ニューヨークファッションウィーク(NYコレクション)の来場者
(C) Hideyuki Tatebayashi
ファッション・シティ、ニューヨーク。イメージとしては、「Sex and the city(セックス・アンド・ザ・シティ)」や「Gossip Girl(ゴシップガール)」の世界。トレンドのファッションをバッチリ決めて、颯爽とストリートを行くニューヨーカー。日本からは「ニューヨーカーに負けないよう、バッグには勝負服を詰めてきたわ!」と、鼻息荒い旅行者もいました。ニューヨーク旅行となると、女性は気合が入るようです(笑)。
しかしながら、ニューヨーク在住の筆者からひとこと言わせてもらうと、「ニューヨークで、オシャレは必要ないかも」。ニューヨークでは常識、でもあなたは知らないニューヨークのファッションについてご説明しますね。
1.ハイヒールを履くべからず
ニューヨークファッションウィーク(NYコレクション)の来場者
(C) Hideyuki Tatebayashi
「ニューヨークでは、やっぱりSex and the city(セックス・アンド・ザ・シティ)のキャリーのようなヒールを履かなきゃ」と思っているあなた。
ニューヨークの道路の舗装状態は、日本に比べてかなり劣ります。舗道の段差が多く、注意して歩かないと転びます。冬は雪を溶かすための塩を撒くため、アスファルトが傷み、ぽっこり穴が空いているところにはまる可能性もあります。また、地下鉄の通気口があちこちあるので、細いヒールがはまると抜けなくなる危険も。ショッピングエリア ソーホーは石畳なので、ヒールの靴は疲れます。
あなたの移動手段がイエローキャブであれば良いかもしれませんが、地下鉄を乗り降りし、街を歩き回るのであれば、フラットシューズかスニーカー、歩きやすいブーツをオススメします。脱げやすいミュールも地下鉄の乗り降りなどでは危険。思い起こしてみると、キャリーはヒールを履いていましたが、ほとんどイエローキャブを利用していて、地下鉄に乗るシーンは少なかったはずです。筆者は東京で履いていたヒールの靴は、ニューヨークではクローゼットの奥に眠ったままになってしまいました。
2.ニューヨーカーは黒がお好き
ニューヨーカーは何と言っても、黒が好き。ニューヨーカーがアメリカ国内で旅行した場合、 「アンタ、ニューヨークから来たわね」と黒づくめの服でバレてしまいます。
西海岸やハワイは明るい綺麗な色を好みます。ニューヨーカーは、カジュアルでも、フォーマルでもほとんど黒づくめ。黒がクールと思っていることもありますが、街がどこも汚いので、汚れが目立たない黒を着るという理由が正しいと思われます。詳しくは、次項で述べますね。
3.ニューヨークは正直汚い
悲しいことに、オシャレな街ニューヨークは、どこもかしこも汚れています。地下鉄の手すりは、1万人以上が触っています。どれだけ黴菌がついているか考えると、怖いほど。そのため、ほとんどのニューヨーカーはハンドサニタイザーを携帯しています。
地下鉄車両はホームレスが、ベッド代わりにしていることも多く、冬季は各車両にひとりずついるほど。自分の座った座席に、その前は誰が座っていたのか分かりません。また座席に座る前は汚れていないか、確認をしたほうが良いでしょう。ブルーカラー労働者(肉体労働、立ち仕事など)は、疲れているので空き座席を見ると素早く座りますが、オフィスワーカーは服が汚れるのを気にして座らないことが多いですね。あなたがお気に入りを着ているのなら、地下鉄座席には座らないほうが良いでしょう。
4.いったい誰がホームレス?なファッション
デザイナー Greg Lauren氏 (ラルフ・ローレンは叔父) 2016 秋冬コレクション これもファッションなんです。
(C) Hideyuki Tatebayashi
マイナス20度近くにもなった、今冬のニューヨーク。一年の内半分が冬のニューヨークでは、オシャレよりも防寒の優先順位が高くなります。
ニューヨーカーの冬のファッションは、パーカーの上に分厚いダウンジャケットを着て、頭にはニット帽。ニット帽の上にパーカーのフードを被り、さらにダウンジャケットのフードを被る三段重ね。口元はマフラーで覆い、出ているのは目だけという、銀行強盗スタイル。ストリートを行くニューヨーカーは皆そんな格好なのですから、誰がホームレスで、誰が銀行強盗で、誰が善人(?)なのか区別がつかないほど。
5.ニューヨークでマスクを付けるべからず
日本人は「乾燥予防のため」「風邪を移し(され)たくない」「暖かいから」「マスク美人に見えるから」など様々な理由でマスクが好きですよね。
でも、ニューヨーカーはマスクが嫌いです。街を行く99.99%の人がマスクをしていません。マスクをしていると、「重大な病気の保菌(感染)者なのではないか」と恐れられること間違いなしです。欧米では、日本のようにマスクをする習慣がないためでしょう。
「飛行機内は乾燥しているので、マスクをして防ぎましょう」などの旅行記事を見かけますが、隣席が日本人でない限り、マスクをつけるのは考えもの。欧米人が隣の場合、「重病患者の隣の席になってしまった」と怖がっているかもしれませんよ。
6.青い目に金髪のニューヨーカーはほとんどいない
(C)Ekaterina_Minaeva / Shutterstock.com
もしかして、ニューヨークには、青い目と金髪のハンサムや美女が街にてんこもりと思っているあなた。
残念ながら、現在のニューヨーカーの半数は、アジア系(中国系が筆頭)とラテン系(メキシコ、ガテマラ、エクアドルなど南米)が主流。青い目に金髪は、寒い国の北欧かロシア系ですが、そもそも白人率が下がってきている昨今では少数派になりつつあります。金髪のニューヨーカーはいますがオリジナルではなく、脱色やヘアカラーで金髪にしている人多し。生まれつき金髪の人は、眉やまつ毛も金髪です。眉やまつ毛が黒い人は、まず生粋の金髪ではありませんね。
7.じゃ、ニューヨークでは何を着れば良いのか
ニューヨークファッションウィーク(NYコレクション)の来場者
(C) Hideyuki Tatebayashi
勝負服を用意していたあなたは、「じゃあ、ニューヨークでは何を着れば良いのよ」 とテンションがガックリ下がったかもしれませんね。ごめんなさい。
あなたが高級レストランやナイトクラブ、劇場の良い席、5番街の有名ブランドへショッピングに行く場合は、それなりにドレスアップをして行ったほうが良い接客を受けられるでしょう。ただし、昼間に美術館やセントラルパークを巡って、地下鉄で移動するつもりなら、勝負服の必要はありません。それでなくても、日本人独特の「小綺麗なファッション」は目立ち、犯罪者に狙われやすいのでご注意を。
オシャレなはずのニューヨーカーは、冬はパジャマの上にコートを羽織り、夏は下着か寝巻きかと思う日本じゃありえないヒドイ格好です。それでもニューヨークなら、ノープロブレム。ボロでも派手でも変でも、誰も気にしません。ファッションの定義って何だっけ?って、目から鱗の体験がニューヨークなら出来るかもしれませんよ。
[photos by Hideyuki Tatebayashi]
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