ニューヨーカーは雨が降っている時でも、豪雨でない限り傘をさしません。ニューヨークにも雨季らしきもの(初夏と秋には雨が多い)はあり、降水量が少ないわけではないのです。
では、なぜニューヨーカーは傘をささないのでしょう。
ニューヨーカーが傘をささない理由
高層ビルが多いためビル風が強く、傘がさせない
マンハッタンは高層階のオフィスビルやホテルが多く、ビル風が強烈。風で1-2回煽られると、傘はおちょこになり、あっという間に壊れてしまいます。ストリートのゴミ箱に壊れた傘が多く打ち捨てられているのは、雨の日のお馴染みの光景。地下鉄駅が勤務場所の直ぐ近くにあることもあり、傘を持っても壊れてしまうくらいなら「傘なんて持たなくてもいい」というニューヨーカーが多数。
傘の品質が低く、壊れやすい
(C) Hideyuki Tatebayashi
アメリカで売られている傘は、悲しいほど品質が悪いものが多いです。傘を多く売るために、全米傘組合がワザと壊れやすく作っているのではと疑うほど。何年も使えるほどの丈夫な傘はなく、日本の傘の品質の良さを再認識します。
ビーチパラソル並みに巨大な傘
アメリカ人は大柄な人も多いですが、傘も大きいです。筆者が初めて見た時、「これはビーチパラソルかゴルフ場用の傘では?」と思いました。しかもレインボーカラー等のド派手なもの。服は濡れないかと思いますが、携帯するには嵩張りすぎます。
だって面倒くさいし
(C) Hideyuki Tatebayashi
まあ、一番の理由は「面倒臭い」ということでしょう。天気予報で雨の予想が出ると折り畳み傘を携帯する、几帳面な日本人とは文化や国民性がまったく異なります。多少の雨ぐらい気にしない、というところでしょうか。
次はニューヨーカーの驚きの傘代用品をランキングでご紹介。
ニューヨーカーの雨具ランキングTOP5
(C) Hideyuki Tatebayashi
ニューヨーカーは傘嫌いですが、傘代わりの雨具があります。驚きのニューヨーカーの雨具ランキング5をご紹介しましょう。
第5位 雨ガッパ
フードのついた、防水性のレインコート。日本で着ている人はあまりいませんが、ニューヨークではポピュラーな雨ガッパ。自転車や徒歩でデリバリーするレストランの配達員や郵便配達員には必須アイテム。彼らは傘をささず、雨雪の時は雨ガッパを着用します。また子供は通学時に着用。傘使用は時に危険(振り回す、目をつくなどの事故防止)なため、幼児は傘使用禁止の幼稚園もあります。
第4位 シャワーキャップ
冗談ではなく、筆者は何度か目撃しています。雨の予報が出たら、バッグに携帯するのでしょうか。髪は濡れませんが、服やバッグはびしょ濡れ(汗)。50代以上の女性の着用率高し。
第3位 黒のゴミ袋
ニューヨークでは、雨具として黒のゴミ袋が活躍。職場や出先で調達するのか、大きなゴミ袋に顔部分をくり抜きすっぽり被ると、全身が覆えます。ホームレスからフツーの人まで、着用率の高い雨具。軽くて防水性も高いですが、個人的には真似出来るほど、ニューヨーカーになっておりません。まだまだ、修行が必要なのかも?
第2位 スーパーのレジ袋
買い物帰り、またはバッグのどこかに入っているのか、着用率の高い雨具です。お洒落なビニール袋じゃありません。日本でもスーパーで貰えるレジ袋です。こちらは頭しか覆えませんが、みなさん気にならないようです。
第1位 パーカーのフードを被る
ニューヨークでは、フードのついたジャケットやパーカーの着用率が高いのですが、晴雨両用に対応できるためかもしれませんね。雨や雪が降ってきたら、サッと被れる手軽さがよいのでしょう。かくいう筆者も、とっさの雨の時は折り畳み傘を取り出すよりも、フードを被って早歩きすることが多いです。
雨の時は、「フードを被って、早歩き」。これであなたも、ニューヨーカーの仲間入りです!
さらに、傘はささないけれど・・・
長靴は大好きなニューヨーカー
日本人は傘好きでも、長靴は嫌いですよね。でも、ニューヨーカーは逆。傘は嫌いでも、長靴は大好きなのです。雨の時はもちろん、冬は雪が降るので長靴は欠かせません。Hunterなどのブランド物を履いている人もいますが、多くはフツーの黒のゴム長。日本では見かけないようなゴツいやつです。
靴好きのニューヨーカーは、服や持ち物が濡れるよりも大事な靴が濡れるのを嫌がるのかもしれません。しかも道路の整備事情が悪く、デコボコ道には雨が溜まっているので、良い靴など履けないのです。かくいう筆者も、冬の間は雨雪両用のブーツを愛用しています。
株式会社ウェザーニューズが2014年7月に行った“世界の傘事情調査”によると、日本は年間降水日数が世界13位にも関わらず、傘の所持数はトップ(一人当たりの傘の所持数平均3.3本)という傘好きのお国柄。
「雨で服が濡れるのは気になりますか?」という質問に、「気になる」が81%で、アメリカの53%とは大きな差が出ています。しかもアメリカは「全く気にならない」が16%もいるのですから、「雨に濡れること」の意識が、日米では大きく異なるようです。
筆者もはじめは驚いていたニューヨーカーの雨具に、最近は驚かなくなりました。だって、雨はいつかは止むものですしね。
[Photos by Hideyuki Tatebayashi]
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[日本人は傘をどう使っている?世界の人と比較した“世界の傘事情調査”結果発表日本は年間降水日数世界ランク13位でも、傘の所持数世界1位]
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