年の瀬がせまり、なんだか落ち着かない気分になっているあなたに、つかの間非日常にトリップする記事を1週間毎日お送りいたします!
TABIZINE「世界の謎」特集、どうぞお楽しみください。
ニューヨークにある憧れの観光地、ホテルやミュージカル劇場。人々が集い、笑い、楽しさに溢れる場所。でもそこには、あなたの知らない歴史があるかもしれません。野望や陰謀の渦巻く世界の大都会で、過去に起こった事件や事故、解き明かされない謎。
あなたが行ったもしくは行く予定のあの場所で、そんなことがあったなんて。マンハッタン有名スポットのゾッとするような過去とは。
1.最も多くの幽霊が現れる公園 ワシントン・スクエア
(C)Sara Aoyama
観光客の人気スポット、ワシントン・スクエア・パーク(Washington Square Park)。夏は子供達が噴水と戯れ、凱旋門の下ではミュージシャンが演奏を奏でるNYCの人気の観光スポット。ダウンタウン特有の開放的な感じに、楽しい気持ちになること間違いなし。学生も多いです。
でもあなたは、公園になる前の歴史を知っているでしょうか。
(C)Sara Aoyama
1800年代初めは奴隷と貧しいニューヨーカーのための貧困者用の公的埋葬地でした。19世紀初期に大流行した黄熱病で亡くなった、多くの人も埋葬されています。2005年のワシントン・スクエア・パークの考古学的評価では、ニューヨーク市の公園とレクリエーション部は、今でも死体が2万人にも上る可能性があることを確認しています。また、公開処刑場として使用されていたとも言われます。
この人気ランドマークが、墓地だったという事実。今でも公園の下には2万ほどの死体があると考えると、NYC一のゴーストスポットと考えてよいかもしれません。
2.自由の女神の王冠から覗くのは
自由の女神 王冠から幽霊のような白い顔がのぞいている
移民博物館のあるエリス島(Ellis Island)は、人気のある観光地のひとつです。
エリス島は1892年から1954年の約60年間のあいだ移民の入国手続きの場所で、約1200万人が入国審査のために訪れたと言われます。現在のアメリカ人の40%の祖先は、エリス島から入国したそうです。国の情勢や経済事情から国を離れ、ほぼ着のみ着のまま、船でアメリカを目指してきました。それでも、引き受け先のない人や、伝染病などの病気に罹った人は、入国を許されませんでした。足止めになり、3,000人もの人が島で命を落としたと言います。家族が離ればなれになってしまうこともあったようです。この島は別名「涙の島」(The Island of Tears)とも呼ばれました。
検疫で病気のため治療が必要と診断された者は、病院へ送られました。貧しい移民達の5人にひとりが健康上の問題があり、チョークで印をつけられたそうです。1909年から1911年の間に、エリス島にあった2つの病院では、420名が病気のため亡くなりました。そのうちの85%は13歳以下の子供だったという痛ましい事実があります。
エリス島の移民検疫場所であった大ホールからは、夜になる時折子供達の声が聞こえるそうですが、職員がそこへ行くと誰もいません。大ホールでは誰もいないにも関わらず、ドアを開け閉めする音、家具を移動させる音、泣き声や子供の奇妙な声がするそうです。
自由の女神があるリバティ島(Liberty Island)は、エリス島の約1.6km隣にあり、大ホールからは「自由の象徴である」自由の女神が見えます。命からがら祖国を捨てて逃げてきた移民は、救いの手を差し伸べてくれなかった自由の女神を仰いで、どう思ったのでしょうか。自由の女神像あたりには、不思議な光や、女神の王冠から幽霊のような白い顔が見えることが報告されています。アメリカの本土を踏めず亡くなった移民の幽霊たちが、自由の女神の王冠から、悲しい思いで遠い祖国を眺めているのかもしれません。
3. ニューヨークの最も古い劇場に、今でも現れるニューヨークで最も美しい女優
ブロードウェイといえば、ミュージカルを思い浮かべるあなた。NYCには数々のミュージカル劇場があります。ニューアムステルダムシアター(New Amsterdam Theatre)は、ニューヨークで最も古い劇場のひとつ。現在は、ディズニーミュージカル「アラジン(Aladdin)」が上演されています。
この劇場では、舞台プロデューサー、フローレンツ・ジーグフェルド(Florenz Ziegfeld)による、若い女性たちのショー「ジーグフェルド・フォリーズ」が人気でした。若く美しい女性グループが、肌に密着した透けて見える衣装や装飾性の高い衣装を身にまとい、ダンスを踊り、観客を魅了したのです。アイドルグループのAKBや乃木坂46の先駆けかもしれませんね。
その「ジーグフェルド・フォリーズ」には、1914年、19歳の時に「ニューヨークで最も美しいガール(The Most Beautiful Girl in New York City)」で優勝したオリーブ・トーマス(Olive Thomas)がいました。トーマスは15歳の時に結婚した相手の苗字であり、彼と離婚したのち、ニューヨークへ移っています。大きな瞳を持った野心的なオリーブ・トーマスは、今見ても美しく魅力的です(画像)。彼女は「ジーグフェルド・フォリーズ」のアイドルであり、プロデューサーフローレンツ・ジーグフェルドの愛人、元祖フラッパーガールと言われています。
