【これぞ秘湯!】水没した村落の中で唯一生き残った、船でしか行けない温泉宿

Posted by: 坂本正敬

掲載日: Oct 7th, 2015

日本にはいろいろな名湯、秘湯がありますが、陸路を持たず船でしか上陸できない温泉宿が富山県にあるとご存知ですか? 日本経済新聞が選んだ日本の百名湯の1つで、山間の河畔にある秘湯、大牧温泉です。

そこで今回は、富山県南砺市にある陸路を持たない秘湯、大牧温泉を紹介したいと思います。

片道30分程度のクルーズで上陸する陸路不在の温泉宿

富山県の西部に庄川という大きな川があります。アユ漁でも有名な総延長130kmの大河ですが、その上流にある小牧ダムの湖畔に大牧温泉はあります。

この宿の最大の特徴は、陸路が存在しないないという点。河畔の急斜面に踏ん張るようにして建っている温泉宿で、宿泊客は全員、下流の小牧ダムにある船乗り場から片道30分ほどのクルーズをして上陸しなければいけません。

この立地条件こそが秘湯と呼ばれるゆえんで、サスペンスドラマのロケ地としても有名です。

ダム建設で水中に没した村落の中で唯一生き残った温泉宿

大牧温泉の源泉は、1183年に源氏の追手を逃れる平家の武将によって、偶然に“発見”されたと言われています。

源泉の周辺には温泉宿が生まれ、湯治湯として地元の人や周辺の住人に親しまれてきたそうですが、1930年に庄川の下流に小牧ダムが完成すると、山間の村落ごと温泉は水の中に没してしまいました。

しかし、湖畔の急斜面に一軒の温泉宿が残り、湖底から豊富な源泉を取り込んで経営を存続します。その宿が大牧温泉観光旅館です。結果として、船でしか行けない秘湯の温泉宿として存在価値が高まり、現在では日本の百名湯の1つに選ばれる人気宿になりました。

露天風呂と内風呂の両方から絶景が楽しめる

【富山】陸路は皆無!船でしか行けない秘湯「大牧温泉」
(C) 坂本正敬

大牧温泉の最大の魅力は、航路というアプローチ方法と、春夏秋冬いつ行っても楽しめる周辺の美しい景観にあります。春と夏は緑が美しく、秋は周辺の木々が色付き、冬は一面の雪景色になります。露天風呂の景観は見事ですし、内風呂からも大きなガラス窓を通じて水面の静けさや湖畔の切り立った絶壁を楽しめます。

入浴だけの利用はできませんが、昼食付きの日帰り入浴のサービスは7,000円からあります。宿泊は2名1室20,000円から、4名以上1室で18,000円からとそれほど高い印象もありません。

以上、船でしか行けない秘湯、大牧温泉を紹介ました。帰りの船が出航する際には、桟橋でスタッフの方々が手を振って見送ってくれます。体だけでなく心まで温まる宿です。

[大牧温泉(南砺市) – とやま観光ナビ]

PROFILE

坂本正敬

Masayoshi Sakamoto 翻訳家/ライター

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

翻訳家・ライター・編集者。東京生まれ埼玉育ち。成城大学文芸学部芸術学科卒。現在は、家族と富山に在住。小学館〈HugKum〉など、在京の出版社および新聞社の媒体、ならびに〈PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL MAGAZINE〉など海外の媒体に日本語と英語で寄稿する。 訳書に〈クールジャパン一般常識〉、著書(TABIZINEライターとの共著)に〈いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日〉など。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉(https://hokuroku.media/)創刊編集長。その他、企業や教育機関の広報誌編集長も務める。文筆・編集に関する受賞歴も多数。

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