【2021年版】「世界のパスポートランキング」1位は日本!ビザなしで行ける国数は最多、ではビザが必要な国はどこ?

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Mar 4th, 2024

イギリスのコンサルティング会社「ヘンリー&パートナーズ」が発表する「世界のパスポートランキング(ヘンリー・パスポート・インデックス)」は、ビザ(査証)なし、パスポートだけで旅行できる国と地域の数を「強さ」の根拠にしたランキングです。2019年版では日本が「世界最強」の称号を得たのですが、2020年版・2021年版ではどうだったのでしょうか?

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そもそもビザって何?

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結果を知る前に、そもそもビザ(査証)とは何なのか、おさらいしておきましょう。

<外国への入国に際して必要とされる証印。一般にビザと呼ばれる。>(ブリタニカ国際大百科事典より引用)

と書かれているように、入国希望者が信頼できる人間なのか、受け入れ国側が調査・証明する一連の手続きです。

短期滞在者(通常は3カ月以内)の旅行であれば、海外旅行が当たり前になった現代、国家間の取り決めで査証手続が免除される傾向にあります。

その免除された国と地域の多さをランキング化した「世界のパスポートランキング」が、英ヘンリー&パートナーズ社から公表されているのですね。

最新のランキング結果は?

パスポートランキング
(C) dennizn / Shutterstock.com

2020年のランキング結果トップ5は次のとおり。カッコ内はビザなしで渡航できる国と地域の数です。

  • 1位:日本(191)
  • 2位:シンガポール(190)
  • 3位:韓国、ドイツ(189)
  • 4位:イタリア、フィンランド、スペイン、ルクセンブルク(188)
  • 5位:デンマーク、オーストリア(187)

2021年のランキング結果トップ5(本記事掲載時現在)は次のとおりです。

  • 1位:日本(193)
  • 2位:シンガポール(192)
  • 3位:韓国、ドイツ(191)
  • 4位:イタリア、フィンランド、スペイン、ルクセンブルク(190)
  • 5位:デンマーク、オーストリア(189)

要するに2年連続、トップ5は変わらないメンバーとなっています。ちなみに2019年版については、TABIZINEの過去記事「【2019年最新版】世界のパスポートランキング、日本は何位?」にも掲載されています。

  • 1位:日本、シンガポール(190)
  • 2位:韓国、ドイツ、フィンランド(188)
  • 3位:デンマーク、イタリア、ルクセンブルク(187)
  • 4位:フランス、スウェーデン、スペイン(186)
  • 5位:オーストリア、オランダ、ポルトガル(185)

2019年まではシンガポールと日本が同数で1位の座を占めていたのですね。

ビザ取得ってどうやって取得するの?

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ランキングを見てもわかるとおり、日本は過去数年で第1位を占めています。ただし逆の見方をすれば、多くの日本人はビザを申請した経験がないとも解釈できます。このビザの取得は、実際にどういった手続きが必要なのでしょうか?

現状で日本からの旅行時にビザが必要な国といえば、代表例はロシア。特に欧露といわれるウラル山脈の「向こう側」、モスクワやサンクト・ペテルブルクを訪れる場合は、電子簡易ビザではなく本物のビザ申請が必要です。ほかには同じ社会主義国のキューバ、内戦で情勢が激化している中東諸国、日本と国交のない北朝鮮、アフリカ諸国なども渡航の際にビザを必要とします。

ロシアのモスクワ旅行を例にビザを申請しようとしたら、自分で東京、札幌、函館、大阪、新潟にある大使館または領事館へ足を運ばなければいけません(ビザ申請代行サービスを利用しない場合)。その前にオンライン査証申請フォームで申請し、旅行の予約を証明する旅行確認書、パスポート番号・到着日・帰国日・訪問先・宿泊先などが書かれた書類(バウチャー)、往復の航空券、顔写真なども用意する必要があります。さらに申請から取得までには、一般的に10営業日程度の時間が必要です。

申請日の翌日など審査期間を短く済ませようとすれば、その分の作業料として1万円相当のコストが必要になります。海外旅行の前に毎回、このような作業が必要だと想像すると疲れてしまいますよね。

ビザ取得はこんなに面倒だった

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(C) Aravind Sivaraj / Shutterstock.com

ビザ取得に関する忘れられない個人的な思い出もあります。ネパールからインドへ国境を越えようと思った時に、首都カトマンズにあるインド大使館で10年以上前にビザを取得しました。受付カウンターの前には長蛇の列ができていて、長期連休に東京ディズニーリゾートの人気アトラクションに並ぶ感じで待たされました。

今はどうなっているか知りませんが、スタッフがいるのに対応しない窓口もあって、とにかく対応に時間がかかります。どれくらい待たされたかというと、ちょっと悪い言い方をすれば、外国人旅行者同士がインド大使館を共通の「敵」と認識し、悪口を言い合って盛り上がったくらいです。あまりにも待ち時間が長いので、そのうち列の前後の人たちと友達になって夜に食事に出かけたほど。

数日後にあらためてビザを受け取りに行くと、顔なじみの列待ちメンバーとの再会もありました。それはそれで楽しい旅の副産物かもしれませんが、ビザ発給までの数日間は予定もなかったので、ホテルの屋上で当時流行していた『テルーの唄』を歌いながら、時間をつぶしていた記憶があります。

カトマンズの夕暮れの空に舞う鳥を眺めながら歌う『テルーの唄』はすごく心に染みました。このように書くと、結局は待たされて良かったみたいにまた聞こえてしまいますが、控えめに言ってもビザ取得はすごく面倒くさかったです。

もちろんビザのいらないメジャーな旅行先、例えばアメリカやカナダ、オセアニアなどに行く場合も、簡単な電子渡航許可の取得は必要です。ただ本格的なビザ取得と比べると、電子渡航認証の取得などは手間のうちに入りません。このビザがいろいろな国と地域で免除されている日本は、海外旅行においてありがたい状況にあると、あらためて感謝したいですね。

[参考]
Global Passport Ranking – Henley & Partners Holdings
Order tourist invitation to Russia
領事部サービス – 在日ロシア連邦大使館
Electronic Travel Authority (ETA 電子渡航許可) - 在日オーストラリア大使館

[All photos by Shutterstock.com]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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