1916年オリーブ・トーマスは、サイレント映画の大スター、メアリー・ピックフォードの弟である俳優のジャック・ピックフォードと結婚しました。アルコールとコカインなどドラッグに溺れた結婚生活は、1920年に終焉を迎えました。オリーブ・トーマス夫妻が宿泊したパリのリッツホテルで、彼女が大量の毒(水銀溶液)を飲み死亡したからです。悲劇的な死は「自殺」とも「夫による他殺」とも噂されましたが、結局は謎のまま解き明かされませんでした。マリリン・モンローの生涯に似ていますね。
多くの男性を魅惑したオリーブ・トーマスの心は、100年を経てもショービジネスから離れないようです。今でも時折、デビューを果たしたニューアムステルダムシアターの舞台に彼女が現れるとか。そして彼女の姿が見えるのは、男性だけだと言われています。
4.恐怖作家エドガー・アラン・ポーの住んだ家
(C)Sara Aoyama
エドガー・アラン・ポーの家 The Edgar Allan Poe House is located at 85 West 3rd Street between Sullivan and Thompson Streets in Greenwich Village.
(C)Sara Aoyama
恐怖小説家であり詩人のエドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe)は、1844年から1846年の間、85 West 3rd Street(グリニッジ・ビレッジのサリバンとトンプソン・ストリートの間)に、住居として滞在したと言われています。長編詩「大鴉」と、酒を利用した復讐物語の「アモンティラードの樽」の一部はこの場所で書かれたそうです。2001年にほとんどは解体され、ニューヨーク大学(NYU)の法律学科の施設になりました。それでも、建物の正面部分と屋内階段の手すりの一部が残されているそうです。手すりにつかまって階段を登るポーの幽霊を、今でもニューヨーク大学法律学生が目撃しています。
アップタウンのWest 84th Street のBroadwayから Riverside Driveまで2ブロックのストリートに「エドガー・アラン・ポー・ストリート(Edgar Allan Poe Street)」があります。ダウンタウンの85 West 3rd Streetから、当時は郊外だった215 W. 84th Stのファームハウス(郊外の農家、現在は高級集合住宅)に移り、長編詩「大鴉」を仕上げたそうです。現在では静かな住宅地ですが、なんとなく暗さを感じる地域であり、「大鴉」の狂気と通じるものがあるかもしれません。
5.現在は閉鎖した、いわくつきのチェルシーホテル
(C)Sara Aoyama
(C)Sara Aoyama
チェルシーホテル セックスピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスのガールフレンドナンシーが亡くなったホテル。色々な噂があるが真偽は不明。
(C)Sara Aoyama
このチェルシーの建物は、パティ・スミス、ボブ・ディラン、ジャニス・ジョプリン、マーク・トゥエイン、アーサー・ミラーなど、著名なアーティストや作家が滞在したことで有名。またニューヨークで最も多くの幽霊が現れたと噂されました。
このホテルをいわくつきにしたのは、セックスピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスのガールフレンドであるナンシーが亡くなったセンショーナルな事件。シドとナンシーは、チェルシーホテルの部屋で暮らしていましたが、1978年10月13日ホテルのバスルームで、ナンシーが刺殺された姿で発見。凶器のナイフはシドのものでしたが、シドも昏睡状態で倒れていました。ナンシーの死因が不明なまま、シドも翌年麻薬の過剰摂取により亡くなっています。このホテルにはチェックアウトしないままのナンシーの幽霊が現れると噂されましたが、ホテルの老朽化から、現在は廃業しています。工事中のホテルには、まだチェックアウトをしていない幽霊たちが彷徨っているのかもしれません。
6.ルーズベルトアイランドの歴史
レンウィック天然痘病院の廃墟 Renwick Smallpox Hospital
スパイダーマンの舞台にもなった、マンハッタンとクイーンズ区の間にある「ルーズベルトアイランド(ルーズベルト島)」。現在はマンハッタンから地下鉄で一駅という地の利から高級住宅地になり、家賃は上昇を続けています。現在アイビーリーグの名門コーネル大学を建設中、第2のシリコンバレーになる予定。春は摩天楼を見ながら桜を楽しめる、人気のお花見スポット。近隣の日本人は、お弁当を持って訪れます。
しかしながら、元々は精神病院と刑務所、天然痘の病院がある場所でした。犯罪者、精神障害者、感染病患者を隔離する島。刑務所を建てる労働力は囚人、医療施設の看護するのも囚人といった囚人ばかりの環境。入院患者さえ、囚人と呼ばれていたそうです。
