渡航先の治安情勢をチェック
海外へ渡航する際、何よりも重要になるのが渡航先の治安情勢だ。多くの人が外国へ渡航する際、外務省の海外安全ホームページをチェックすることだろう。日本と違い、国によっては短期間のうちに治安が悪化することも決して少なくないので、日々のチェック、そして最新情報の把握は絶対に欠かせない。
スリランカの経済危機
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そのような中、英国外務省は2022年7月5日、スリランカへの不要不急の渡航を控えるよう国民に呼びかけた。同省は、スリランカ国内で経済危機が深刻化し、食糧や医薬品、燃料など生活必需品が不足していることを理由として説明している。
スリランカは今、大変な状況にある。政府は長年、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」によって多額の経済支援を受けてきた。しかし、中国からの借入れに伴う多額の債務負担が徐々に重荷となり、財政的に厳しい立場に追いやられていった。
過激派による同時多発テロ
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また、2019年4月21日には、最大の都市コロンボにある高級ホテル3カ所とキリスト教会5カ所で同時多発テロが発生し、250人以上が死亡、500人以上が負傷した。この大規模テロは、世界を震撼させたイスラム過激組織イスラム国を支持する地元の過激派グループによる犯行だったが、これによりスリランカ経済はさらなるダメージを受ける形になった。テロによって観光客が来なくなった。
財政破綻で続く混乱
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その厳しい財政状況の中、ロシアによるウクライナ侵攻が決定打を与えることとなった。それは世界的な物価高をもたらし、スリランカ政府は債務不履行(デフォルト)に陥り、2022年7月、財政破綻を宣言した。
ロシアによるウクライナ侵攻が決定打になるにつれ、次第に外貨不足が深刻になり、食料や燃料の不足や高騰が国民生活を直撃し、デモ隊が国会に押しかけ、7月13日、辞職する前に大統領が国外へ逃亡する事態となった。
また、経済危機への不満を訴える市民による反政府デモが続き、5月には陸海空軍の兵士数万人が首都コロンボ市内の警備に動員され、デモ隊と政府支持者の衝突が発生した。暴徒化した市民は首相私邸や議員らの自宅へ放火するなど混乱が続いている。
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