注目が高まりつつある「海の京都」
(C)寿海亭
京都駅から電車とバスに乗って、北へ北へ約4時間。もはや京都とは思えないほどの絶景の海景色が広がる京丹後。この京都北部エリアは「海の京都」とも呼ばれており、風光明媚な自然美や豊かな食文化で近年注目を集めているんですよ。
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岩礁に打ち寄せる荒波が、白く砕け散る冬の日本海。サスペンスドラマのクライマックスシーンに登場しそうな情景もまた京丹後の魅力かもしれません。
“幻のカニ”の理由とは?
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間人(たいざ)蟹が水揚げされる間人漁港。沖合30kmほどに好漁場があるので、日帰りによる漁が可能。そのため極上の鮮度と肉質を保持することができるのだとか。
しかし間人漁港の蟹漁船はわずか5隻。また波の高さが約2m、風速が約10m以上になると出港できず、何週間も漁に出られないこともあるのだそう。さらに漁獲量も他のブランドガニと比べて少量という理由もあり「幻の蟹」と称されているようです。
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水揚げされた間人蟹は活きたまま港へ運ばれ、地元漁師によって蟹の大きさ、身のいり方、指のそろい方など50項目にかけて細かく選別。厳正なチェックを受けたものだけが間人蟹の証である緑色のタグが付けられセリ場に並びます。
間人蟹を食せる極上の隠れ宿
(C)寿海亭
間人蟹の漁が解禁されるのは毎年11月6日から3月下旬。シーズン中は京都の料亭や食通の間で奪い合いになるのだそうです。
また間人港付近にある旅館などでも食すことが可能。筆者が訪れたのは、港の仲買人を務めるご主人が営む「寿海亭」。京丹後の高台に佇む、全室8つという隠れ家的な宿です。
(C)寿海亭
宿泊したのは最上階にある「天空」。14畳の広々とした空間にセミダブルベッドが2つ。窓からは日本海を一望でき、開放感に溢れます。
(C)寿海亭
広縁には座り心地抜群のラタンチェア。青々とした日本海を眺めながら寛ぐひと時は優雅なリラックスタイムに。
(C)寿海亭
お風呂からも雄大な海を望むことが可能。2019年にリニューアルされたとあって全てがピカピカで快適。清々しい景色に身体も心も癒されます。
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夕食・朝食はレストラン「界」にていただきます。木目を基調としたモダンな雰囲気。実は筆者は正座が大の苦手。落ち着いてテーブルで食べられるのはうれしい限りです。
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着席後ほどなくして、スタッフの方が調理される前の間人蟹を見せにきてくださいました。しっかり手足が動いています! 可哀想と思いながらも、食欲が一層増してしまいます(笑)
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もちろん間人蟹の証、緑のタグ付き!
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今回は「間人蟹を2人で1杯」というプランを選択。間人蟹に、茹でたセコ蟹(ズワイガニのメス)、間人漁港で水揚げされた地魚のお造り、甘海老やホタテ、牡蠣の炭火焼、カニ甲羅茶碗蒸し、柚子のシャーベットという充実の内容です。
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蟹は生のままカットされて提供。カニ刺し、焼きガニ、甲羅焼き、かにすき、かに雑炊など好みのスタイルで味わうことができます。それにしても透き通った美しい身に目を奪われます!
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蟹味噌もその色と艶から鮮度の良さが一目瞭然。
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カニを七輪で焼いていきましょう。刻一刻と身がふっくらしてくるのがわかります。炭火で焼かれたカニは独特の弾力。上品な甘味が口いっぱいに広がります。嗚呼、至福!
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さらに甲羅で焼き上げた蟹味噌に生のカニをくぐらせて食す、なんてことも可能です。蟹味噌のクリーミーで濃厚なコクと新鮮なカニ刺し。まさに究極なる贅沢体験!
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とろとろした食感がたまらないカニ甲羅茶碗蒸し。心までほっこりする滋味深いお味です。
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地元産の甘エビや黒エビ、ホタテ、牡蠣も炭火で焼いていただきます。日本酒の最高のアテに。
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感動すべきは蟹だけでなく朝食も然り。間人漁港で水揚げされたスズキの焼き物や、昆布の炭火焼、湯豆腐と充実のラインナップを誇ります。
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女将自らが手作りしたというお惣菜は少量ずつ小鉢にて提供。味はもちろん、見た目も楽しませていただきました。
今回筆者が利用したプランは1月平日で一人42,900円(税・サービス料込)。決してリーズナブルとは言えないお値段ではありますが、経験豊かな仲買人のご主人が選んだ極上の蟹を、最高の状態で食せることを考えれば大変価値あるものと言えるでしょう。
間人蟹を味わえるのは3月末まで。期待を決して裏切ることのない至福の体験をぜひ堪能してみてはいかがでしょうか?