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【実は日本が世界一】2000年前の種から「世界最古の花」が千葉で咲いていた!

Posted by: 坂本正敬
掲載日: Nov 30th, 2021.

TABIZINEでは、意外な分野で日本が世界一のものを取り上げてきました。今回は植物の花の世界一を紹介します。原史時代のハスの種を発掘し、2000年以上の時を経て「世界最古の花」として咲かせた土地が日本の千葉にあるのです。海外にも報じられた歴史のドラマをたどってみましょう。

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ハスのイメージ
写真はイメージです


2000年以上前の種が発芽した「世界最古」の花

大賀ハス image by 松岡明芳 from Wikipedia

一般的に植物の種の寿命は、どのくらいだと思いますか?

農業と食品産業の発展のために幅広い分野で研究開発を行う農研機構によると、-1°C・湿度30%の環境下における作物の種子の寿命は、イネが17.2年、コムギが20.5年、ダイズが15.8年、キュウリが127.1年、トマトが31.3年、メロンが59.3年になるといいます。

キュウリの種の長持ちが特に目を引きますが、それでも基本的には100年以下といった印象です。

しかし、2000年以上前の原史時代の種が土中(泥炭層)で発掘され、その種が花を咲かせて、さらに今では平和の象徴として海外へも広がっているケースが日本にあります。千葉県の「大賀ハス」です。

大賀一郎さんが1951年(昭和26年)に68歳で発掘し発芽させたため「大賀ハス」と命名されており、発掘された千葉市では市花に制定されています。

大賀さんの取り組みによって、1952年(昭和27年)7月18日に土中から発掘された3粒の種子のうち1粒が開花したため、「The Oldest Flower」との表題とカラー写真付きで米『Life』誌も報じたほどです。

その「世界最古」の花は分根され、他所に植えられて各地で花開き、次々と広がりを見せています。

1961年(昭和36年)には、ハスの実が発掘された現場・東京大学検見川(けみがわ)厚生農場(現・東京大学検見川総合運動場)内に「大賀蓮発掘記念碑」も建立されています。

発掘最終日の前日に1粒の種子が見つかる

「大賀蓮発掘記念碑」 image by 掬茶 from Wikipedia

このような大発見と取り組みが、どうして千葉の土地で始まったのでしょうか?

そもそも大賀一郎さんは東京帝国大学を卒業した理学博士です。南満州鉄道の社員として中国東北部の大連に赴任した経歴もあり、大連近くで出土した1000年以上前と推定されるハスの種子の発芽試験に成功しています。

千葉県成田市滑川で出土した約1200年前のハスの種も1950年(昭和25年)に発芽させ、数日後に枯れさせてしまうものの、いよいよ古代のハスの種子をよみがえらせる取り組みに大賀さんはのめり込んでいったといいます。

実はハス科の種子は皮が厚く、条件がそろえば驚くほど長寿になるようです。

同じ千葉県の検見川(けみがわ)では先史時代の丸木舟が見つかっています。ハスの中心部分(果托、かたく)も一緒に出土されているので、大賀さんは丸木船の発見地の北55mの地点を次の発掘地と見定めます。

1951年(昭和26年)3月3日のまだ寒い時期に、東大生25人、地元の市立7中(現・花園中学校)の生徒40人と教師、畑小学校と土木会社の人たちの力を借りて、大賀さんは1週間の予定で発掘をスタートしました。

干拓工事を得意とする穂積組が発掘し、7中・畑小学校の生徒が土壌をふるいにかけます。周囲は草炭(そうたん)採掘地です。草炭とは泥炭(でいたん)の一種で「炭」の字が含まれるように乾かせば燃料として燃えます。

最初に表土を掘り、泥炭層を掘り、青泥(あおどろ)層へと作業は進みます。しかし1週間では何も見つからず、2週間が過ぎ、いよいよ成果のないまま3月30日を迎えました。

予算も尽き明日が発掘最終日となった午後5時10分過ぎ、市立7中に通う中学生・西野真理子さんのふるっていた青泥層の土に1粒のハスの種子らしい何かが見つかります。

発掘作業を急きょ延長すると、4月6日に2個の種がさらにふるいだされます。出土した地層は地下4.8mの深さに達していました。

世界各地で報道されたハスの開花

東京大学検見川総合運動場 image by 三人日 from Wikipedia

大賀さんは5月6日に自宅で発芽処理して水の中に種を浸します。1粒は発芽後に枯れ、2粒は発芽し生育を始めます。そのうち1粒は枯れ、最後の1粒が残りました。千葉県工業試験場がその種を受け取り、細心の注意の下で管理します。

8枚の葉が9月には出て、翌年1952年(昭和27年)4月まで順調に生育します。その段階で3つに分根され、千葉公園や千葉県農業試験場などに移植されました。

そのうち最も根の大きかったハスが1952年(昭和27年)7月1日に先陣を切ってつぼみをつけ、7月18日に先端を開き、翌19日には見事に花を開かせたのです。

このニュースは世界各地で取り上げられました。1953年(昭和28年)8月5日には千葉公園に移植されたハスも開花し、千葉県農業試験場で育てられたハスも1955年(昭和30年)には開花します。

各地のハスはその後広がりを見せ、観賞用として愛好され、海を渡って分根され、世界で人々を楽しませています。その発端の地が千葉市にあるとはちょっと驚きですよね。

何かの旅行で千葉市へ立ち寄る、あるいは通過する機会があったら、このロマンティックな歴史を持つ発掘の地を訪れてみてはいかがですか?

以上の歴史を頭に入れておくと、目に見える景色の奥行きがかなり違っているはずですよ。

ハスの花のイメージ
写真はイメージです

[参考]

大賀ハス(千葉公園)の開花情報 – 千葉市観光ガイド

大賀蓮の発掘と経緯 – 当きょづあ医学大学院農学生命科学研究科付属緑地植物実験所

レファレンス事例詳細

(研究成果) 適切な環境で保存すると、種子の寿命はどのくらい? – 30年間の保存と発芽試験の結果から、長持ちする種子が判明 – 農研機構

千葉市の世界一 – 千葉市

[Photos by Shutterstock.com]

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター
1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の媒体に日本語と英語で執筆を行う。北陸3県を舞台にしたウェブメディア『HOKUROKU』の創刊編集長も務める。 https://hokuroku.media/


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