ニームの円形闘技場
美しく修復された17〜18世紀の建築物が立ち並ぶニームの旧市街を歩いていると、一際異質な雰囲気を醸し出す建物が目に入ります。そう、これは歴史の教科書や映画などでも出てくる有名なローマ時代の「円形闘技場」。紀元前1世紀末に建てられたこの円形闘技場は、その外観だけでも、気の遠くなるような歴史の重みが感じられるほどです。
ニームの円形闘技場は、2万4000人の観客を収容することができます。大きさは133m×101mで、ローマ闘技場の中では、それほど大きくない部類に入るのだそう。しかし、保存状態のよさは世界一と言われ、ローマ時代の円形闘技場の様子がよくわかる建築物です。
円形闘技場の中へ
円形闘技場の中へ入り階段を登っていくと、観客席にたどり着きます。目の前には、アレーナと呼ばれる楕円形型をした剣闘士が戦う場所が広がります。
ここは、古代ローマ市民に見世物を提供する場所でした。剣闘士が戦い合うその様子へのローマ人の熱狂ぶりは、相当なものだったよう。現代の私たちがスポーツ観戦を楽しむような感じでしょうか。まるで映画『グラディエーター』の世界そのままのようだったと伝え聞きます。
また同時に円形闘技場では、猛獣と剣闘士の戦いや奴隷同士の闘技などの、残酷な見世物も行われていたという一面もあります。黒い歴史があったのも忘れてはいけません。
円形闘技場の最上階席へ
階段をさらに登っていくと、最上階席に着きます。アレーナから遠い位置にあるため、ここからは、円形闘技場のすべてが見渡せます。ローマ時代は、この席は比較的身分の低い市民の席だったとのこと。剣闘士の戦いを観戦するには遠い場所ではありますが、スタジアムの全体的な熱狂が肌で感じられるような場所だったように感じられます。そして、青い空が身近に感じられるような素晴らしい眺めがありました。
ニームの円形闘技場では、目を瞑ると、かつてのローマ市民の熱狂が感じられるような、臨場感が残っています。そして、きらりと輝く空の下佇むニームの円形競技場は2000年という歴史と共に圧倒的な存在感を放っています。
Nanako Kitagawa ライター
2007年よりフランス在住。パリ第八大学大学院を卒業。専攻は文化コミュニケーション。趣味は映画、読書、写真、雑貨、料理、街歩き、カフェ巡り。初めて訪れたその日からすっかりパリの街に魅了され、今日も旅をするようにパリの街を歩き回る。
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