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日本の治安の良さを語るとき、「落とした財布が無事に戻ってくる」というエピソードが頻繁に語られますよね。では、世界の街で財布を落としたら、どれくらい戻ってくるのでしょうか。
そんな疑問を解決するため、アメリカで創刊された総合ファミリー雑誌「Reader’s Digest」が、これに関する世界的な社会実験を実施。16都市で各12個の財布を道に落とし、何個戻ってきたかランキング形式で発表したのです。ちなみに財布の中には「携帯電話番号、家族の写真、クーポン券、名刺、50ドル相当(2018年6月現在、約5千498円)の現金」が入れられたのだそう。どのような都市が「落とした財布が戻ってくる街」に輝いたのでしょうか。
【第1位】ヘルシンキ(フィンランド)
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落とした財布12個中のうち11個が無事に戻ってきて、「世界一財布が戻ってくる街」に輝いたのは、北欧フィンランドの首都ヘルシンキ。森と湖に囲まれ、「ムーミン」の生まれ故郷としても知られるフィンランドは、やはり正直者の多い国なのでしょう。
2018年に発表された「世界幸福度ランキング」の最新版でも、「世界一幸せな国」の太鼓判を押されたフィンランド。他人の財布から現金やクーポン券をくすねなくても、十分に満たされているのかもしれませんね。ちなみに「世界幸福度ランキング」は、毎年北欧諸国が上位を独占し、首位もその都度変わっています。北欧圏でこの財布実験を実施したのはヘルシンキだけですが、仮に他の北欧圏の国や街で実施しても似たような結果になったかもしれません。
【第2位】ムンバイ(インド)
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落とした財布12個中のうち9個が無事に戻ってきて、第2位になったのはインド最大都市のムンバイでした。インドは貧富の差が大きいというイメージがあるので、この結果は意外に思えるかもしれません。「Reader’s Digest」によると、仕掛け人が落とした財布を郵便局に届けてきたとある女性が「自分の子供たちに、正直にふるまうように教えています。私の両親が私に示してくれたように」と語ってくれたそうです。
実はこの実験の舞台の大半は欧州で行われていて、アジア圏からエントリーしたのはこのムンバイのみ。他のアジアの国の結果も見てみたかったですね。
【第4位】ブダペスト(ハンガリー)
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落とした財布12個中のうち8個が無事に戻ってくるという、実験で3番目に多い数字をはじき出したのは、東欧ハンガリーの首都ブダペスト。冷戦体制の中では東側の共産圏に属したという歴史や、冬が長く厳しいという気候的な理由からか、国民性は一般的に「まじめ」「おとなしい」という傾向があるようです。そんな実直な国民性なので、落とした財布も放っておけないのかもしれません。
ハンガリー人の先祖はアジアにルーツを持つ「マジャール人」だと言われているので、日本に対しても非常に友好的なのだとか。そして欧州では有数の温泉大国でもあるそう。そんなところも、親近感を覚えます。
【第4位】ニューヨーク(アメリカ)
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ブダペストと同率4位、落とした財布12個中のうち8個が無事に戻ってきたアメリカのニューヨーク。「生き馬の目を抜く競争社会」というイメージがある一方、この街には、昔ながらの人情味あふれる人々も沢山いるようです。
「Reader’s Digest」のインタビューに応じた地元の方によると、「911の同時多発テロ以降、人々の心に仲間意識が芽生えた」のだとか。多くの犠牲者が出た悲劇的な事件でしたが、それによって人々の意識が変わってきたのかもしれません。
【第6位】モスクワ(ロシア)
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ロシアの首都モスクワでは、落とした財布12個中のうち7個が無事に戻ってきました。第21回FIFAワールドカップ(2018年)の試合が行われる都市のひとつとして、世界中から注目を集めているモスクワ。
治安事情に不安を感じながら渡航する人もいらっしゃるかもしれませんが、この実験の数字を見たら少し安心できそうですね。けれどやはり、楽しい旅に水をささないよう、落とし物にはくれぐれもご注意を。
【第6位】アムステルダム(オランダ)
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オランダの首都アムステルダムでは、モスクワと同様に、落とした財布12個中のうち7個が無事に戻ってきました。一定の条件内であれば、マリファナなどのソフトドラッグの所持・使用で逮捕されることのない寛容政策をとっているオランダ。
特にアムステルダムには、売春合法地域「飾り窓」があることでも有名なので、治安の悪いイメージがあるかもしれません。けれど実は、この実験が示すように正直な人々の多い国でもあるのです。ただし、観光スポットなど人が集まるところには、スリやひったくり、置き引きなどの観光客をターゲットにした軽犯罪が起こりやすいようです。人込みでは、常に気を抜かないようにしたいですね。
そして6位から先は、以下のような結果になりました。
【同率8位:6個】ベルリン (ドイツ) 、リュブリャナ (スロベニア)
【同率10位:5個】ロンドン (イギリス)、ワルシャワ (ポーランド)
【同率13位:4個】ブカレスト (ルーマニア)、リオデジャネイロ (ブラジル)、チューリッヒ (スイス)
【14位:3個】プラハ (チェコ)
【15位:2個】マドリッド (スペイン)
【16位:1個】リスボン (ポルトガル)
この実験全体に使用した財布は192個で、そのうちの90個、つまり約47%が戻ってきたそうです。この数字、皆さまはどう考えますか? ちなみに、財布を正直に戻してくれた人物像には、性別や年齢、その方の経済状況も何ら偏りがなかったそうです。
そしてもし日本で実験をしていたら、どうのような結果になっていたでしょうね。もし「The Reader’s Digest」が2度目の実験を行う機会があれば、ぜひ日本でも試してみてほしいものです。
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[World Happiness Report 2018]