「ご近所ガイド OMOレンジャー」と早朝の祇園を朝まいり
2021年11月、四条通り沿いに開業したホテル「OMO5京都祇園 by 星野リゾート」。目の前は八坂神社、花見小路も徒歩約3分というアクセスのよさで、京都観光の拠点に適したホテルです。
「OMO5京都祇園」で参加できる無料のアクティビティが、朝の6:30から祇園をOMOレンジャーと巡る無料ツアー「祇園うるわし朝まいり」。ツアーを終えた後にはうるわしい気分を味わってほしい、という想いからこの名が付けられているのだとか。
人が少なく静けさ漂う早朝の祇園を散歩できるのは、宿泊したからこそ体験できるアクティビティですよね。
「祇園うるわし朝まいり」は花見小路からスタート!
OMOレンジャーと巡るツアーは、花見小路から始まります。ガイドしてくれるのは、しいちゃんレンジャー。名刺代わりに愛称の書かれた、千社札をイメージしたものをくれました。
お茶屋さんが並ぶこのエリアでは、芸妓さんや舞妓さんを見かけることも多いですよね。昔から続く芸舞妓文化は、お茶屋、置屋、仕出し屋の3者で成り立っているといわれています。
お茶屋は場所貸し、置屋は芸舞妓さんの生活の場所、仕出し屋は料理屋です。お客さんから依頼を受けたお茶屋さんは、芸の好みや食事の希望などを聞き、置屋や仕出し屋をコーディネートし、お茶屋遊びが展開されるわけなのです。
祇園ではお茶屋さんはたくさんありますが、その中でも別格の存在といわれているのが一力亭さん。歴史上の人物として誰もが知る西郷隆盛も、ここ一力亭さんでお茶屋遊びとしていたそうですよ。17時~17時半頃になると、お茶屋さんへ出かけていく芸妓さんや舞妓さんたちをこの辺りで目にすることができるかもしれません。
祇園の建物トリビア~京都人の生活の知恵とは?~
祇園の古い建物が並ぶ道を歩いていきます。このあたりの古い建物は、間口が狭くて奥行きが長い家が多く、いわゆる「鰻の寝床(うなぎのねどこ)」なのが特徴。それは、間口の広さで税負担が異なる時代があったことと、みなが路面沿いで商売できるようにという2つの理由からなんだそうです。
また、このエリアならではのさまざまな工夫もされていました。京都でよく見かける竹の囲いのようなものは「犬矢来(いぬやらい)」といいますが、元々は土の道だったころに壁が汚れないよう泥よけとして設置され、また犬のおしっこ除けにもなっていたことから、名づけられたそうです。現在は、飾りとしてそのまま置かれていたり、室外機やガスメーター隠しに利用されていたりします。
季節問わず簾がかかっているのは、お茶屋遊びをしている様子が外から見えないように配慮されたもの。
京都の古い建物の屋根にのっている飾り瓦は、鍾馗(しょうき)さんといい、招福、厄除けの意味があります。鍾馗さんによって跳ね返された厄や悪いものが向かいの家に入ってしまわないよう配慮され、正面を向いていないものもありました。大きさもさまざまで、鍾馗さんに注目しながら歩いてみるのも楽しいです。
玄関先には、招福のための笑門飾りや藁でできた三角のちまきが飾られていたりします。八坂神社の祭神である牛頭(ごず)天王が、蘇民兄弟の弟に感謝し渡したものがちまきであり、現在は祇園祭で配られたり購入ができるそう。2022年には山鉾(やまほこ)巡行が3年ぶりに開催されるので、ちまきを手に入れることができそうですね。
早朝なので待ち時間なし!縁切り神社「安井金比羅宮」
縁切り神社として有名な安井金比羅宮にやってきました。そもそもなぜ安井金比羅宮が縁切り神社といわれるようになったのでしょうか?
