春分の日を意識した遺跡の数々
太陽が真東から昇り、真西に沈む春分・秋分の日。世界中には、この日を意識して建てられた遺跡があります。そのなかでも有名なのが、メキシコにあるマヤ文明の世界遺産「チチェン・イッツァ」。
遺跡の中でも特に有名なピラミッドである「エル・カスティーヨ」は、春分の日と秋分の日に、羽を持つ蛇の神が舞い降ります。太陽が西に傾くと、階段の下部にある蛇の頭に光が当たり、側面にジグザグ模様が浮かび上がって、ジグザグ模様と頭が一体化するのです。
イースター島の海に向かって立つモアイ像も、春分・秋分の日の日没の方向を見つめているといわれています。
そういえば、日本も春分の日と秋分の日を中日とする7日間は「お彼岸」と呼ばれていて、お墓参りをしますね。なぜ、春分・秋分が仏事と関係があるのかは諸説あるのですが、その理由のひとつは、真西に太陽が沈むからです。
仏教では西は、西方浄土と呼ばれ、仏様の住む極楽浄土の方向だとされています。そして、その方向に向かって念仏すれば必ず往生されると考えられてきたのです。
実は昼と夜の長さが同じではない!?
さて、春分・秋分の日は昼と夜の長さがまったく同じになるというのは、間違いだということをご存知でしょうか。実は、2015年の春分の日である3月21日の昼の長さは12時間9分です。
なぜ、真東から太陽が昇って真西に沈むのに、昼と夜の長さが違うのでしょうか。これには2つ理由があります。
まず、日の出と日の入りは、太陽の上辺が地平線と一致する瞬間と定義づけられています。ということは、夕方に太陽の下端が地平線についてから完全に沈んでしまうまでの時間だけ、昼間が長くなってしまうのです。
もうひとつの理由は、光の屈折です。
地平線近くにある物体は、光の屈折によって少し浮き上がって見えます。ですから、実際には地平線のすぐ下に太陽があっても、太陽が出ているように見えるのです。
本当に昼と夜の長さが同じ日は、2015年は3月17日。春分の時点ではすでに昼のほうが長くなっているだなんて、ちょっと得した気分になりますね。
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