秘密めいたアプローチの先にある光と影のドラマ
京都の露地を思わせるような、青白く輝くアプローチ。銅板に彩られたこの小路がホテルへの入口。行くのを躊躇するくらいの神秘的な誘惑に、次に何が起こるのという期待感が高まります。
迎えられたのは光の陰影に包まれたレセプション。洗い出しのような広々とした艶めく空間には、大きな迎石(げいせき)が配され、連子格子や障子からこぼれる灯りと相まって、どこか特別な世界に迎えられたかのよう。
「hotel tou nishinotoin kyoto(ホテル トウ ニシノトウイン キョウト)」があるのは、東本願寺と西本願寺の間。京都駅から10分足らずのところですが、町家が並ぶ京都の日常の営みを感じられるエリア。伝統や文化、歴史が紡ぎ出す悠久の京都の“奥”の一端をホテルでも感じて、その奥深さを旅のエッセンスに昇華してほしいとの想いが込められているのだとか。
光と影、間合い、石があることで連想させる庭の存在など、視覚や予感、想像力といった感覚をデザインすることで、京都の奥深さや奥行きを感じる演出……素敵です! ところどころに存在する石(いわ)、そんな洞穴を抜けた先にある“奥”の京都に誘われます。
ロビーには、京都に関わるブックライブラリーもあり、ホテルでゆっくりおこもりできるフェイスマスクや雪肌精のクレンジング、スキンローション、スキンミルク、足指セパレーター、ウォッシュタオル、綿棒、緑茶など、豊富なアメニティも。
やわらかなに光に包まれる和モダンの調べ
宿泊したのは「モデレートツイン」。こちらも光の陰影が美しい和モダンな設え。広さは約17平方メートル。
格子障子・行燈風の照明・一輪挿しの花器…… 一段高くなった畳スペースにシモンズのマットレスがそのまま配されています。
全10タイプの客室がそろっていますが、和モダンのしっぽりした雰囲気はどれも一緒。これで1泊5,000円~とは、かなりの満足感です。
障子の窓の外、気になりますよね~! なんと、東本願寺の荘厳な大屋根、右手には京都タワーの眺めが広がっています。
夜にはライトアップされた景観も望め、これほど京都駅に近いのに、静けさの中でゆったりと過ごせる空間は秀逸。ぜひ、東本願寺側の客室をリクエストしてください。
もちろん、バスルームもしっかり備わっていますが、湯かごをもって、地下1階にある大浴場へ行ってみましょう。
瞑想世界のような空間が広がる湯との戯れ
うわぁ~、いったいどうなっているんだ? “奥の京都”恐るべし! 瞑想空間でもありそうな静けさに湯を湛えた大浴場。広さは異なりますが、男女ともほぼ同じような造り。
窓の外には坪庭が広がり、ここにも象徴的な石が配されています。湯船は浅いところと深いところがある造りで、手前の浅瀬に寝ころべば、頭の中からジワ~と解き放たれるくつろぎ感。存分にお湯との戯れを楽しめます。
湯上りには、1階にあるフリーラウンジへ。ここもスゴイいい雰囲気。朝は朝食会場にもなるのですが、15~21時は、宿泊者は自由に使うことができるスペース。ワーケーションするにもぴったりの空間。
コーヒーや紅茶を始めとしたフリードリンクも用意されているのですが、ココで提供されていた1717(享保2)年創業、京都に本店を構える日本茶専門店「一保堂茶舗」のグラニュー糖入り「宇治清水」がおいしいこと! お風呂上りはもちろんですが、街歩きでちょっと疲れた身体に、すぅ~っと染み渡る軽い甘みと抹茶の風味は格別。それを物語るようにピッチャーは空っぽに! すかさず2つ目のピッチャーが用意されています。
光の明暗、石の存在、視覚や想像力を刺激して京都の“奥”を感じる空間がデザインされた「hotel tou nishinotoin kyoto」。奥深い京都の魅力を暗に感じられる、期待感が高まるなんとも魅力的なホテルです。
住所:京都府京都市下京区西洞院通花屋町下る西洞院町455
料金:1名利用/1泊素泊まり1名5,005円~ 2名利用/1泊素泊まり1名3,135円~
CHECK IN/OUT:15:00/11:00
客室数:121室
アクセス:JRほか「京都駅」中央口より徒歩10分
URL:https://www.hotel-tou.com/
※2022年7月現在、新型コロナウイルス感染症対策のためサービス体制や料理提供方法などが通常と異なることがあります
[Photos by (C)tawawa]