【実は日本が世界一】1人4.2本!日本人がもっとも多く持っているものとは?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Aug 10th, 2022

夏、真っ盛りですね。夏の情景のひとつといえば、夕立など突然の大雨が思い浮かびます。突然の夕立は、傘がないとしのげません。そこで、日本の意外な世界一を紹介してきたTABIZINEの連載では今回、傘について書いてみたいと思います。

傘の集合写真
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日本人が世界で一番多く傘を持っている

雨の日の交差点
突然ですが、傘は何本持っていますか? 筆者の場合は、レインコートを多用するので、傘は1本です。家族もそれぞれ1本ずつ持っているので、わが家の傘置き場には4本の傘がささっています。プラスして、車の中にも確か1本、予備の傘が入っていたと思います。

しかし、家族の人数以上、それこそ倍くらいの数の傘がある家も少なくないのではないでしょうか? 誰かからもらったり、突然の大雨に降られて外出先でビニール傘を買ったりと、知らずのうちに増えてしまいがちだからです。

この個人が所有する傘の本数が、世界で見比べた時に実は日本人がもっとも多いとご存じでしたか?

かつて、TABIZINEでも取り上げた内容(日本人は世界一の「傘」好き!いつも「傘」を持ち歩く男性はなんと女性の2倍!【傘にまつわる面白トリビア】)でもあります。

ウェザーニューズ(千葉市)の「世界傘事情調査」(3万8,603人回答)によると、「傘を何本持っているか」との問いに対して世界平均が2.4本のところ、日本人は3.3本と答え、その数が世界一と判明したのですね。

日本人の傘は4.2本に増えた

雨の日に東京の交差点を渡る人たち
Checco2 / Shutterstock.com

この世界傘事情調査は、2014年(平成26年)に行われた少し古い調査です。もちろん現状では順位が入れ替わっている可能性もあります。しかし一方で、日本が1位のままだと考えられるデータもあります。

ウェザーニューズ(千葉市)が発表した別の調査「傘調査2022」(のべ9万259人回答)によると、「あなたは傘を全部で何本持っていますか?」との問いに9,657人の(恐らく)日本人が回答し、全国平均で4.2本に増えていると判明しました。

世界傘事情調査(2014年)では日本人の傘所有本数が3.3本で世界一でしたが、傘調査2022では数字が伸びているのですね。

さらに、いくつかの調査で、日本人はちょっとした雨でも諸外国の人に比べて傘をさしたがる国民性だと判明しています。

米マサチューセッツ工科大学の経済複雑性観測所(OEC)によると、2020年(令和2年)の日本の傘輸入額は世界第2位の大きさです。中国・カンボジア・ベトナムからの輸入がそのほとんどを占めています。

傘調査2022では、傘1本にかける金額は1,000円以下の人がほぼ半数に達しています。アジアで安くつくった輸入傘を、日本人が使い捨ての感覚で事あるごとに買い、結果として、1人で4本以上も所有する形になっていると予想されます。

ほとんどの輸入品が中国から入ってくる

神社で和傘をさす女性
現に、日本人にとっての傘が消耗品になっていく歴史が『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)にも書かれています。

そもそも傘の日本史は、6世紀ごろに百済(朝鮮半島)の聖明王からの贈答品をもってスタートしたそう。傘というより「天蓋」に近く、天皇や公家の頭上に差し掛けられました。

江戸時代には、雨よけや日よけを目的とした和傘が盛んにつくられましたが、明治維新とともに洋傘が入ってきます。洋傘はブームとなり、次第に生活の一部となって、昭和30年代(1955~1964年)には和傘の生産量を洋傘が上回ります。

1980年代には4,000万本前後と国内生産はピークに達しました。しかし、その国産の洋傘も、安い輸入品に次第に押されるようになり、1987年(昭和62年)には輸入品が国産品を上回って、今では主流になりました。

日本洋傘振興協議会によると、日本人が年間に消費する傘の量は1億2,000~3,000万本との話。同協議会に取材したNIKKEI STYLEの記事によると、国内で売られている傘のうち9割が中国からの輸入だと考えられるといいます。

『日本大百科全書(ニッポニカ)』にも、ほとんどの輸入品が中国から入ってきていると書かれています。その9割がビニール傘との話も。

このビニール傘の存在が、使い捨ての発想を生んだとの意見は多いです。ゲリラ豪雨などに対処するために、間に合わせの傘を毎回出先で買う人が増え、1人当たりの所有本数が増えていったと考えられるのですね。

ただ、ビニール傘は壊れやすく、ごみ処理の問題もあります。分解が難しく、最後は埋めるしかないとの話。手軽で安い点は疑いの余地がありませんが、問題も少なくないビニール傘が日本人の所有本数を押し上げているわけです。あまり名誉な世界一ではないかもしれません。

ちょっと値段が張っても、今年の夏こそ頑丈な傘を買って、長く使うつもりで、突然の夕立や台風シーズンに備えてみてもいいかもしれませんね。

[参考]
世界の傘事情調査 – ウェザーニューズ

傘調査2022 – ウェザーニューズ

Umbrellas in Flag Japan – OEC

よくある質問 – 日本洋傘振興協議会

雨の日、なぜビニール傘ばかり – NIKKEI STYLE

[All photos by Shutterstock.com]

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PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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