客席

華やかな社交場としてふさわしい金と赤の観客席。ここに身を置いてみると、不思議と映画で度々見たことがあるような貴族の世界の残り香が感じられます。

そして視線を天井に向けると、有名なシャガールの天井画「夢の花束」があります。「オペラの祭典」を表現したこの天井画は、1964年に描かれました。「夢の花束」という題名が表すように、美しい夢の世界を色彩豊かに幻想的に描いています。まるでこの天井画が客席を優しく包み込むかのよう。
グランホワイエ

オペラ・ガルニエのもうひとつの見せ場といえば、グランホワイエです。かつて観劇の合間の社交場であったホワイエは、豪華絢爛そのもの。惜しげもない金の装飾に、煌びやかなシャンデリアが、宮殿のような雰囲気を作り出しています。

ホワイエにはバルコニーもあり、ここからはオペラ通りを一望することができます。
かつて作家のガストン・ルルーはオペラ座を丹念に取材して、フィクションとノンフィクションを織り交ぜた怪奇ロマン「オペラ座の怪人」を発表しました。小説や劇のイメージもあるのでしょうか。オペラ・ガルニエは、現実に存在する劇場ですが、現実の世界とはかけ離れた美しさからでしょうか、どこか異世界に通じる魅惑的な雰囲気を纏っているように感じられます。オペラ・ガルニエは、時代を超えて多くの人々を耽美で魅惑的な世界へと誘ってくれます。
All photos by Nanako Kiyagawa
参考文献 地球の歩き方2016〜17 パリ&近郊の町、ダイヤモンド社

Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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