2017年10月、ユネスコ「食文化創造都市(シティ・オブ・ガストロノミー)」に登録されたマカオ。東西文化が融合したエキゾチックな料理が溢れる、文字通り”美食の街”です。中でも大航海時代の味と呼ばれる「アフリカンチキン」は、この地を訪れたら絶対食したい名物。マカオ料理のルーツや歴史背景にも触れつつご紹介します。
マカオ料理とはなんぞや?まずはルーツを知るべし
歴史は遡ること16世紀、大航海時代を迎えていた西ヨーロッパ。「香辛料の貿易」を目的に、ポルトガル船は冒険へと出発しました。船乗りたちは、途中の寄港地で多彩な食文化にふれあいます。例えばアフリカでは鶏肉、インドでカレーやサフランなどのスパイス、マラッカやジャワではココナッツ、そして中国で醤油など・・・。こうして「海のシルクロード」を経て、最終的にたどり着いた場所こそが「マカオ」です。元々根付いていた広東料理と、船乗りたちが持ち込んだ様々な食文化が融合。独自の進化を遂げて生まれたのが「マカオ料理」なのです。
「アフリカンチキン」と言えども千差万別!味比べのすすめ
「アフリカン・チキン」は、船乗りたちがアフリカで食べた鶏肉のグリル料理がベースだと言われています。それにインドのスパイスや、東南アジアのココナッツミルクなどを加えアレンジした料理。名前こそアフリカンですが、マカオでしか食べられないオリジナル料理です。材料や作り方、味が全く異なる料理なので、色々な店で食べ比べしてもいいですね。
大航海時代の味を求め、やってきたのはタイパにある「Restaurante Litoral Taipa」。ポルトガル料理をマカオ風にアレンジした家庭的な料理が、地元民からも好評です。早速、ご自慢の「アフリカンチキン」を実食。エスニックの香辛料が鼻から抜けたかと思ったら、ピリリとパンチのある辛味が。続いて感じるココナッツの優しいまろやかさ・・・。複雑に絡み合う味の奥深さが、長い航海時代を彷彿させます。たっぷりとのせられたソースは、パンにつけて頂いても美味。
住所:Rua do Almirante Sergio, 261A, Macau, China
Tel:853-28967878
お次にやってきたのは「IFTエデュケーショナルレストラン(マカオ旅遊學院教學餐廳)」。観光大学IFT(旅遊学院)が運営するレストランで、先生や学生たちがスタッフとして働いています。リーズナブルな価格とは裏腹に、その高いクオリティはミシュランがすすめるほど。
まるでフレンチ料理を思わせるような繊細で美しい盛り付け。香ばしくグリルされたチキンの下には、アフリカや中東が発祥地の「クスクス」が敷かれています。先程のお店と比べソースは少なめ。しかしチキンが特製ソースに一晩マリネされているため、噛むほどにしっかりとした味がにじみ出てきます。クセもないので、香辛料が苦手という人も美味しく頂けそうです。
住所:Colina de Mong-Há, Macao, China
Tel:(853) 8598 3077/ 3076
Web: https://www.ift.edu.mo/EN/RESTAURANT/Home/Index/239
マカオ・ガストロノミーを喰らう
大航海を経てマカオに定住し始めたポルトガル人、そこで中国の美しい娘と恋に落ち、生活を共にするうちに生み出された「マカオの味」。一つ一つの家庭に違う物語があり、違う味がある・・・。そんな事を想像しながら頂く「アフリカンチキン」は、又一段と味わい深いものがあります。ガストロノミーというと、美味しいものを食べることばかりが注目されがち。ですが文化背景を知り、時代の流れや人々の交流に想いを馳せることこそ、醍醐味なのではないでしょうか?
[All photos by Ai Kaneko]
『協力:マカオ政府観光局』 URL:http://en.macaotourism.gov.mo