1841年から1894年までの53年間、ニューヨーク市の精神病院だったオクタゴンは、定員の2倍の患者が詰め込まれ劣悪な環境でした。現在は豪華な高層高級住宅として再建されています。
島の南端にある廃墟が、レンウィック天然痘病院(Renwick Smallpox Hospital)。1856年に開設された病院は、19年間の約7000名の患者を治療し、年間450名亡くなりました。1875年には看護婦の寮になりましたが、病院自体は別の島へ移り、天然痘病院は打ち捨てられたまま長く廃墟のままだったのです。現在は廃墟として保存されており、ライトアップされますが、なんともおどろおどろしく恐ろしい雰囲気です。
ニューヨーク州が刑務所と隔離病院のために建設した島は、アメリカ全土でもっとも幽霊が出る場所のひとつと言われています。
7.ニューヨーク史上、最も多くの殺人があったストリート
(C)Sara Aoyama
安くて美味しいレストランがあり、人気のチャイナタウン。全米で最大規模の中華街と言われています。観光客で賑わい、美味しい食を求めて、常に多くの人で混み合っています。
しかしそこのあるストリートには、血塗られた歴史があったのを知る人は今では少ないのです。
(C)Sara Aoyama
チャイナタウンのレストランやカフェがひしめくキャナルストリート(Canal Street)の奥にある、ドイヤーズ・ストリート(Doyers street)。 理髪店が多い、奥まったこのストリートまで来る観光客は少なく、人影はまばらになります。
実はこのストリートこそ、“The Bloody Angle(血まみれの曲がり角)”と呼ばれ、当時アメリカのどこよりも多くの殺人事件があったと言われます。60メートル程の短い通りは、90度のカーブがあるため、待ち伏せに最適だったのです。
(C)Sara Aoyama
チャイナタウンでは、20世紀初頭中国系マフィアの抗争が繰り広げられていました。当時のチャイナタウンには違法の賭博場と阿片窟が乱立し、30年の間2つの中国系マフィアが “Tong Wars”と呼ばれる権力や縄張り争いを続けたと言われます。ギャングには「鉈(なた)」男」と恐れられた殺し屋もいて、抗争相手に襲い掛かったそうです。警察が押収した凶器の鉈を見ると、中華包丁を改造したような大きな鉈で、これを振り回していたのかと思うとぞっとしますね。
“The Bloody Angle(血まみれの曲がり角)”では、鉈を持った殺し屋が待ち伏せ、銃撃戦も行われました。文字通り、多くの血が流された場所だったのです。また、付近の店は地下で繋がり、地下道が巡らされていて、地下で自由に移動できたそうです。映画「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」を思い出しますね。
たった60メートルほどの長さにも関わらず、ニューヨーク史上最も多くの殺人があったドイヤーズ・ストリート(Doyers street)。この血まみれの曲がり角で、当時のギャングの幽霊が、あなたを待ち伏せしているかもしれません。
筆者は実は怖がりで、調べているうちにかなりゾッとしてきました。お気に入りだったカレーラクサ(マレーシアのカレーヌードル)のお店が“The Bloody Angle(血まみれの曲がり角)”にあったり、お花見をしていた場所は刑務所と精神病院の島だったり、何度も足を運んだ公園の下に今でも死体が埋まっていることが分かったからです。身近な場所の知らなかった歴史、過去。あの場所でそんなことがという衝撃。霊感のあるあなたは、何か感じたり、何かを見るかもしれませんね。記念で撮った写真の後ろに、映っている影はもしかして・・・
多くの人が魅せられる大都会ニューヨークには壮絶な過去があり、生きている人間のみならず、多くの幽霊たちも棲みついているのです。
ニューヨークのゴーストスポットを訪れてみたい勇気あるあなたは、下記でウォーキングツアー(英語)に参加出来ます。筆者は怖いので、絶対行きたくないですけど。
Ghosts of New York
https://ghostsofny.com
[Ghost Guide To New York City’s Most Haunted Places]
[Washington Square Park]
[Beware of Zombies: The Grim Origins of Washington Square Park]
[The 14 Best Haunted Places In NYC]
[Secrets of NYC’s weirdest places]
[New York City’s spookiest, most haunted placesThe City That Never Sleeps is also the City That’s Full of Ghosts]
[The Story Behind the Roosevelt Island Smallpox Hospital Ruins]
[Images of America: Roosevelt Island]
[Photos by shutterstock.com]