安井金比羅宮からすぐ近くにある、崇徳天皇を偲ぶ御廟
安井金比羅宮には、崇徳天皇が祭られています。天皇の後継者争いである保元の乱に敗れた崇徳天皇が、京都からいなくなった途端に京都でたたりや災いが起きたと言われ恐れられていました。災いを鎮めるために、京都の人々が崇徳天皇を慰霊したと言われています。
京都を離れた崇徳天皇は金比羅山で生活している際、一切の欲を断ち切って生活していたといわれており、そこから縁切り神社とされているようです。参拝に訪れた人の絵馬を見ると、人との縁切りだけでなく、自分の悪い習慣を断ち切って前に進みたいと願う、前向きな願いが多いような印象を受けました。コロナとの縁切りを願う人も多かったようです。
平日の早朝ということで、普段は行列ができる縁切りの石の周りもこの通り。待つことなく祈願できます。
祈願の方法は、お札である「形代(かたしろ)」に切りたい縁と結びたい縁を書き、願いを込めて縁切り石の向こう側へくぐると悪縁を断ち切れます。さらに、願いを込めてくぐって戻ってくると良縁が結べます。最後にのりで形代を付けると願いが叶うといわれています。神様がいる本殿からよく見える場所に形代を貼る人が多いのだとか。
安井金比羅宮を後にし、坂本龍馬のお墓へと続く維新の道を進みます。「ねねの道」にもやってきました。こんなに人がいないねねの道は早朝ならでは。思う存分写真が撮れそうです。
寄り道して京都市内を一望できる場所へ
OMOレンジャーの案内で、京都市内を一望できるポイントにやってきました。五重塔も見える京都市内の景色と、まるで水墨画のような山の風景も楽しめます。
豊臣秀吉の妻、ねねが生活していた圓徳院(えんとくいん)。訪れた日は、雨に濡れて緑が鮮やかに見えました。チェックアウト後に改めて訪れましたが、美しい庭園をのんびりと眺めるのにおすすめの場所です。
貧しい農家の出身から将軍へと出世した秀吉が、ずっと拝み続けていたといわれる大黒天の前も進んでいきます。
ツアーの最終ポイント八坂神社で「お千度詣」
さらに歩いて行くと、大きな石の鳥居が見えてきます。こちらは八坂神社の正門で、OMO5京都祇園から近いのは西門にあたります。
八坂神社は日本三大祭り「祇園祭」と大きな関わりがあります。日本全国に疫病が流行った時代、悪霊やたたりによるものと考えられ、静めるための神事が行われていました。66本の鉾を立てて神泉苑に神輿を出したことが祇園祭の始まりとされています。
大きな石は奇縁氷人石(きえんひょうじんせき)といって、戦などがあった際に迷子が多かったことから、人探しの掲示板として使われていました。八坂神社正門の石の鳥居をくぐった先にあります。
ツアーの最後は八坂神社で「お千度詣」をして麗しい気分を味わいます。今から千往復するの!? と一瞬ひるみましたが、本殿で祈願した後、時計回りに三周まわるとお千度詣したことになるのだそう。
八坂神社の中には、美御前社(うつくしごぜんしゃ)があり、こちらにある湧き水「美容水」は、保湿効果があり肌に良いといわれています。
毎日美容水をつけに来る舞妓さんもいるそうですよ。
また、伊勢神宮の社、内宮外宮もあるので、参拝することで伊勢神宮にお参りしたことになります。湧き出ている御神水(ちからみず)は、料亭さんたちが毎朝タンクに入れに来るほど、おいしくて料理にも合うと言われています。
八坂神社でのお千度詣を終えホテルに戻ると、旅人にふるまわれてきたという「御香煎(おこうせん)」をいただき、約1時間にわたるツアーを締めくくりました。
OMOレンジャーのガイドのおかげで、何気なく眺めていた京都の建物や風景も今までとは違って見えました。歴史にも触れながら観光スポットを巡ることで、改めて京都の魅力の多さに気づかされたツアーでした。OMO5京都祇園に泊まったら、せひ参加してほしいです!
時間 :6:30~7:30
料金 :無料
定員数:10名まで
予約 :公式サイトにて前日22:00まで受付/当日空きのある場合案内可能
*宿泊者限定のツアー(雨天決行)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/omo5kyotogion/activities/9362/
[All Photos by Aya Yamaguchi]