夏休みの自由研究のように、心惹かれることについて、じっくり調べてみる。考えて、試行錯誤し、また考えて、まとめて、発表する。TABIZINEにもそんな場がほしいと思い【TABIZINE自由研究部】を発足しました。部員ライターそれぞれが興味あるテーマについて自由に不定期連載します。
今回は、オランダ在住TABIZINEライター、倉田直子の自由研究「自然の葉っぱで納豆は作れる?」をお届けいたします。
海外在住者が頭を悩ませる「納豆問題」
国によって差はあるものの、海外在住者にとって日本食材を入手することは日本ほど簡単にはいきません。仮に手に入ったとしても、価格の差におののくことも多々あります。例えば、筆者がかつて住んでいたイギリスの著名通販サイトでは、(この記事執筆時は)180gの納豆4パックが2.55ポンドです。2016年10月現在は1ポンド約128円なので約327円で買える計算になります。ただし筆者が住んでいた時期は1ポンド180円ほどまでいったこともあるので、その時代だと約460円くらいの感覚でした。非常にお高いですよね。
そのため、筆者の知る範囲内では、納豆を自宅で手作りをしているご家庭も数多くありました。とはいっても、上の画像のような藁にくるんで発酵させる訳ではなく、ちゃんと現代的な機器を利用しています。
(c)Naoko Kurata
それは、ヨーグルトメーカー。茹でたり蒸したりして調理した大豆に、市販の納豆菌をかけたり、市販の既製品の納豆を数粒混ぜてヨーグルトメーカーで保温すると、1日でしっかり発酵してくれるのです。
イギリス在住時に現地のヨーグルトメーカー購入を検討しましたが、見たものは温度調節ができず、納豆を発酵させるまでの高温にはできませんでした。そのため、我が家では日本のタニカ電器株式会社から発売されているヨーグルトメーカーを、変圧器を通して使っています。これは納豆や甘酒も作ることを前提に販売されているので、温度調節機能が完備されています。
このヨーグルトメーカーを使い、既製品の納豆を少しずつタネ菌にして自家製納豆を増殖させていた我が家。けれどある日、筆者は思いもかけない情報を目にしました。
いいね!? 「公園の葉っぱで納豆を作ったよ」
なんと、同じく欧州某国在住の知人がソーシャルネットワーキングサービス上で「公園に自生していたホオノキ(朴の木)の葉っぱを使って納豆を作った」という日記を書いていたのです。
彼女曰く、「既製品の納豆菌を使わず、蒸した納豆をホウ葉にくるんで温めたら納豆になった」というのです。まさか!そんなことがあるなんて! 衝撃を受けて筆者がネット上の情報を検索してみると、確かにほかの方も「葉っぱ(ハーブ)だけで納豆を作った」 とブログに書かれていました。それを聞いて、俄然筆者も「自然の葉っぱによる菌なし発酵」に興味がわき、チャレンジしてみることに決めました!
自宅の庭のイチジクの葉で納豆チャレンジ
(c)Naoko Kurata
他の方が既に実証されている葉を使っても面白くないので、筆者は自宅庭にあるイチジクの葉に目を付けました。
(c)Naoko Kurata
消毒はせず、あえて軽く水洗いして拭き取っただけのイチジクの葉をヨーグルトメーカーの底に敷きつめました。
(c)Naoko Kurata
そこに蒸した大豆を入れ、更にその上にもイチジクの葉をかぶせます。
(c)Naoko Kurata
あとは、ヨーグルトメーカーの販売会社が提示している「45度で24時間保温」という目安通りに設定して、その時を待ちました。
「イチジク納豆」の完成
(c)Naoko Kurata
そして、24時間経過後の様子がこちら。上に載せている葉の淵が乾燥しているのが見てとれます。果たして、発酵しているのでしょうか?
(c)Naoko Kurata
ちゃんと糸を引き、発酵していました! やったー!!
ちなみに、納豆独特のアンモニア臭はまったくせず、むしろバニラを思わせるようなかすかな甘い香りを感じました。
(c)Naoko Kurata
冷蔵庫で2日ほど寝かせて熟成させた後、いざ実食!
確かに納豆ではあるのですが、発酵が若干弱いような気がしました。実食に付き合ってくれた筆者の家族も、同意見でした。既製品の納豆菌を使っていた時は十分だった「45度24時間保温」が、葉っぱ発酵だと短かったのかもしれません。
(c)Naoko Kurata
残りの「イチジク納豆」は、かき揚げにして美味しくいただきました。
次のページでは、「笹の葉納豆」に挑戦します!
「笹の葉納豆」は作れるか?
(c)Naoko Kurata
イチジクでの成功に気をよくした筆者は、同じく庭に自生している笹の葉で再チャレンジすることに。
(c)Naoko Kurata
前回のイチジクと同様に、軽く洗った笹の葉をヨーグルトメーカーの容器の底に敷きつめます。
(c)Naoko Kurata
豆の上には、数枚置く程度にしました。
そして前回の発酵が不足気味だった結果を鑑み、今回の設定は「45度30時間」と温度は同じですが時間を6時間プラスしてみました。果たして結果は?
「笹の葉納豆」の成功
(c)Naoko Kurata
これが、30時間経過後の様子。笹が乾燥して丸まっていますね。今回もアンモニア臭は感じません。
(c)Naoko Kurata
前回同様、ちゃんと糸を引くほどに発酵していました。成功です!!
(c)Naoko Kurata
そして、冷蔵庫での2日間の熟成後の実食へ。
6時間の追加保温のお陰か、今回はしっかり納豆らしい発酵を感じました。
まとめ:「葉っぱから納豆は作れる」
(c)Naoko Kurata
2回の実験の結果、「葉っぱから納豆は作れる」ということが分かりました。けれど、たまたま今回は2回とも成功しましたが、もしかしたら相性の良くない植物の葉やお腹に優しくない葉もあるかもしれません。もしもご自宅でチャレンジされる場合は、自己責任でその点をご注意くださいませ。
そして筆者としては、大豆さえ常備しておけば納豆菌のストックは気にしなくても良くなりそうです。これでまたひとつ、海外生活が自由になりました。
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