9月2日、ブラジルの首都リオデジャネイロで火事が発生しました。それは普通の火事ではなく、歴史的に非常に貴重な収蔵品を所有する国立博物館を焼き尽くした火事だったのです。この事態に運営や世界はどのように対応したのか、ご紹介させてください。もしかしたら、TABIZINE読者の皆さまも協力できることがあるかもしれません。
200年の歴史ある建物と2千万点の収蔵品が焼失
全焼してしまったブラジル国立博物館(Museu Nacional/UFRJ)は、1818年に設立された歴史ある博物館。今年の6月には、創立200周年を迎えたばかりでした。1万2000年前の女性の骨をはじめとする約2000万点の収蔵品を所有していたこの博物館は、規模・歴史的価値ともにブラジルのみならず南米で最も重要な博物館のひとつ。その博物館が、収蔵品とともに一晩で灰に帰してしまった事件は、世界中に大きな衝撃を与えました。
出火の原因はまだ解明されていませんが、一説によると建物の老朽化が原因ともいわれています。200年の歴史ゆえに各所に老朽が見られたそうですが、国から博物館に降りる予算は年々削減され、補修工事ができなかったのです。防ぐことのできた悲劇を防げなかったことで、関係者のみならず、ブラジル国民は深い絶望と怒りにかられます。
そんな時、意外なところから意外な提案が上がりました。
「ウィキペディア財団」が、収蔵品の画像提供呼びかけ
その「提案」をしたのは、インターネット百科事典の「ウィキペディア」(Wikipedia)。ウィキペディアを運営する「ウィキペディア財団」が、火事で焼失した収蔵品たちの「デジタルアーカイブ作成」に名乗りを上げたのです。どういうことかというと、「ブラジル国立博物館で撮影した収蔵品の画像を持っている人は、その画像をウィキメディア・コモンズにアップロードしてください」と広く呼びかけたのです。ウィキペディアのTwitterアカウントで、アップロードの手順が以下のように説明されています。
2. 左側のサイドバーで、「参加」(particitate)のすぐ下にある「ファイルをアップロード」(upload file)をクリックします。必要に応じてアカウントを作成します。
3. 提供する写真を選択し、「続行」(continue)をクリックします。
4. 「この写真は自分で撮影しました」(This file is my own work)を選択し、「次へ」(next)を押します。
5. タイトルを選択し、写真の内容を説明し、「Museu Nacional、Rio de Janeiro」カテゴリを追加します。もう一度「次へ」(next)押せば完了です!
簡単ですね!
9月4日にウィキペディアがこのツイートを投稿すると、瞬く間にその情報は世界を駆け巡りました。運営側の発表によると、2日後の9月6日には2千400枚から3千枚の関連画像がアップロードされたのだとか! 旅好きの読者のみなさまの中には、この美術館を訪れたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。もし収蔵品の画像をお持ちでしたら、このプロジェクトに参加されてみてはいかがでしょう。
また、焼失した博物館の運営サイドのほうでも、独自に動き始めました。ウィキペディアに遅れること数日、寄付金などの支援の呼びかけをスタートしたのです。その他にも、ウィキメディア財団のキャンペーンとは別に、収蔵品の焼失前の画像の受付もしているのだとか。博物館に直接貢献したい場合は、博物館のホームページをご参照ください。
歴史的に貴重な収蔵品が失われたのは非常に残念ですが、この時代のネットの良い面を力強く感じます。そして「対岸の火事」とせず、日本の歴史ある博物館も同じ轍をふまないように、何らかの対策をしてほしいですね。
[All Photos by Shutterstock.com]
[COMO AJUDAR O MUSEU NACIONAL?]
[Wikipedia/ Twitter]
[Wikipedia Has Received Thousands of Images for Their Archive of Brazil’s Museum Fire Losses]