絶景と秘湯に出会う山旅【3】尾瀬ヶ原と至仏山、そして尾瀬かまた宿温泉

Posted by: 阿部 真人

掲載日: Jul 11th, 2019

山登りの魅力はさまざまですが、時間をかけて登った山頂から見る景色や疲れを癒す秘湯は、登った人のみが知りえる素晴らしい体験です。今回は、尾瀬ヶ原と花の至仏山、そして温かいもてなしが嬉しい秘湯・尾瀬かまた宿温泉の魅力をレポートします。

尾瀬ヶ原と燧ケ岳
美しい風景はたくさんありますが、山で出会う光景と秘湯は格別なものです。たどり着いた頂きからの絶景はあなたの足で歩いたからこそ得られたもの。そして秘湯はあなただけのご褒美。山ガールはもちろん、みなさんが気軽に訪ねることのできる山旅の提案です。今回旅するのは、尾瀬ヶ原と花の至仏山、そして温かいもてなしが嬉しい秘湯・尾瀬かまた宿温泉です。

快晴の尾瀬ヶ原を歩く

TABIZINE還暦特派員の阿部真人です。

夏の尾瀬は何度訪れても楽しいところです。尾瀬ヶ原やアヤメ平、尾瀬沼、燧ケ岳に至仏山・・・尾瀬の自然は豊かです。今回はまず尾瀬ヶ原を散策した後、高山植物が咲き乱れる至仏山に登りましょう。

尾瀬ヶ原を訪ねるには、手前の戸倉でマイカーを降り、乗り合いのバスかタクシーで玄関口となる鳩待峠に向かいます。そして鳩待峠からは歩いて尾瀬ヶ原に入ります。

鳩待峠

鳩待峠から木道や石畳の道を歩きます。尾瀬ヶ原の拠点となる山の鼻まではおよそ60分。全体的には緩やかな下り坂です。

木道

山の鼻に到着です。ここには3軒の宿泊施設のほか、キャンプ場や無料の休憩所もあり、夏場はいつも混雑しています。至仏山に登る際には山の鼻に宿泊すれば早朝に出発できます。

山の鼻

まずは尾瀬ヶ原を散策しましょう。尾瀬ヶ原は東西に6キロ、南北に2キロもの広さを持つ湿原で、標高およそ1400mに位置しています。全域にわたって木道が張りめぐらされ、自然が保たれています。

尾瀬ヶ原

とはいえ近年尾瀬でもニホンジカが増えすぎて、ニッコウキスゲなどの花芽を食べ尽くすという食害が問題になっています。解決策はなかなか見いだせないようです。

ニッコウキスゲ

それでも夏場はたくさんの山野草や高山植物があちこちに見受けられます。こちらはオニユリとコバギボウシ。

オニユリとギボウシ

広大な尾瀬ヶ原を一日で歩き尽くすことはできません。どこをどう歩くのか、あらかじめ決めておいたほうが良いでしょう。湿原の各所に山小屋があり、公衆トイレもあります。そして正面に見えるのは標高2356mの燧ケ岳です。

尾瀬ヶ原と燧ケ岳

そして振り返ると標高2228mの至仏山が見えます。なだらかで女性的な山で、7月下旬から8月上旬にかけてはさまざまな高山植物が咲き乱れる美しい山なのです。この季節、尾瀬ヶ原を散策したら、翌日は至仏山に上ってみてはいかがでしょう。

尾瀬ヶ原と至仏山

至仏山で高山植物に出会う

山の鼻のロッジに宿泊して、出発は早朝です。頂上まではおよそ3時間。昼食と水筒も忘れずに。

登山口

山の鼻から至仏山へのルートは植生保護のために上り専用になっており、下山に使うことはできません。山頂に着いたら鳩待峠に向かいます。ちなみに鳩待峠からは上ることもできます。

オオバギボウシ

さて上るにつれて登山道は岩が増えてきます。さらに登るにつれて岩は大きく尖ってきます。至仏山の岩は蛇紋岩(じゃもんがん)が多く、つるつると滑りやすいのが特徴。そのため雨で濡れている時には要注意です。

登山道

これはタテヤマリンドウでしょうか。じつは山野草や高山植物の名前にはそれほど詳しくないのです。

タテヤマリンドウ

こちらはコメツツジ? あちこちに高山植物が咲き乱れています。みなさんも花の名前は写真に収めて帰宅してからネットでの情報と見比べて調べてください。

コメツツジ

これはツリガネニンジンでしょうか。次から次に愛らしい花々に出会えるのです。

ツリガネニンジン

至仏山を登る時に楽しいのはたくさんの高山植物に出会えることだけではありません。疲れて立ち止まり、後ろを振り返ると広大な尾瀬ヶ原と、その向こう正面に燧ケ岳が目の前に広がるのです。まさに絶景。癒されます。

尾瀬ヶ原と燧ケ岳
野鳥

そしてこれはミネウスユキソウでしょうか。小石の多い、乾燥した草地などで見ることができます。

ミネウスユキソウ

至仏山はまさに天空の花畑です。

天空の花畑

そして予定通り3時間ほどで標高2228mの頂上に到着。ここで遠い山々を眺めながら、昼食を頂きましょう。

至仏山山頂

至仏山からは出発点だった鳩待峠に降りていきます。稜線を歩き、ちょっとだけアップダウンがあります。小至仏山2160mに一度登ってから2時間ほどでたどり着きます。

小至仏山

その稜線にも花畑が広がり、たくさんの高山植物を見ることができます。こちらはイワカガミ。

イワカガミ

そしてこちらはハクサンシャジンでしょうか。高山植物ならではの絶景をぜひ楽しんでください。

ハクサンシャジン

秘湯の宿・尾瀬かまた宿温泉 梅田屋旅館

鳩待峠にたどり着いてほっと一息。この後は自分へのご褒美の温泉です。ここからバスで鎌田地区にある梅田屋旅館に向かいます。日本秘湯を守る会の宿で、尾瀬といえば「夏の思い出」。その歌の詩を書いた江間章子さんが定宿にしていたといいます。

梅田屋旅館

古民家風の造りで宿の中は清潔に保たれ、静かで落ち着いた雰囲気に満ちています。

風呂道具

お風呂も広々としています。泉質はアルカリ性単純泉で、良く温まるお湯です。

浴室

地元の食材を使った上品な料理の数々。盛り付けもきれいです。

夕食

ツバメの巣を玄関の軒先に見つけました。生まれたばかりの雛たちもまもなく旅立っていくのでしょうね。ツバメは生まれた場所に戻ってくるといいます。また来年も尾瀬を訪れて、ツバメに会いたいものですね。

ツバメ

鳩待峠へのアクセス
マイカーの場合、沼田ICで降りて戸倉へ。戸倉で駐車してバスに乗り換え35分。
JRの場合、沼田駅下車。バスで1時間15分。
バスタ新宿から直行バスあり。昼行便4時間5分。夜行便5時間30分。

尾瀬かまた宿温泉 梅田屋旅館
住所:群馬県利根郡片品村大字鎌田4073 
TEL:0278-58-2355(受付時間8~21時)
HO:http://www.umedaya.net/
1泊2食サービス料税込み10950円~16350円

PROFILE

阿部 真人

Masato Abe 還暦特派員

大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。

大学を卒業後、およそ30年間テレビ番組を作ってきました。57歳の時に、主夫となり、かつ自由人として旅に生きることを決意して早期定年退職。登山を始め、東京の街歩きガイドや温泉めぐり、豆大福探訪などなど60歳の還暦を迎えて好奇心が高まっています。

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