(c) Yoko Nixon
日本の食卓でもおなじみのヨーグルト。数年前にはより濃厚な味わいのギリシャヨーグルトが日本に進出し、近年では自宅でも簡単に作れる水切りヨーグルトが話題になりました。また店頭でもカロリーオフ、糖質ゼロなどの様々なヨーグルト商品が並んでおり、食事だけでなく間食や健康管理食品としても、ヨーグルトを目にしない日はありません。
今回ご紹介するのは、そのヨーグルト界で今話題になっている、アイスランド発「Skyr(スキール)」という製品。見た目はヨーグルトと似ていますが、製法や原料が異なり、ヨーグルトよりもより高たんぱく、低カロリーなのが特徴。アイスランドではヨーグルトよりもメジャーなアイテムで、国民食として愛されています。今回は、ヨーグルトをしのぐ健康食品として世界で人気上昇中のスキールについてご紹介します。
アイスランド発のスキール、ヨーグルトとどう違う?
アイスランドにおけるスキールの歴史は長く、バイキングがアイスランドに住み着いた1000年近くも前から人々の生活に欠かせないものでした。スキールを作るには、ヨーグルト同様種菌が必要となりますが、ここで使われる種菌がヨーグルトとは異なります。
アイスランドの家庭では家族が代々受けつぐ特別なレシピがあるほどです。ヨーグルトに使われる種菌はより酸味があり、あっさりした味わいに仕上がるのに対し、スキールの種菌はよりまろやかで、コクのある仕上がりになります。また一般的なヨーグルトと比べると、スキールはタンパク質量が高く糖分が控えめで、すでに健康的なヨーグルトの良いところを更に魅力的にした食品なのです。
濃厚さの秘密は製造過程にあった!ヨーグルトではなく厳密にはチーズの仲間
伝統的なスキールは、スキムミルクから作られます。現在では牛乳から作られることも多いですが、温めたミルクにスキールを少量入れ、菌を培養し余分な脂肪分を取り除き、布で濾してできるものがスキールで、厳密にはヨーグルトではなくクリームチーズなどの柔らかいチーズの仲間になります。水分量が少ないため、しっかりとした固さがあります。
またヨーグルトのように時間が経ってもホエイ(乳清)がほとんど出てきません。1カップのスキールを作り出すのには約4カップの牛乳が必要で、ヨーグルトよりも濃厚な味わいがあります。本場のアイスランドでは、プレーンのスキールに砂糖を振りかけたり、摘みたてのベリーと一緒に食べたりするそうです。独特のしっかりとした触感を楽しむために、トッピングと混ぜ合わせずに味と触感の違いを楽しむのが現地での通な食べ方だそう。
実際にスキールを食べてみた!
(c) Yoko Nixon
筆者が住んでいるアメリカでは、オーガニックな食材を扱っているスーパーで様々な種類のスキールが売られています。中でも筆者のオススメは、Icelandic Provisionsというブランドのスキール。アイスランド伝統の作り方を守り、アイスランドのスキールメーカーから受け継いだ種菌を使ったスキールは、他のブランドのスキールよりもしっかりとした固さと食べ応えがあり、優しい甘さが特徴的です。
(c) Yoko Nixon
舌触りはギリシャヨーグルトと似ていますが、よりクリーミーで酸味がなく、爽やかな後味が特徴的。ギリシャヨーグルトの濃厚さが好きな人ならきっと気にいる味わいです。
日本ではまだ商品化されていないスキールですが、アメリカやヨーロッパ諸国、オーストラリアなどではその売り上げを順調に伸ばしています。高たんぱくで低カロリーであるという点から、朝食などはもちろんのこと、小腹が空いたときやダイエット食品としてもヨーグルトの上をいく食品として定着しつつあります。そのまま食べるのはもちろんのこと、スムージーと混ぜたり、料理に使ったりすることもできるので、様々な場面で活躍してくれます。
日本に上陸する日もそう遠くないかも?気になるアイスランドの国民食、スキールのご紹介でした。
参照
[icelandicprovisions.com]
[icelandmag.is]
[thekitchn.com]
[skyr.com]
[Photos by shutterstock.com]